- ビジネス・エコノミクス / 伊藤元重
経済学のキーワードを豊富な、とくに日本の事例で紹介。復習になった。
- 頭がいい人、悪い人の話し方 / 樋口裕一
頭がいい人の話はほとんど出てこない。いろんなタイプの「バカ」のカタログである。それぞれについて説明の後に[周囲の人の対策」と「自覚するためのワンポイント」がコメントされている。自分の周囲の人間を思い浮かべながらにんまりとしながら読んでいると、時折、自分の過去の言動を思い出してギクリとさせられる。タイプとしてはありがちでも具体例がすぐに思いつかないようなタイプもかなりあったが、それにしても、こんなに「頭の悪い人」が周囲に揃っている著者には同情したくなるし、こういう本を書く気になったのも分かるような気がする。自分がそれほど困ってないのは、著者の奨める「受け流す」とか「かかわりにならないほうがよい」というような対策を自然ととっているからだろうか。
- 文筆生活の現場−−ライフワークとしてのノンフィクション / 石井政之編著
「食うこと」と「書きたいことを書くこと」は直交しているんだと改めて認識させられた。雑誌記者や編集者からキャリアを始めたひとの例がほとんどだったが、異なったバックグラウンドからノンフィクションライターに転身した事例も読みたかった。
- アマゾンで得するショッピング生活−−Amazon.co.jpをもっともっと使いこなそう!
/ 田口和裕
1年前にこのような本があったら、もっと早く「アマゾン生活」を始められていただろう。すでにamazon.co.jpのかなりの部分を使いこなすようになっているだけにすでに知っていることが大半だったが、なんとなくamazon.co.jpあるいはamazon.comに興味があって、これから使ってみようという人にはこれ以上親切な本はない。しかし、amazonのサイトも完成されたものではなく進化を続けている最中だけに、個人的にはウェブサービスやA9の掘り下げた紹介とかamazonのインサイダーのインタビューなど、amazonの今後の方向性についての内容が読みたかった。やはり今後もamazonウォッチは継続していかねばなるまい。
年寄の繰り言だと思って読み流してほしい。
Apple ComputerのCEOに返り咲いたSteve Jobsは、1997年9月、2ヶ月前にスピンオフしたばかりのNewton Inc.を再吸収し、飼い殺しにしてしまった。
世界で最初にPDAを名乗ったスーパーガジェットの名声はもはや泥にまみれていたが、独立した会社として新たな希望の一歩を踏み出そうとしていた。そう、Newtonは時代より一歩先を進んでいた、はずだった。しかし、Newtonを生み出したのは自分を追放した憎きJohn Sculleyだった。出戻りとはいえ継父ともいえるJobsとしては、自分の子でないPDAの息の根を止めることに躊躇いはなかった。
オリジナルMacを自前で購入した、自称「筋金入りの」Appleファンとしては、iPodのおかげでApple Computerが消滅することもなく、立派に立ち直ったことはうれしいかぎりだ。しかしiPodの成功の陰には、Newtonの封印がある。歴史に「たら」「れば」を言っても詮ないことは百も承知だが、Newtonを殺していなければ、iPodのこれほどの成功はなかっただろう。NewtonにはMac以上に思い入れがある。初代iPodが発表されたときは複雑な心境で買うのを見送った。
しかし、ついに緑のiPod miniを予約注文した。わたしの新しいガジェットには"in memory of newton"と刻まれることになっている。
+ ビジネス・エコノミクス / 伊藤元重
さまざまな経済学の最新理論を豊富なケーススタディで紹介。
+ マネー・ボール——奇跡のチームをつくった男
/ マイケル・ルイス
古い世界に新しいやり方をもちこむ話。大リーグの背景知識はあんまりないけど、それでも興味深い。
+ 世界の隠れ名所を歩く地図——ありふれたパックツアーじゃ物足りない! ガイドブックには載ってない(秘)スポット案内 / ロム・インターナショナル編
