暗峠・宝山寺道

 「生駒の古道」P.121から記述されている道です。暗峠から生駒山頂へのハイキング道を進み、途中で分岐して、旧鶴林寺を通り、辻子谷越参道の三十三丁石付近に至る道ですが、説明の冒頭から、【この参道は現在、一部を除き消滅しています。】と書かれています。残っているのは暗峠からほんのわずかの距離と、旧鶴林寺からケーブル霞ヶ丘駅近くの五辻という分岐までと書かれています。ただ、旧鶴林寺の南にうつぶせ地蔵と呼ばれている十三仏種子碑があり、ここを訪れる人は多いようです。私の「石造遺物調査報告書」サイトの鬼取のページでも、うつぶせ地蔵への経路を紹介していますが、【うつぶせ地蔵からはそのまま引き返すことをおすすめします。】として、通ることを進めていません。しかし、至る所で、信貴生駒スカイラインにより寸断されていますが、結構残っているというのが私の実感です。寸断された地点はスカイラインに道が乗っ取られたか、工事により破壊されたかで、道の痕跡もなく、急斜面を降って上るというようなことになりますし、残存部も藪でわかりにくくなっているという状態ですが、最近この藪を払って下さった方がおられます。あすか野在住のTさんという方です。Tさんというと生駒民俗会のメンバーで、遠くても近くても「はるばる来る」人が有名ですが別人です。あすか野のTさんはほかでも古道修復に貢献してくださっていて、実は私が先に紹介した、庄兵ヱ道の神田川のコンクリート橋付近はTさんがかなり刈って下さったものです。南部庄兵ヱ道の整備もやって下さっています。Tさんのお仕事に加え、急坂にロープを掛けて、いくらか通りやすくしました。ただ、私の予想が甘く、持参したトラロープでは不十分で、まだまだ、ロープが欲しいところがありますが、取りあえず、「少し歩きやすくなった。」ということで紹介することにします。

 暗峠から出発しましょう。ここから、慈光寺道標までの見所は久曽麻留石のページで紹介していますので省略です。ただ、この間の経路が、「生駒の古道」本文では、【本参道は下(峠の地蔵堂下)の分岐点から右に続いていますが、・・・】(p.122)としてあるのに、P.173の地図では地蔵堂を通る道が書かれていて、地図と本文で説明が食い違っています。地図の方は明治41年測図地形図によったもので、本文の方は地元の人の聞き取り調査からのものでしょう。おそらく本文の方が正しいのですが、通れるのは地蔵堂前の道ですのでそちらを通ることになります。
 慈光寺道標の所でスカイライン脇に出ます。ここから200m足らずですがスカイラインを進みます。スカイラインの長いガードレールの2つめが終了したところでガードレールの外に出て下さい。少し南に戻ると旧参道への入口があります。下写真ではさっぱりわからない。一応赤テープを竹に巻いてありますし、ガードレールの支持棒に赤リボンがぶら下げてありますが、さっぱり目立ちません。入口反対側の斜面は石垣の終端です。

 慈光寺道標の所、このガードレールが1つ目です。

 ここが入口、2つ目のガードレール終端から少し戻ります。

 入口反対側の様子

 さて、ここから北上しますが、古参道がスカイラインに近づくたびに、道がわからなくなります。赤テープを目印に進んでください。赤テープが2系統の所もあります。そもそも古道が破壊されているところなのでそれぞれの人が自分の通りやすいところにマーキングしたせいです。どのコースが最良かという判断も難しくそのまま残してあります。まあ、どこも通れてどこもろくでもないところなのは同じです。よほどの急斜面にはロープを垂らしてあります。

 このロープを上ってスカイラインの石垣下を過ぎ、もう一度広々とした石垣下を通過して石垣北に出たところが深くえぐれた谷になっています。南から谷に降りるのは簡単ですが、北が急斜面で滑って上りにくい。

