庄兵ヱ道のごろ寝地蔵

 暗街道から鳴川千光寺までの庄兵ヱ道の途中に倒れた道標があります。この道標は「生駒の古道」P.128で紹介されている2つの迂回路が出会う三差路にあるのですが、「古道」では紹介されていません。倒れているので見逃されたのでしょうか。私の知る限り昔から倒れていたのですが、いつ頃だったか記憶があいまいです。先日私の知り合いが、「こんなものを見つけた」と報告してくれて思い出したわけですが、ほうっておくと無くなってしまう恐れもあります。そこで、愛称を付け有名にし、無くならないようにしようと企みまして、「ごろ寝地蔵」と命名しました。道標は地蔵ではないって?いえいえ昔は何でも地蔵様です。うつぶせ地蔵の例もあります。鶴林寺の道標の1つはエプロンを着けて地蔵扱いされております。こうして名を付けておけば、「ゆーきは消えても消え残る、名は千歳の後までも」残ってくれる、てなこともないか。お通りの方は新規地蔵参入の「ごろ寝地蔵」様をありがたく拝んで大事にしてください。ところでごろ寝地蔵はもう一体あります。地名を付けて区別することにします。こちらは「西畑ごろ寝地蔵」、もう一体は「鳴川ごろ寝地蔵」と命名しました。

 西畑ごろ寝地蔵(道標2)

 無駄口はこのくらいにして本題を。暗街道以南の庄兵ヱ道は「生駒の古道」で調査紹介された後、状況に変化があって修正が必要になっています。そこで、地図と共に、コースの紹介をします。地図では道標に番号を付けました。「古道」でも番号が振られていますでの区別するため、「古道」の表記は【道標B】のように【】付きであらわしました。

 「古道」調査後に状況に変化があった点は、2点です。どちらも、暗街道からの迂回路に関するものです。1つめはP.128にある「万葉歌碑のある少し先から・・・・・・神田川にかかっている小さい橋を渡って・・・・・・」と記述してある道です。神田川を渡った所に動物よけの柵ができており、一見通行不可能になっています。そのため、ここを通ろうとする人はあきらめてしまい、ほとんど通る人がないようです。調査のため歩きましたが、荒れていました。この柵は通れます。柵を動かして通ってください。荒れた道もかなり修復しました。

 茶色い部分は開けられます。

 2つめは同じくP.128の「藤尾の阿弥陀堂の少し手前から・・・」の道です。この道は国道308号拡幅工事で阿弥陀堂のところがバイパス化された時、フェンスでふさがれ通行不能になってしまいました。一応通路がありますが施錠されています。もう少し下って、山びこホールの下(東)から南下することになります。

 フェンスの向こうに降る道がありますが・・・

 まずは万葉歌碑少し上の迂回路から説明します。うどん屋風舞入口の向かいから神田川方面(南)に下ります。田の中の道を進むと、神田川を渡り、上写真のフェンスにぶつかります。少し持ち上げ気味に手前に引いてください。他でよく見られる扉になっていませんので、あまり大きく動かすと、元に戻しにくい。人が通れる隙間程度にしましょう。通ったら閉めておくのは当然です。果樹の植わっている畑風のところを進み、山にぶつかったら、少し左手の、動物よけフェンスが途切れた所に山道の入口があります。山道に入ってすぐの所が細く危険です。道の拡幅か、ロープが欲しい所ですが、ロープを張る適当な木が見つからず、対処できていません。気をつけてお通りください。ここを過ぎると、よく踏まれた道を進みます。「古道」では北からの道と合流すると記述してあります。確かに合流するのですが、気づきにくい道です。この道は無視しましょう。やがて道標1(「生駒の古道」P.128の【道標B】)にぶつかります。ここからが庄兵ヱ道で南へ進みます。道標北には谷へ降る道(庄兵ヱ道)と、尾根を進む道があります。尾根道はしばらく進んで降ると不明瞭になり進めなくなります。無理して降っても暗街道に出られません。庄兵ヱ道を北上する方はこのポイントに十分注意してください。
追記:先日(2017/4/17)うどん屋の所からの道を入りますと、上写真の茶色い部分に針金が巻いてありました。説明のように持ち上げ気味にしても開けられません。一度針金をほどいて開けてください。しかし、この道は通行可であることが当然の道なのですが、知らない人が戸惑うようなことをするのは困ったものです。

  道標1【生駒の古道の道標B】

道標から右(南)へ200mばかり進むと、道標2(西畑ごろ寝地蔵)の三差路に到着です。三差路直前に巨大な倒木があり、南側からは先の道が見えませんでした。この通行妨害の無礼者は私のノコギリのサビと消えました。ところでこの三差路は少しも三差路らしくない。ごろ寝地蔵の前で自分がやってきた北からの道を見てください。分岐に見えません。倒木があった時はなおさらでした。これもこのコースの利用者が少ない理由だったのでしょう。北からも南からも入りにくい道です。ごろ寝地蔵が寝ないで働いていればもう少しわかりやすかったのでしょうが、現状はきわめてわかりにくい。しかし、この道をたどらないと道標1【道標B】には出会えません。

 もう一つの迂回路は入口さえわかれば特に解説もいらないほどの簡単な道です。山びこホール下にある民家下の石垣のところから入ります。南生駒から登ってこられた方はここより前にいくつも同じ道に入れる入口がありますが、遠回りだったりややこしい所があったりとあまりおすすめできません。

