+ ITマネジメントの常識を疑え! / 角田好志
ウェブサイトでの連載に反響を加えて本に。著者に会ったことがあるので。
+ 名経営者が、なぜ失敗するのか? / シドニー・フィンケルシュタイン
豊富な失敗のケーススタディの中に気になる(気になっていた)企業の名がちらほら。失敗しない企業をみつけるために。
+「うそつき病」がはびこるアメリカ / デービット・カラハン
モラルハザードの話かな。幅広い話題を集めた文化論のようだ。ただ、著者の許可を得たとは言え、本文の一部、出典、参考文献、索引を省略するとは、読者をバカにしている。
+ 新しい生物学の教科書 / 池田清彦
気になる構造主義生物学者の「教科書」が文庫化。「科学リテラシー」を身につけよう。
- 遺伝子が明かす脳と心のからくり−−東京大学超人気講義録
/ 石浦章一
東大文系1年生を対象とした生命科学の8回分の講義の記録(+試験問題)であり、脳内神経伝達物質から生命倫理、狂牛病のリスク評価までたいへんわかりやすく説明されているが、その内容はレベルは高く、最新の知見や事例に触れ、また研究のアプローチを論理的に追いかけるなど、最先端の研究の現場の雰囲気が伝わってくる。「東大にはこんなに面白い講義があった!」というオビに嘘はなかった。
- デザイン・ルール−−モジュール化パワー/ カーリス・Y・ボールドウィン、キム・B・クラーク
モジュール化設計の有効性やその進化速度の優位性については、ソフトウェア開発の経験から身をもって認識していたが、本書ではビジネススクールの学者がその起源をIBM360の開発に求め、「設計のモジュール化」が「分離」「交換」など6つのモジュール化オペレータで「設計オプション」を生み出し、「設計進化」という非集権的な価値探求プロセスが可能となることを綿密に論証していく。抽象的で難解な議論も多いが、訳者による下線強調や補足、日本の事情に関する訳注(苦言)が適切で助けになる。全2巻のうち上巻となる本書では1980年頃までが具体的に取り扱われているが、続巻が楽しみである。
+ バイオベンチャーの事業戦略—大学発ベンチャーを超えて / 大滝義博・西沢昭夫共編
バイオのマイクロソフトはもう動き始めている!?
+ 中華料理四千年譚【ロ】美(「ロ」は「王」偏に「路」)
世界中どこへ行ってもお世話になる中華料理。そういえば、中華料理の本というのはほとんど読んだ記憶がない。
+ 「ほんもの」のアンティーク家具 / 塩見和彦
今更アンティークにはまる時間も金もないが、なぜか自分の部屋では船箪笥を使っていたりする。
+ Mac OS Mac OS X PantherでUNIXアプリを使おう!!−−[Mac OS X Panther+X11]UNIX環境設定講座 / 折中良樹
新しいMacを買っちゃったっ!
- Mac OS Mac OS X PantherでUNIXアプリを使おう!!−−[Mac OS X Panther+X11]UNIX環境設定講座 / 折中良樹
出たばかりの本にしたがって、買ったばかりのマシンにインストールしたら、素直にインストールできた。わたしにとってはずいぶん時間の節約になった。
- 演技と演出 / 平田オリザ
演劇は食わず嫌いに近い門外漢だが、自然体でいることと、自然体でいるように見せることの違いが大きいことは理解できた。演劇カルトへの警鐘が出てきたのは意外だったが、たしかに、ヘンなのにハマッてしまうと危なそうだ。
- 自分で調べる技術−−市民のための調査入門 / 宮内泰介
文献・資料調査、フィールドワークとその結果のプレゼンテーションと、オーソドックスなところをカバーしている。それだけ、基本的なところを押えていない調査が横行しているということだろうか。
- ハード・タイム−− V.Iウォーショースキー・シリーズ / サラ・パレツキー
ヴィク、久しぶり。歳にもめげず、相変わらずハードボイルドしているのが嬉しい。
+ チョンマルブック / チョナン・カン
心を入れ替えて(何度目だ?)、韓国語の復習を。
+ 図書館に訊け! / 井上真琴