 右手の斜面が急傾斜です。

 この急斜面にロープを掛けようと思ったのですが、適当なしっかりした木がありません。やむを得ず、石垣の上へ上って谷の上を通過する道にしてあります。石垣は上るのに少ししんどいのでロープを掛けました。石垣のロープ上は緩斜面で上に進むととスカイラインに出られますが、旧鶴林寺へは石垣上を進みます。
 この難所をすぎて少し進むと、スカイライン途中にある配水施設のため道が無くなり、また急坂です。ロープを掛けてあります。

 これを上るとスカイラインとは離れていきます。しばらく進むと、明瞭な分岐があります。下りの方が明瞭で間違って進みやすい。この道は旧参道の可能性があり、鬼取からの旧鶴林寺参道途中の溜池付近に降りていたらしいのですが、現在は溜池の直前で絶壁になっており通行できません。途中で分岐して降ると鬼田墓地付近へ降る道ですが分岐から下は道が不明瞭になります。この地点で旧鶴林寺道への入口が明瞭になるように木を切ったのですが、あまり効果もなかったようです。お気を付け下さい。なお、降る道の方はシシ垣の北に沿って降っていくので、シシ垣見学には最適の道です。間違えず進むとうつぶせ地蔵(石造遺物調査報告書No.725)です。

 今はうつむいていません。

 ここから先はわかりにくいところはありませんが、道が細いので慎重にお通り下さい。まもなく旧鶴林寺の下の滝(八大の滝)のさらに下の石垣下に出ます。

 上って生駒三薬師の一つの薬師如来(石造遺物調査報告書No.719)にお参りしましょう。上る途中ですから八大の滝付近の地蔵様やお不動様にもお参りしておきましょう。

八大の滝地蔵尊
(No.722)
八大の滝不動明王
(No.724)
薬師如来像
(No.719) 

 薬師如来のある広場には宝山寺への道標があります。

 

 宝山寺の裏面は小平尾宝憧寺二十五丁です。暗峠を経由すると、5km(50丁)程になりますので、鬼取からの参道を下るのでしょう。ただ、それでも暗街道を経由すると3km程度になり、2.5kmでいける適当な道がよくわかりません。どこかショートカットの道が鬼取から下にあったのでしょう。
 旧鶴林寺から先、旧参道はケーブル霞ヶ丘駅へ向かいます。簡単な道ですので紹介は省略します。この道はロープが付けられて生駒山上方面へはよく整備されています。また、鬼取へ下る参道(旧鶴林寺の本参道)も平成の初め頃はろくでもない道でしたが、よく整備されています。急坂なのが難点ですが、倒木も藪もありません。先日この参道を登ってくる外国人に出合いました。どこから来たのか聞くとアメリカとのこと。この道がアメリカにまで知られているのかと思ったのですが(ウソ)、日本語ペラペラの青山台在住の方、つまり地元の方でした。生駒山上へは最短コースですね。この道は途中説明の必要などはないと思いますが、入口がわかりにくいので、そこだけ説明しておきましょう。おまけです。

 旧鶴林寺本参道の入口は庄兵ヱ道の道標があった三差路、矢崎ファーム手前です。降れば、庄兵ヱ道迂回路でラッキーガーデンに向かいますが、生駒山側に少し上ります。「鬼の茶屋」があり、その先に鬼の茶屋駐車場がありますが、駐車場手前の道を右へ進んでください。

 石垣の上が駐車場、右の道を入ります。

あとは道なりに進むだけです。すぐ、害獣防止柵がありますが、開けられます。鍵がないので、ロープを巻き付けて入口固定してあります。ほどいてまた元に戻すのが少し面倒ですが、庄兵ヱ道迂回路のうどんや風舞側の入口より遥かにわかりやすく親切です。

 掲示は読めませんが、開けたら閉めろという意味だと思います。

下が地図です。クリックすると印刷用PDFファイルになります。

ケーブル霞ヶ丘駅付近の紫破線は古参道ルートとして推定されている区間ですが、全く調査しておりません。

追記:紫破線の道は十分通行可能でした。整備して報告しています。(2017/12/03)
WEB検索してみると、ふぁんトントさんたちが過去に整備なさっていますね。色んな方がやって下さっているものです。昨年通ったときはやはり藪だったのですが、あすか野のTさんが刈って下さいました。しかしこの分だとまたすぐ藪ですね。

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