 山びこホール下入口

山びこホールグランドのある尾根を回り込んで神田川を渡ります。「阿弥陀堂少し手前の道」はここに降りていたわけです。渡った所で笹藪トンネルをくぐります。あとは、道なりに進めば、古池の北を通って道標2(西畑ごろ寝地蔵)に到着です。こちらの道を来た人は、すでに書いたように、ここが三差路だとまず気づきません。北上する方は気をつけてください。
教訓:道標のある所は分岐点

 さて、この先「古道」では『三差路から南へ行くと「左 宝山寺」、「右 元山上」と刻まれた道標があります。』と記述してあるのですが、南へ進めそうもありません。私も通ったことがありません。この部分は今後の課題とさせていただきます。従って、道標ひとつパスになります。ではどうするかというと、道標2(西畑ごろ寝地蔵)から西へ進んでください。明瞭な道です。170m進んだ所で、左(南)に急坂を降ります。よく気をつけていないと直進してしまいます。一応赤テープなどがたくさん巻いてありましたが、見逃しやすい。しかも降りが急坂で危険です。そこで、名案が浮かびました。「ロープをかければ、危険防止と、道迷い防止の一石二鳥!」というわけでロープをかけました。目印になるように、必要ない部分までロープを伸ばしてあります。うーむ、我ながら名案・・・まあ、誰でも考えつくことですが・・・

 ロープに添って降ってください。

降りきって沢を渡ります。沢沿いに進めそうな気がしてこのあたりがこのコースでは一番わかりにくい。赤テープと方角に十分注意してください。進むのは南です。ここからしばらく、沢の堆積で平坦な区間があり、左に通れそうな箇所がいくつかあります。このうちの1つが道標のある道だろうと思っていますが、先述したように今後の課題です。あとは単純に登るだけ、程なく峠にたどり着き、道標3と出会います。「古道」で変形四差路と表記している所の道標です。変形と言っても少し斜交している程度の十字路です。この道標の写真面は「左元山上」ですが、奇妙なことに北面が「左宝山寺」と、どちらも左です。「生駒の古道」では「右宝山寺」と書いてあるのですが、読み違っています。しかし、これでは道標として役に立ちません。他の道標で左右の向きがおかしいものは位置が変わってしまったと考えていたのですが、こんな道標があるところを見ると、始めから間違って建てられたものもあるのではないかと思えてきます。

 道標3【変形四差路の道標】)

 ここから尾根伝いに東へ進みますと、神武天皇関連石碑があり、そのすぐ東に向井山三角点があります。さらにすすむと、生駒市向井山運動公園に降るハイキングコースですが、三角点でもわずかな距離ですので、見て引き返し、南への道を降りましょう。
 南への道を降ると、途中で道が分岐します。右は少し平坦、左は急下りです。地形図の道は右の平坦な方ですが、どちらを通っても、次の【すく元山上】の道標(道標4)のところで合流します。実はこの分岐より前に、鳴川側から北上した時に入り込みやすい道があるのですが、まず気づきません。どこを通っても同じ道標4で合流します。「すく」と言っても「まっすぐ」の意味で時間の「すぐ」ではありませんから、期待しないように。まあ、時間のほうも「すぐ」です。

 道標4【すく元山上】

もう少し降ると、竹藪に入ります。この竹藪のはじめのほうに第2のごろ寝地蔵(鳴川ごろ寝地蔵)である、道標5が横たわっています。竹の落ち葉が積もって埋もれているときもあります。(時々掘り出しています。)

 道標5(鳴川ごろ寝地蔵)

これも「古道」には記載がありません。もしかすると調査時に埋もれていて見逃されたのかもしれません。ここも分岐になっています。左の降り道は鳴川墓地へ続くのですが、進んでも竹藪の中で道が分からなくなることが多い。鳴川墓地を尋ねるときは遠回りでも後に出てくる道標8から北上しましょう。
右の水平に近い道を進んでください。赤テープが巻いてあります。ここから先は藪の中の道で薄暗く、道の下の段も歩けて心細くなりますが、迷い込む道はありません。先へ進めば道標6があります。「古道」では石垣跡の所としてある道標です。ここも分岐ですが、分岐している道はかなり笹が茂っており、迷い込むことはないでしょう。

 道標6【石垣跡】

藪を抜けると畑が広がります。畑に降りていく道は千光寺から北上するときは少々わかりにくい。畑沿いに進むとT字路にぶつかり、道標7があります。千光寺から北上する場合はこの道標から西へ進んだ最初の山道への上り坂を見逃さないで下さい。油断するとどんどん畑沿いに進めます。
T字路を左へ行くと鳴川墓地です。右へ降って道標8のT字路です。ここを右へ進む道は鳴川峠への道です。鳴川峠へのハイキングコースは千光寺南の谷道を使う場合が多いのですが、ここも味のある道です。左折するとすぐ千光寺で山門に道標9(「古道」の【道標C】)があります。

道標7
【鳴川墓地とのT字路】
道標8
鳴川峠分岐 
道標9
千光寺山門【道標C】 

下が地図です。ちょっと使い物になりませんね。クリックするとPDFファイルを呼び出せます。向井山運動公園からのハイキングコースをおまけに付けておきました。

追記:今後の課題とした、三差路南の道標を発見しました。道標Xと名付けました。上の地図は修正して位置を書き込んであります。詳細は西畑の道標Xのページで解説します。
さらに、道標X北の道も整備しました。「庄兵ヱ道の橋」のページで紹介します。

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