「新刊書店に群れる人たち−−図書館以前の問題2」はい、わたしのことです。本屋では新刊と売れ筋の本しかみつけられないことは重々承知してはいるのですが。
+ 猫と写真の時間 / 藤田一咲
つい、かわいかったもので(こんなことは珍しいんだが)。
+ ハード・タイム / サラ・パレツキー
久しぶりのV.Iウォーショースキー・シリーズ。といってもハードカバーでは4年前に出ていたのだが。
- 世界を変えるマシンをつくれ!−−「セグウェイ」をつくった天才発明家とエンジニアたち / スティーブ・ケンパー
ひとことで言ってしまえば、あの「セグウェイ」の開発秘話である。著者はプロジェクト初期から密着取材を許され、ふつうでは絶対に表に出てこないような裏話がてんこ盛りである。しかも、最終的には秘密プロジェクトのリーク事件により著者はプロジェクトから追放されてしまっており、都合のよいことばかり書いてあるのではない。すでに成功しているカリスマ発明家がこのプロジェクトに限り、製品化、事業化まで自分の手で行なおうと決心する。当初はエンジニアたちが創造的に開発を進め、(王子様をみつけるために)「たくさんのカエルにキスをする」様子が読んでいても楽しい。しかし、後半は、資金調達とプロジェクトの支配権をめぐる発明家と投資家たちの丁々発止が生々しい。あわせて開発スケジュール、マーケティング、部品調達、安全性確保などをめぐり関係者の苦闘が続く。画期的な商品を世に出すことを考えているベンチャー起業家、エンジニア、マーケッタ(の卵)には(投資家にも?)必読書といえよう。「モノづくり」には覚悟がいるぞ!
-「におい」と「香り」の正体 / 外崎肇一
著者は生理学者で、犬の嗅覚に関する実験の話もあるが、広く匂い、香りに関するさまざまな話題を取り上げる。如何せん、視覚など他の感覚に比べて嗅覚について分かっていることが少すぎ、まったく未開拓の分野であることがよくわかる。匂いの「分子形状説」と「振動説」についてすらまだ決着がついておらず、ブレイクスルーのない限り、匂いのデジタル化への道は遠い。今、このような本を書こうとすれば半分は「雑学」的なものにならざるをえないのだろう。
- トンデモ本 女の世界(上) (下)/
いや、と学会の対象というのは、「あっちの世界」へイッちゃってるような本ばかりだろうから一冊読めば十分かと思っていたのだけど、こんなに幅が広かったとは。今回、笑い飛ばされているのは、有名人(ワインの江川氏、Dr.コパ、元文化庁長官、元東宮侍従など)の著作あり、ダイエット本あり、あやしいアクセサリーの広告あり、さらに、本はまともなドキュメンタリーなんだけど、対象がトンデモ(「お受験」とか)といったものまで含まれている。執筆者によって、それぞれカラーがあり、出来不出来というか好みの分かれるところもあろうが、上下2巻を一気に読まされてしまった。取り上げられている本の著者たちはこんな本を読んだりしないのだろうけど、たまにはこんな本を読んでトンデモ・リテラシーを身につけておけば、ヘンな宗教や通販商品にだまされたりすることもなかろう。この手の啓蒙活動、いや「笑い飛ばし」(場合によってはそれ自体トンデモである可能性もあるのだが)を継続的に続けている「と学会」の存在意義は大きい。
+ 社会責任投資の基礎知識—誠実な企業こそ成長する / 秋山をね、菱山隆二
社会起業家—社会責任ビジネスの新しい潮流を読んだ延長上で、もう一冊。「誠実なトンデモさん」たちをどう排除するかのヒントがみつかるといいのだが。
+ 安心のファシズム—支配されたがる人びと / 斎藤貴男
「目をつぶる」ことで得られる「安全」「安心」とはいったい何なのだろうか。「知らぬが仏」なのだが、知ってしまった以上は声を出していかざるをえない。それでも「耳を塞ぎたがる」ひとはすくなくない。「安全」「安心」はユビキタス時代のマーケティングのキーワードでもあるのだが、心しておくためにもちょと勉強しておこう。
+ イギリス 花の庭 / 広田 〓子(せいこ)
