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圭がベッドの上で本を読んでいると、舞が部屋に来た。
「お兄ちゃん、久しぶりに一緒に寝ようか?」 「ああ、いいよ」
圭は頷いた。 舞はそっと彼の横に入る。 圭が灯りを消そうとすると、彼女は掛布の中で少し捲れた寝間着をそっと戻しながら、彼に言う。
「…本はもういいの?」 「うん……もう遅いしね…」
圭は本を脇に寄せて横になった。 それから暫く、兄妹は何も言わずに天井を見つめていた。 寂然とした静けさの中で、ふと、舞が圭の傍に小さく頭を預ける。
「お兄ちゃん……やっぱり大きいね」
昔から彼女は自分に甘えていた。 目の目の妹と一緒に寝ていたのは、ついこの前のような気がする……
「……お兄ちゃん、何を考えているの?」 「……え、なんだろう……そんな風に見えたかな」 「…私にはいつだって何かを考えてるふうに見える…… …たまには私の事を考えてくれているの」 「そんなこと……これでも結構気にしてるんだよ…いろいろと」
具体的には何かと言われれば、実は言葉に詰まってしまう圭だった。 しかし舞はそれ以上何も聞かず、少し嬉しそうに彼を見つめるのだった。
「…ねえ…お兄ちゃん…」
舞は圭の腕をとり、そこに体を寄せる。 寝間着越しに、柔らかな胸の感触と、母にも似た甘い微香が彼を包む。 嗅ぎなれた筈のその匂いに、今の彼は僅かな幻惑を覚えていた。
「……お兄ちゃんは…いつまで私の側にいてくれるのかな………」
何か言葉を返そうとしたとき、舞は小さな寝息を立てていた。
…いつまでも、穢れを知らないかのように見える妹……甘えるばかりだった彼女は、年を追う毎に美しく、可憐に変わっていった。 しかし、そうであるほどに……彼女の無垢な姿を見るとき、そしてこんな風に触れ合っているとき、圭は自分の中に不純なものがある事を感じてしまう。 それがなんであるのか、口にしてみようとすると怖くなり、 それ以上考えまいとする。
しかし、この静けさの中の思いがけなかった二人だけの時間は、 彼の秘められた情動を呼び起こすのに十分な機会だった。 今日と同じようなこんな夜に、幾度か覚えのある密かな悪戯を、彼はまた繰り返そうとしていた。 圭は微かに甘い香りのするうなじに顔をよせ、そっとささやく。
「…舞、寝たのか?」
何度か同じように呼びかけるが、なにも返ってくることはなかった。
圭はそっと、自分の腕に寄り添うようにしている、形のよい膨らみの先に指を触れる。 薄い寝間着越しに、その薄い突起が指先に感じられると、彼は指の腹でゆっくりと撫で続ける。
やがて彼はその蕾に口を寄せ、唇の先でそっと挟みこむ。 …寝間着を剥ぎ取り、露わになったそこを、幼児のように強く吸い上げ、思うさま舌で舐める……そんなふうにしたい衝動を抑えながら、しかし彼の舌の先はいつしか先端の僅かな窪みを味わっていた。
「…ん……」
小さな声を立て、舞が小さく寝返る。 圭は思わず身をすくめたが、やがてまた静寂が訪れる。
…いつもは、それで終わるはずの悪戯だった。
しかし、彼の欲求を留まらせることができなかった。 自分の傍らで眠る妹が、欲望を感じさせる異性となってしまったことを、彼ははっきりと感じていた。 そして、彼は抗えない好奇を満たすために、本能のままに掛布をそっとずらす。
やがて、寝間着のすそを少しはだけた姿が圭の目に入る。 暗がりの中で、白く細い太を露わにして子供のように眠るその姿に、圭は堪えられない情欲を募らせる。 少しだらしなく開かれた彼女の自然な下肢に、圭は何かは小さな安堵を覚える。 そしてそれ以上に、なにか彼女が自分を誘っているような気がして、 それを妹の純心を汚す行為の言い訳にしようとしていた。
「舞がいけないんだ……僕の気持ちも知らずに…こんな格好で……」
圭は声に出さず呟きながら、舞の下肢の付け根へとゆっくり手を探り入れていった。 寝間着を手繰り、下穿きの脇から指を潜らせると、いつか見たことのある、 柔らかな恥丘に刻まれた縦筋に触れる。 興奮に震える指で、奥へとなぞってゆくと、やがて彼の指は彼女の太に挟まれ、 そしてやがて少し湿ったような抵抗を感じる。 そこは生肉のような不思議な柔らかさと弾力のある部分だった。
「…これが……舞の……」
半ば朦朧とした意識の中で、圭は舞の股間に差し入れた指の感触を味わい、そこにある造形を頭の中に描く。 唇はいつしかまた彼女の乳房の先を啄み、薄い布越しに小さく吸い続けていた。 まだ他の男には見られたことがないであろう柔肉に触れる指先が、じっとりとしたものに包まれ、唾液に湿った乳頭が口の中で大きく感じたとき、彼の腕を掴む指に力がこもり、舞の掠れるような吐息が、彼の耳元をくすぐる。
「…ん……ん……だ…め…………お兄ちゃん……」
妹の小さくむずかるような声に、圭ははっと我に返る。 自分が何をしていたのか定かでないまま、混乱した頭でその場を離れ、気がついたときには、彼は妹の部屋へと逃げ込んでいた。
小躍りする鼓動を必死に押さえながら、脳裏には妹の最後の言葉がいつまでも巡る。 あの時、自分の名を呼んだのは、あれは些細な寝言だったに違いなかった。 そう信じたかった…… ふと、彼女を弄っていた指を見ると、そこには僅かにねっとりとしたものが残っていた。
慌てて手を引いたあの時、細く光るものが彼女の太腿に糸を引いたことが、 今でも鮮明に記憶に残っている。
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