Logic Seminar

Ordered Pair and the Like


順序対とは?

テキストでは「順序対」<x, y>について説明をはぶいているので、ここで補足しておこう。xとyからなる集合はもちろん{x, y} と表記される。このとき、二つの要素の順序は区別できず、

{x, y} = {y, x}

である。では、このような集合論の枠内で、順序を区別したいときにはどうするか?

集合論では、順序対も一つの集合として扱う。ただし、前記のような単純に表記できる集合ではなく、次のように工夫する。

<x, y> = {{x}, {x, y}}

これは、左辺の順序対が、右辺の集合で定義されるという意味である。この定義により、順序がきちんと区別できることを確認しよう。xとyの順序を変えてみれば、

<x, y> = {{x}, {x, y}}

<y, x> = {{y}, {y, x}}

となるから、いずれも集合であり、なおかつ順序の違いは集合の違い(集合は、その要素がすべて等しいときにのみ同一となる)として保たれていることに注意しよう。順序を区別できる、という点だけ満たす目的なら、同様にして、順序のついた三つ組み、四つ組みなども順序対の定義を応用して定義できる(ただし、公理的集合論の中で厳密な定義として採用できるかどうかは、他の公理などとの整合性を確認しなければならない)。たとえば、

<x, y, z> = <x, <y, z>>

このようにして、「関係」とは、「適当な順序対すべての集合」と見なして集合論の中では話が進められるのである。

集合論の単純に見える道具立てがいかに大きな威力を持っているか、少しは見当がついてきたかね?


Uchii, S. (1989) 『真理・証明・計算』ミネルヴァ書房、1989。


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