在英の某氏と話をしていて、特定のアプリケーションを実現するために必要最小限のプロトコル・スタックだけを積み上げ、応用の効かない手法のことを「サイロ(silo)」と言うといったら、こちらではそれを「英国庭園(English Garden) 」と呼ぶのだと教えてもらった。自宅の小さな庭を飾り立てることだけ考え、隣近所とのバランスなんか気にしないということらしい。そんな蘊蓄を理論武装するために。
+ 名探偵の呪縛 / 東野圭吾
すこしペースを落しているが、東野圭吾作品を一冊ずつ読み進めている。
+ シカゴ 2004〜2005年版−−地球の歩き方 / 地球の歩き方編集室編
ちょっと必要に迫られて。いつもは何冊もガイドブックを比較検討するのだが、シカゴに特化したのは他に見当たらなかったのでとりあえず。
+ 逃亡作法 TURD ON THE RUN / 東山彰良
ときには「このミス」を頼りに新しい作者も開拓しなくては。
+ 〈数理を楽しむ〉シリーズ 数学はインドのロープ魔術を解く−−楽しさ本位の数学世界ガイド / デイヴィッド・アチソン
もう楽しくもない数学の本につきあう時間がもったいない。
+ ひとり旅は楽し / 池内紀
オビより:「大人には大人の自由時間が必要だ」。問題はその自由時間をどうやってひねり出すかということなんだが。
+ トンデモ本 女の世界 上 下 / と学会
「あっちの世界」へイッちゃってるような本については「トンデモ本」シリーズ一冊読めば十分だと思っていたが、今回の2冊にはそれなりの「有名人」の著書が何冊も取り上げられている。この手の啓蒙活動、いや「笑い飛ばし」(場合によってはそれ自体トンデモである可能性もあるのだが)を継続的に続けている「と学会」の存在意義は大きい。
- 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 / 米原万里
1960年代前半、チェコスロバキアの首都プラハのロシア語学校は、さまざまな国の生徒が(親の)さまざまな政治的事情をかかえて集まり、一種のインターナショナル・スクールだった。ギリシャ、ルーマニア、ユーゴスラビア出身の級友やその家族との思い出話だけでも楽しい。しかし、30年の歳月を経てロシア語通訳の第一人者となった著者は3人との再会を試みる。あくまで個人の視点からの記録ながら、そこには東欧(「中欧」)近代史が凝縮された良質のノンフィクションとなっている。軽いエッセイかなと思って読み始めたが、うれしい大誤算。日本では類書の少ない地域をテーマとしているだけに貴重な情報源にもなりうる。
- 密偵ファルコ−−オリーブの真実 / リンゼイ・デイヴィス
古代ローマを舞台としたハードボイルド。変わったシチュエーションといえば、エリック・ガルシアの鉤爪シリーズ(といっても2冊だが)並みか。ふだんはシリーズものの途中から読むことはしないのだが、今回は舞台がスペインということで買ってみた。過去のエピソードに触れているところは何カ所もあるのだが、ストーリーを追う分に不都合はない。時間の都合で一気読みできなかったのだが、緊張感を維持して読み続けることができた。それにしても、ローマ人の人名は馴染みがなくて覚えにくい(ここで文句を言ってもしかたないのだが)。シリーズの最初から読んでみようという気になったかどうかは(入手も簡単ではなさそうだし)微妙。古代史ファンにはお奨めかも。
- 鬼平舌つづみ / 文藝春秋編
よくある和食のレシピ本かと思えば、レシピはごく簡単、食材も初心者にはちょっとハードルが高い。池波正太郎の鬼平シリーズの一節から想像力を働かせ、鬼の平蔵(「御頭」)に食べさせてみたいという料理の写真が美しい。自分で料理するより、近所にこんな料理を食べさせてくる店をみつけて、そっと大事にしておきたいような気がする。
- 社会起業家—社会責任ビジネスの新しい潮流 / 斎藤槙
