プロ野球はセ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いたDeNAとパ・リーグ優勝のソフトバンクによる日本シリーズが行われています。
DeNAはCSファーストステージで2位阪神を2連勝で下し、ファイナルステージでは優勝の巨人相手に3連勝した後、2連敗しましたが最終戦に勝って日本シリーズ進出を決めました。阪神も巨人もレギュラーシーズン最終戦から日程が空いた影響からか、試合勘が戻らず打者の調子が上がっておらず点が取れませんでしたが、それ以上にDeNAがファイナルステージ第4戦に敗れるまでは魔法にかかったように守備が固く、レギュラーシーズンでの「投手力・守備力が弱い」というイメージとは真逆の試合運びをしていました。第4戦では魔法が解けたようにミスが出て敗れ、第5戦も落としましたが、最終戦に勝って嫌な流れを止めつつ日本シリーズに向かうことになりました。
セ・リーグのCSはレギュラーシーズンで元々打てなかったチームがCSでも打てずに敗れたという印象で、今季の混戦セ・リーグを象徴するようなシリーズだったと思います。阪神も巨人も9月に広島が大失速で落ちていったことで今の順位が決まったようなもので、9月に最もうまく戦った巨人が優勝したに過ぎず、そのままCSを勝ち抜けるほど強くはなかったということだと思います(ここでは巨人を少し悪く言っていますがリーグ優勝の価値を毀損する意図は毛頭ありません)。CSの存在意義のひとつとして、直近で最も勢いのある強いチームを日本シリーズに送り出すという役割があると思います。ここを勝ち抜いたチームが今最も強いチームであり、日本シリーズを戦うに相応しいチームということです。それが今回は優勝チームの巨人ではなかったということです。
一方、パ・リーグのCSはファーストステージを初戦を落としながら勝ち上がった日本ハムを3連勝で下したソフトバンクの強さが際立つ結果となり、セ・リーグのファイナルステージを見るとソフトバンクには到底勝てないと思わされる充実ぶりでした。
そうして迎えた日本シリーズですが、蓋を開けてみればここまで3勝2敗でDeNAが日本一に王手をかけています。
横浜スタジアムでの2試合はソフトバンクが連勝し、ソフトバンクの強さが際立つ試合展開でしたが、初戦の9回裏に0-5からDeNAが3点取った攻撃が後々ソフトバンクにシリーズの流れを渡さなかった要因になったと思います。第2戦も3-6で敗れはしましたが、4回までで6失点して以降は5イニングを無失点に抑えており、これが次の試合に繋がっていくことになります。
場所を福岡に移した第3戦からはDeNAのいい部分が出始め、打っては4点、5点、7点と得点を重ね、守っては初戦の1回の1失点のみという、逆にDeNAの強さが際立つ展開になりました。DeNAの投手陣と守備陣が再び魔法にかかったようにソフトバンク打線を封じ込めているのがこの3連勝の原動力になっていて、横浜スタジアムに帰ってもこのまま魔法が解けないでいてほしいといったところでしょう。
今後の展望としては、初戦と第2戦に登板した先発投手を投入できるソフトバンクに対し、DeNAは先発投手の台所事情が苦しく、本格的な降雨が予想される来月2日の第6戦が中止になれば投手陣が一気に楽になるため、まずは天候に注目しつつ、ビジターチームが全勝している「外弁慶シリーズ」となっている今シリーズ初のホームチーム勝利をDeNAが挙げられるか、敵地で得た勢いを持ち込めるかに注目して楽しみたいと思います。
さて、阪神は先述の通りCSファーストステージに連敗で敗退となりましたが、レギュラーシーズン最終戦前に岡田監督の退任報道が出て、そのままバタバタしているうちに終わった印象を受けました。
CSでは打線に総じて元気がなく、投手陣もレギュラーシーズンの疲れを引きずったかのように元気がありませんでした。岡田監督の退任が決まり、チーム全体の気持ちが落ち込んでしまったように見えました。ファーストステージ第2戦に敗れた後、CSの前に体調を崩していた岡田監督がグラウンドに姿を表すことはなく、選手によるファンへの挨拶やシーズン終了のセレモニーなどが行われることはありませんでした。岡田監督の退任会見も行われず、後味の悪いシーズンの終わりとなりました。
その後、藤川球児新監督の就任が発表され、今月中にコーチングスタッフも発表されましたが、ヘッドコーチ不在の影響がどう出るかであったり、藤川新監督の野球観が解説者時代の言葉から見えてこなかったりといったところが不安材料として挙げられます。それはそれとして秋季キャンプから春季キャンプの間に藤川新監督のやりたい野球が選手たちに伝わるでしょうから、とりあえず今から来季を楽しみにしておきます。
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