August 29, 2004

今週の積ん読

+ ITマネジメントの常識を疑え! / 角田好志

ウェブサイトでの連載に反響を加えて本に。著者に会ったことがあるので。

+ 名経営者が、なぜ失敗するのか? / シドニー・フィンケルシュタイン

豊富な失敗のケーススタディの中に気になる(気になっていた)企業の名がちらほら。失敗しない企業をみつけるために。

+「うそつき病」がはびこるアメリカ / デービット・カラハン

モラルハザードの話かな。幅広い話題を集めた文化論のようだ。ただ、著者の許可を得たとは言え、本文の一部、出典、参考文献、索引を省略するとは、読者をバカにしている。

+ 新しい生物学の教科書 / 池田清彦

気になる構造主義生物学者の「教科書」が文庫化。「科学リテラシー」を身につけよう。


- 遺伝子が明かす脳と心のからくり−−東京大学超人気講義録
/ 石浦章一

東大文系1年生を対象とした生命科学の8回分の講義の記録(+試験問題)であり、脳内神経伝達物質から生命倫理、狂牛病のリスク評価までたいへんわかりやすく説明されているが、その内容はレベルは高く、最新の知見や事例に触れ、また研究のアプローチを論理的に追いかけるなど、最先端の研究の現場の雰囲気が伝わってくる。「東大にはこんなに面白い講義があった!」というオビに嘘はなかった。

- デザイン・ルール−−モジュール化パワー/ カーリス・Y・ボールドウィン、キム・B・クラーク

モジュール化設計の有効性やその進化速度の優位性については、ソフトウェア開発の経験から身をもって認識していたが、本書ではビジネススクールの学者がその起源をIBM360の開発に求め、「設計のモジュール化」が「分離」「交換」など6つのモジュール化オペレータで「設計オプション」を生み出し、「設計進化」という非集権的な価値探求プロセスが可能となることを綿密に論証していく。抽象的で難解な議論も多いが、訳者による下線強調や補足、日本の事情に関する訳注(苦言)が適切で助けになる。全2巻のうち上巻となる本書では1980年頃までが具体的に取り扱われているが、続巻が楽しみである。

Posted by meta-o at August 29, 2004 11:40 PM | TrackBack
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