Course Materials

SEMINAR ON LOGIC


京都大学、現代文化学の基礎演習(佐野勝彦先生)のリンクから来た方々へ。佐野先生がリンクを張ってくださったので、サービスに昔話を一つ。

わ たしが論理学の授業を受けたのは、1965年、工学部を卒業して文学部へ学士入学した一年目だった。当時、そしてわたし自身が京都大学に教師として着任し た1990年まで、京大にはロクな「論理学者」はいなかった。したがって、わたしが受けた授業の先生は非常勤講師、東京から集中講義で来てくださった石本 新先生だった。いまと違って、当時の集中講義は60時間もあって、通例では夏と冬、30時間ずつを二回に分けてやることになっていた(つまり、非常勤講師 の先生に払う旅費は二回分しかなかったということ)。ところが、石本先生は、「そんな日程で論理学が身につくワケがない!」とおっしゃって、自腹を切って 数回にわたって京都へ出向いてくださったのだ。わたしは幸運だった。一年間の授業を生き残ったのはわたし一人、後半はほとんどマンツーマンのセッション だった。そこで、例えば、夏休みの宿題で出された課題(Kalish & Montagueの教科書の練習問題をできるだけたくさんやりなさい、という指示)を全部解いて、分厚い回答を郵便で送ったとき、さすがの石本先生も音を 上げて、「こんなたくさんは見られません!」と本音を漏らしてしまった。また、まだゼロックスコピーが高価だった時代、ゲンツェンの有名な歴史的大論文 (ドイツ語の原典)を青焼きのコピーでくださって、「勉強しときなさい」、クリーニの教科書(1952年)の一部をこれまたコピーでくださって、「ここま で読んどきなさい」という調子だった。そのおかげで、ミシガン大学留学中の1969年に、プラヴィッツが客員教授で来たとき、彼が教える内容のあらかた は、モデル理論の部分をのぞいて、ほとんど知っていたのだ。

何 が言いたいのかって?練習問題を十分にこなさずして論理学の実力はつかないということ!それを採点する教師の方も重労働なんやゾ!文学部のほかの教師たち をみてみい。期末のリポート一つで単位を与えるなんぞ、「犯罪もの」なのだ。わたしが若いとき旧教養部で論理学を教えた際には、週150通もの宿題(君た ちの教科書よりもレベルの高い、神野&内井の教科書から出題された)を一人で(ほぼ隔週で)採点したことがあるのだ!佐野先生に感謝の念を忘れず(なぜな ら、大変安い手当しかもらってないにもかかわらず、毎週宿題を見てくれるのだから)、しっかり食いついていけ。わかったか!


論理学演習

哲学、とくに科学哲学をや るためには論理学は不可欠である。厳密な思考方法を鍛え、数学やその他の科学の分野での「記号」や「数式」に対するアレルギー反応を取り除くためにも有益 である。もちろん、種々の分野での分析能力を磨くためにも有益である。うまい料理をおこなうためには、切れ味のよい包丁を使わなければならないのと同じよ うに、科学哲学の面白い題材も、切れ味のよい議論で料理するかどうかで、結果は雲泥の差となって現れてくる。「基礎演習」として必修にしている意味はそこ にある。テキストは、内井惣七 『真理・証明・計算』 (ミネルヴァ)を使う。

一般的な注意として、この論理学演習の第一義的な目標は、KNOW-THAT としての論理学の知識を与えることではなく、KNOW-HOW としての論理的思考、明晰な証明方法の訓練にある。したがって、基本的には毎回宿題が出されるので、覚悟しておかれたい。サボるのは自由だが、遅れて提出された宿題は採点しない(したがって、確実に点を失う)。成績は、提出された宿題の累積点数によって決める。

Attend or Perish!

KNOW-THAT としての論理学の知識は、以上のような毎日、毎週の作業の結果として(やるべきことをこなしていけば)当然獲得される仕掛になっている。とりあえず目標と なるのは、一階述語論理の完全性証明まで。ここまでの基本概念やテクニックが身につかないようでは、とても「論理学をやった」とはいえない。

厳しそうに見えるかもしれないが、恐れることはない。数学よりはよほどやさしいはずである。とくに、最初の方はアホみたいに簡単。ただ し、油断していると量化(または限量、「すべて」や「存在」という言葉が入り、関数と個体変項が入ってくるところ)が始まったところでかなりの者が脱落す る恐れあり。ここの関門を切り抜けるのがポイントとなろう(次の補足教材をしっかり読むこと。A Common MistakeRecursive DefinitionHow to make a Model? 諸君らの答案を見とると、とても読んどるとは思えんワイ!)

頭 だけで考えようとするな。紙と鉛筆と手も使え。身体を使って考えよう(当科哲史の発表演習では、腹式呼吸をマスターして大きな声でしゃべることが要求され ることを知っとるケ?内容を整理して歯切れよくしゃべることも、「よく考える」ことの一部と心得よ)。EXERCISE の原義に戻ろう。 その他の注意はおいおい追加していく予定。

この演習は2005年12月をもって終了しました。内井退職のため、来年度より別の担当者に代わります。このウェッブページは、ミラーサイト http://www1.kcn.ne.jp/〜h-uchii/Logic/のみで継続されます。京都大学文学研究科の内井のサイトは2006年以後は更新されませんし、削除されます。


読み物としてとりあえず以下の本を推薦し ておく。論理学をやった後の広がりがある程度見えてこよう。初心者が論理学の「教科書」をいくつもハシゴするのは感心しない(記号が違ったり、やり方が 違ったりして中途半端に混乱するだけ)。使用するテキスト(かなりの内容を整理して盛り込んである)をしっかりマスターする、わからないところは教師に質 問し、食いついていくことが肝要。あとは、(もし論理学の勉強を続けたいなら)自分が興味を覚えた分野の文献(論理学の本場はアメリカなので、ほとんどの 文献は英語)を読んで吸収するなり、研究会に参加するなり。論理学をやるなら、根気が続く若いうちが勝負。英語で論文を書けるように、英語力も鍛えよう。 論理学の論文を書くのに難しい言い回しはいらない。

林晋編『パラドックス!』日本評論社、2000。

内井惣七『推理と論理─シャーロック・ホームズとルイス・キャロル』ミネルヴァ書房、2004 [絶版だった新書二冊が一冊本になって再刊]。


Extra Materials

Logic and related fields, index for Uchii's online articles

Descartes' Analysis [propositional logic]

Boole's Symbolic Logic 

Let's make a Ronri-jaku (Logical Ruler) [propositional logic, Aristotelian syllogism]

Which is right? Protagoras vs. Euatholos [Japanese, propositional logic]

How to write your homework?

The Rules of Analysis

Repetition, implicit or explicit? [propositional logic, proof theory]

Intuitionistic Proof

Decision Procedure [propositional logic, predicate logic]

A Common Mistake [predicate logic]

Ordered Pair and the Like [model theory]

Recursive Definition [predicate logic]

How to make a Model? [predicate logic, model theory]

How to handle the Valuation Function?

Analysis of Quantified Formulae

Goedel; Turing; von Neumann, Burks

von Neumann and IAS computer

Discoveries and Inventions [von Neumann, ENIAC and EDVAC]

Arthur W. Burks, 1915-2008(更新!)

Be Sensitive to the Form! [predicate logic]

From a Program to a Machine

Halting Problem

Goedel's Theorem

Tarski's Theorem



Last modified Jan. 28, 2018. (c) Soshichi Uchii