パックツアーにはつきあいきれない人向け。デスティネーションがちょっとディープかも。
+ 京都人の舌つづみ / 吉岡幸雄
自分の舌の感度にはあまり自信がないが、この手の話は読んでるだけで楽しい。
+ 頭がいい人、悪い人の話し方 / 樋口裕一
こっそりセルフチェックしておこう。
+ 演技と演出/ 平田オリザ
たまには、まったく知らない世界の本を読みたくなることがある。それが、なにかの理論の概説であったりすると、効率よく知識の幅を拡げることができる。
+ 文筆生活の現場——ライフワークとしてのノンフィクション / 石井政之編著
生々しい話は他人事だからおもしろい。
- マネー・ボール——奇跡のチームをつくった男
/ マイケル・ルイス
おーい、パリーグ関係者、この本読んでますかー? もちろん、読んだひとはすくなくないのだろうけど、たいていは Yes, but...という反応なんだろう。ましてや、金でスター選手をかき集めるような老害チームの価値観とはまっこう対決する。きっとすでに化けはじめているチームがあるにちがいない。野球なんかどうでもよかったわたしだが、このエキサイティングな本を読んで、俄然、野球に興味が湧いてきた。サッカーやアメリカンフットボールではもうすこしこのような科学的アプローチがふつうなんだろうが、サカツクみたいなゲームが受ける理由が理解できたような気がした。旧態依然の価値観が支配している世界にはでっかいビジネスチャンスがころがっている。やっぱり統計的センスはだいじだ。
- やわらかな遺伝子 / マット・リドレー
生まれか、育ちか。そんな二分法が無意味であることがよくわかる。しかし、いろんな実験材料にされる双子もたいへんだなあ。いや、そのおかげでいろんな科学的心理が明らかになってきているのだけれど。
- シン・マシンSFシリーズ・Jコレクション
/ 坂本康宏
(勝手に)期待していたほどハードSFではなかった。構成がきれいにまとまっているだけに先が読めてしまった。話としては楽しめたのだけど。
- 自然再生——持続可能な生態系のために / 鷲谷いづみ
生物多様性の重要さは理解できる。多くの生物が絶滅の危機に瀕していて、その速度が加速しており、ストップをかける必要性があることもわかる。水田や溜め池の減少の結果、すこし前までありふれていたはずの種がいつのまにか絶滅しかかっているというのは事実だろうが、その昔、水田を農地化する過程においても多くの種が絶滅してきたはずだ。ここで提案されている「積極的共生型戦略」がめざすものが、たんなる特定世代のノスタルジーとどう違うのかがよく見えない。30年後には、「園芸種と外来種ばかりの環境」をなつかしみ、その回復をめざすようになるのだろうか。進化の過程で種の絶滅は避けられないし、変化が加速するのは進化の本質ではないか。生態系の「スナップショット」の回復、保全が無意味だとは言わないが、たとえば、新しい「種」の登場とか、後ろ向きでなく、生態系の動的で積極的な保全についての議論がもっとあってもよかったのではないだろうか。絶滅に瀕した種の回復の試みを住民の理解と協力を得ながら科学的に進めるアプローチには希望がもてる。
- ナノテクビジネス指南——小さな技術が起こす大変革
/ Jack Uldrich、Deb Newberry
ナノテクノロジーは、インターネットやケータイのように社会に大きな変化をもたらすことはまちがいない。それがどんな変化なのかをすこしでも先読みしたいのだが。
- 発想する会社!——世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法 / トム・ケリー&ジョナサン・リットマン
PDAや医療機器から歯ブラシや列車の内装まで創ってしまう、クールな会社のホットなチーム。遊び心があってモラールのとても高いプロジェクトで仕事したこともあるが、いまだにその時の昂揚感は忘れられない。意識して、そういうプロセスをシステム化しているところがすごい。まぐれあたりを期待していては勝負にならない。
