【「鰯の頭も信心から」】 
               
              「鰯の頭も信心から」と言う諺を皆さんも聞いた事が有る思いますが、節分の夜
                鬼を追い出す為、鰯の頭を柊(ひいらぎ)に刺して、門にさらす習慣が有ります。
                なお、諺のいわれは、昔、大和の山稜村に清九郎と言う勤勉な若者が住んでいて、
                彼はある日、畑で拾った切り株で、神様とも仏様とも見分けの着かない像を彫り、
                それをみすぼらしい祠に祀り、毎日毎日お参りして拝んでおりました所、その内、
                幸運が訪れて、働き者の嫁が来て、豊作にも恵まれ大金持ちになりました。所が、
                隣に住んでいた怠け者の次平が、それを羨み、清九郎が金持ちになったのは祠の
                神さんのお陰に違いないと思い、その木像を勝手に盗み出し、代わりに鰯の頭を
                入れて置きました。そうとは知らない清九郎は、それからは毎日鰯の頭を拝んで
                おりましたが、それでも更に金が溜まり、益々大金持ちになって長者になったと
                言うことですが、怠け者の次平は木像を盗んだにもかかわらず、拝もうともせず、
                相変わらず貧乏のままで、破れ障子の穴から指を食わえて清九郎を見ていました。
                なお、清九郎の墓のある菩提所と、彼が住んでいた屋敷跡は奈良県吉野郡大淀町
                鉾立、光蓮寺の近くに在り、近鉄吉野線・葛駅(御所市)から高市郡・高取町の
                丹生谷を通って、3.5キロ程山に分け入った所で、今でも立派な丸灯籠が二基
                建つ墓は、高さ50cm、2m四方の石垣の台上に、三方を高さ50cmの石塀
                で囲まれて、高さ30cm、横幅1m、奥行き30cm程の台座石を2つ重ねた
                その上に高さ40cmの馬蹄形で建ち、花が添えられ、賽銭箱も置かれています。
                また、車で行かれる時は、国道309号線の「今木大井手」バス停前の今木郵便
                局辺りから北へ向かい、大淀西部幼稚園の前を通り、奈良ロイヤルゴルフクラブ
                脇の「鉾立」を通って、北で突き当たった辺りの「光蓮寺」から徒歩約20分程。
                                   藤原@ならやま観光委員さんより。