利益第一主義のビジネスはもう通用しない。さまざまな社会貢献を企業理念に含める企業が増えている。一方で、NPOといえ、資金調達とその効率的な運用が要求されるようになり、企業で培われた手法がどんどん採り入れられている。こうした企業やNPOが向かうのが「良識ある消費」分野としてLOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)市場と名付けられた市場であり、無視できない規模になってきている。そうした新しいトレンドに関するタイムリーな入門書といえよう。しかし、このLOHAS市場を構成する環境、健康、代替医療などの世界には、まともなものから思い込みや宗教まがいのアヤシゲなものまで混在しており、これらをきちんと峻別してこそ真の「社会責任」といえるのかもしれない。
- JMP活用 統計学とっておき勉強法−−革新的統計ソフトと手計算で学ぶ統計入門 / 新村秀一
「とっておき勉強法」といいながら、教える側の事情を説明したり、言い訳したり、脱線したり、読者に不親切だ。ひとつのサンプル・データをずっと使っていろいろな手法を説明するのはよいアイデアだが、それが説明に不適切なデータであってはなんにもならない。いろいろな統計学の本を読むうちの一冊としてならば悪くないが、これ一冊で統計学をなんとかしようとは考えない方がよさそうだ。
- 株式投資「一日30分」で資産倍増 / 岩崎博充
資産倍増もあれば半減もありうる。でも、結局自分で真剣に投資していなければ「お話」でしかない。ここは中国株でも始めるか、という気にちょっとだけなった。
+ 世界を変えるマシンをつくれ!−−「セグウェイ」をつくった天才発明家とエンジニアたち / スティーブ・ケンパー
世間をわくわくさせた謎のドリーム・マシーン開発の裏話かな。
+ 科学の最前線で研究者は何を何を見ているのか / 瀬名秀明
ほんとうはこの著者についてはインタビューよりもBRAIN VALLEY(上)(下)のようなハードSFを読みたいのだけれど。
+ 学者の値打ち / 鷲田小彌太
大学の先生にもいろんなひとがいる。「専門書も書けない専門家」「専門書しか書けない専門家」「専門書を書かない雑書家」「一般書を書く専門家」。学者でないわたしにとっては他人事だが、当事者にとってはなかなかキツイのではなかろうか。
+ 阪大医学生が書いたやさしい「がん」の教科書−−みんなに伝えたい正しい知識、大切なこと/ 駒沢伸泰著、松沢佑次監修
そろそろ自分の健康が気になるお年頃になってきた。アヤシゲな技術やガジェットは大好きだが、こればかりは「トンデモ本」は願い下げにしたい。
+ Free Culture / ローレンス・レッシグ
CODE−−インターネットの合法・違法・プライバシー、コモンズと読んできたら次も読まないわけにはいかない。
+ Blog Hacks−−プロが使うテクニック & ツール 100選 / 宮川達彦、伊藤直也
Amazon.co.jpで予約。この本の予告を見てから他のBlog本を買うのを見送ってきていたが、予定より遅れながらもついに真打ち(?)登場。
+ オープン・ソリューション社会の構想 / 國領二郎
オビより: 「社会に分散している才能や情報をネットワークで結合すれば、新たなエネルギーを生み出すことが可能だ! 高齢化、環境問題、セキュリティ問題をチャンスに転換し、日本を世界のフロントランナーに変える画期的提案」 日頃漠然と感じていることがきちんと整理されていて再確認できるか、それともまったく目からウロコが落ちるか、なんとなく期待してしまう。
+ 社会起業家−−社会責任ビジネスの新しい潮流 /斎藤槙
「NPOのような企業、企業のようなNPO」から始まる。新しいビジネスモデル発見のヒントになるか。
+ 天狗の落とし文 / 筒井康隆
ひさしぶりの筒井作品。「文学史上初、『全作、盗作自由』の使用権フリー短編集」
+ 嘘つきアーニャの真っ赤な真実/ 米原万里
最近エッセイをたくさん書いている著者はロシア語通訳。週刊誌でみかけたコラムのテイストが気に入っている。
- 世界中の言語を楽しく学ぶ / 井上孝夫
こんな勉強法があったのか! 言語学の基礎を学生時代に押えておいて、あとは新しい言語を学び始めるときのわくわく感だけを次から次へとつまみ食い。別にひとつの言語をマスターしようなどとは考えない。そして、継続は力なり。海外旅行なんかいかなくても、これぞ言語オタクの真骨頂。わたしもあと20歳若ければ。いや、今からでも遅くはない、楽しければいいのだ。