+ 脳内現象--<私>はいかに創られるか / 茂木健一郎
+ 遺伝子が明かす脳と心のからくり—東京大学超人気講義録/ 石浦章一
脳の本を2冊。まさに「21世紀は脳の世紀」とばかりに、多くの研究リソースが脳の分野につぎ込まれている。もちろん、それなりのリターンが期待されているからだし、すでにその成果がいろんな形でフィードバックされてきている。生物学と心理学と哲学の境界がどんどん曖昧になってきており、研究開発の最前線から一般向けの解説書までの時間もどんどん短くなってきている。それだけに新刊書を選別しながらチェックしていく必要があるだろう。
+ ナノテクビジネス指南−−小さな技術が起こす大変革 / Jack Uldrich、Deb Newberry
脳と並んでこれから大きく拡がるフロンティアであるナノテクがもたらす変化についてのオーバービューであればうれしい。オビにある「先取り教科書」という言葉で買わされた。しかし、原著者の名前は、小さな英文タイトルとともに書いてあるだけで、背表紙にも奥付にも省略されて、監訳者の名前だけが大きな字で書いてあるのはいかがなものか。まさか監訳者は二人の原著者の名前が"with"という単語でつながれているのが訳せなかったんじゃないでしょうね。
+ 自分で調べる技術—市民のための調査入門/ 宮内泰介
「市民のための」という切口が新鮮。
+ リアルオプションの思考と技術 / 川口有一郎
「リアルオプション」は最近ときどき聞くキーワードなのだが、よくわかっていないので、一応、基本的なところだけでも押えておきたい。オビによれば、「最強の意思決定技法」、「従来の判断や戦略の『常識』に客観性と普遍性を与え」るらしい。
+ 徹底攻略 XMLマスター教科書 / 福内かおり、木村達哉
最近のIT技術においてXMLはインフラストラクチャとしてC言語やJavaよりも重要になってしまったかもしれない。今後、さまざまなXMLの応用を学んでいく必要がでてくることは間違いないので、基本のところをきちんとおさえておきたい。資格試験のための教科書のようだが、試験勉強をするかどうかは読んでから決めることにしよう。
+ 世界地図で読む情報とテクノロジー / 伊藤正直編
「世界地図で読む」シリーズの一冊。タイトルだけで買ってしまった。
+ 株式投資「一日30分」で資産倍増 / 岩崎博充
「濡れ手に粟」は期待していないが、知らなかったから大損する、というのは避けたいものだ。「株」なんか手を出さなければ安全かもしれないが、「資産運用」についてなにも考えないのは危険だ。
- カナリア諸島 たびたびの旅 / 斎藤慶一郎
グランカナリア島ラスパルマスの日本人学校教諭として1000日間暮し、カナリア諸島全7島制覇した記録。著者の滞在よりすこし後に2週間だけ旅行者として滞在したが、やはりごく一部しか見ていなかった。でも、著者にとっては印象がよくなかったというテネリフェ島はもっといい所だよと言いたい。「人生に挫折して何もかも嫌になったら、必ずカナリアに行って乞食をやるぞ」というのは理解できる。
- はじまりは青い月(ブルームーン) / 新庄節美
この著者のことはこれまで知らなかったが、本書のスカーレット・パラソルのシリーズにもいろいろなシリーズを出している。一冊を読んだだけだが、赤川次郎に似たテイストか。楽に、楽しく読めるが、おじさんがこの手の本を読み耽ってしまってはまずいだろう。
- ギリシャを知る--世界遺産とエーゲ海 / 萩野矢慶記
単なる旅行案内でもないし、歴史書でも、写真集でもない。けれども、よく知らない国の入門書としては適切な構成だろう。エーゲ海の島々の章では、いきなりカラー写真の連続になってびっくりしたが、なるほどギリシャの国旗と同じ青と白の風景はいくら文章で書いても伝えられそうもない。他の国々についてもこのような入門書があれば順番に買っていってしまいそうだ。
- プチ起業にぴったり!!アフィリエイト達人マニュアル—憧れのセレクトショップを資金0円でお気軽に開店!
