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【一膳という言葉】
  
箸の単位名が、今のように「一膳」と呼ばれるようになったのは、いつの頃からでしょうか。

奈良時代から平安初期にかけては、金・銀・白銅などの金属製箸の単位は、「一具・一隻」と

呼んでいます。また、折箸や唐箸(二本箸)の材料の竹を「箸竹」あるいは「筋竹」と呼んで

「一株」あるいは「一囲」と言う単位を使っています。この一囲とは、桿を束ねて「一束」と

言う呼び方をしているのです。このように、箸の単位が「一具・一隻・一株・一囲」などと呼

ばれていたものが、今日の「一膳」と呼ばれるようになったのは、平安中期(十世紀後半)か

らで、これは本膳料理が完成して、一つの膳に、一対の箸が添えられるようになったからです。

それ以後、箸は「一膳」と言う呼び方が定着したのです。