/ 森田慶子
たしかに、始めるのにほとんど費用はかからないが、稼ぐにはそれなりの才能と努力が必要だ。あたりまえといえばあたりまえのことしか書いていないのだが、Eコマースの一形態であるアフィリエイトがどんなものか垣間見るにはいいかもしれない。
- 未来をつくる図書館−−ニュヨークからの報告 / 菅谷明子
図書館というのは、本を借りるところ、自習するスペース、貴重な資料をコレクション、保管するところ、というイメージをもっていたが、そんな枠に囚われない、アクティブに情報を発信するニューヨークの図書館。そんな図書館に意義を認めて、資金と人材が集まってくるという好循環が成り立っている。日本語の図書館と英語のライブラリは定義が違うのではと思えてくる。
+ 日本語テクニカルライティング / 高橋明男
いまさらマニュアルや取説を書くと言うこともなさそうだが、わかりやすい日本語を書くというスキルは今から身につけておいて損はないはず。
+ 発想する会社!−−世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
/ トム・ケリー、ジョナサン・リットマン
一部で話題になっていたので気になって探していたのだが、なかなか見つからなかった本をようやくみつけた。写真も多くて楽しめそう。しかし、日本の企業でこういう会社を利用する意思決定というのはどういうポジションのひとがするのだろう?
+ ギリシャを知る / 萩野矢慶記
オリンピックでギリシャ・ブームなのかもしれないが、そんな混んでいるところへ出かけて行く気はない。しかし、エーゲ海の島々はそのうち行ってみたいところではある。とはいえ、ギリシャ語というのが難関だなあ。まずは予備知識を仕入れてから。
+ 図解科学捜査マニュアル /「事件・犯罪」研究会編
これであなたも完全犯罪ができる、って違う! ミステリを読んでいてなにげなく読み飛ばしている捜査手法が具体的に解説されているみたいだ。
+ シン・マシン / 坂本康宏
読みたい作家はすでに十分いるのに、評価の定まっていない新しい作家の作品にチャレンジしたくなるのは、いまだ自分の読書エネルギーが衰えていないということか。昔はSFを読みあさったものだが、ずいぶんごぶさた。現実的な未来予測の参考になればうれしい。
+ はじまりは青い月(ブルームーン) <スカーレット・パラソル1> / 新庄節美
新刊はシリーズ第2段(聖夜(ノエル)は黒いドレス)なんだけど、どうせ読むならシリーズの1冊目から。いずれも状況設定だけで読む気を起こさせる。
- 24時間戦いました−−団塊ビジネスマンの退職後設計 / 布施克彦
団塊世代はわたしよりすこし上の世代だが、その団塊の世代による団塊の世代のための本。したがって、すこし第三者的に読んだが、団塊の世代ってそんなに一枚岩なの、という印象をもった。団塊の世代のひとりの元ビジネスマンの自分史として読めば、それなりにおもしろかったが。
- 技術経営の考え方−−MOTと開発ベンチャーの現場から / 出川通
IT関係ではなくて、製造機械というなじみのない分野での話だったが、インサイダーの実体験の生々しい記録としておもしろい。しかし、多くのケーススタディを積み重ねた研究書ではないので、MOTの一般論を期待して読むと空振りかもしれない。
- 「聞く技術」が人を動かす−−ビジネス・人間関係を制す最終兵器 / 伊東明
- 武器としてのスキャンダル / 岡留安則
- オープンソースと次世代IT戦略−−価格ゼロ時代のビジネスモデル / 末松千尋
「取引コストの削減」をキーワードにさまざまな次世代インターネット技術を分析して見せる。それらの技術がもたらす変化の結果は「知識情報革命」とでもいうべきものであるが、多くの企業はまだ「村社会」の殻を引き摺っている。本当はこの本を読む必要があるのは、このような本を手に取ろうとしないひとたちだ。若い頭脳がリーダーシップをとる若い企業が脱皮できない企業を追い抜いていくのは必然かもしれない。