五辻-宝山寺間の暗峠道

 暗峠・宝山寺参道の続編ということになります。
旧鶴林寺からケーブル霞ヶ丘駅までの道はよく整備されているのですが、「生駒の古道」によれば旧鶴林寺-ケーブル霞ヶ丘駅間の途中である「五辻」から分岐するのが本参道で、【本参道は分岐から消滅していますが、・・・この間約250mに道の面影は全くありません。】(P.123)としてあります。この、「五辻]からの道をたどってみました。
 たどってみた結果は・・・、なんと立派な道です。「道の面影がない」どころか、埋もれさせておくにはもったいないような道でした。ただ、明治の地図の道とは、ずれていますので、最も古い古参道はやはり失われているのかもしれません。
 五辻からの入口は急坂を下る、道でない斜面がよく目立ちます。明治の地図だと、そこが道になっているのですが、進んでも道とは思えません。それこそ「道の面影は全くありません」。「生駒の古道」の調査はこの斜面に対してのものかもしれません。通過できる古道入口は枝が茂っていて見つかりにくい状態でした。これを切り取り、赤テープを付けて入口を示し、その先の倒木を撤去した結果、ハイキング道の三十三丁石少し上に接続することができました。「生駒の古道」では【・・・三十三丁の丁石が建っている地点付近に出ていたようです。】としてあるので、きわめて近い道です。もしかすると、明治の地図が少し不正確で、この道こそが暗峠-宝山寺道なのかもしれません。この道を紹介します。

 まず入口です。「五辻」と言われてもわからない、というご意見が多いと思います。もっともです。旧鶴林寺-霞ヶ丘駅間の道にはコンクリート製の円柱道標が建っています。この円柱道標がすぐ近くで2本建っているところがあります。1本は山側、1本は谷側で、隣り合っているわけではありませんが、数mしか離れていません。この2本の道標に「五辻」と書いておきました。2本の道標の間から下ります。

 谷側の道標、五辻と書いておきました。

 道標南からの分岐道、右手の斜面は道でなく、古道入口は道標の向こう

 下っていくと低い石垣の上に出て、巨大倒木が道をふさいでいます。乗り越えるには高すぎ、くぐるには低すぎるのですぐ左で迂回します。

 この写真は下からなので、右で迂回します。

 この先は少し急な下り坂で、まもなく谷筋に出ます。涸れ谷ですが、道が少し不明瞭になります。谷をどんどん下ってはいけません。すぐに西のトラバース道に入ります。谷沿いに下る道は歩きにくいけれどなんとか下れてしまうので、間違いやすいところです。赤テープを沢山付けて道を示しています。なお、間違えて谷を下っていくと、霞ヶ丘駅から岩谷滝へ下る道に出ます。本来の出口より少し下になりますが遭難はしません。少し上って、正しい出口にたどり着けます。正しい出口の西側にはさらに西へ向かう明瞭な道があります。出口直前で太い配水パイプを横切ります。足を引っかけないようにしましょう。

 霞ヶ丘-岩谷滝道への出口、出たところから見ています。黒い配水パイプに注意して下さい。

 ここは交差点です。五辻からの道を復元する前は三差路でしたが、四差路に変わりました。上ると、霞ヶ丘駅です。急な石段の道ですが、しっかりしています。下ると、岩谷滝への道ですが、途中の古い配水施設と廃屋のある付近で道がわからなくなります。何度通っても正しい下り方(つまり通りやすいところ)がわかりません。おすすめしません。ここから現在の地形図にもある三十三丁石付近に下る道があれば都合がいいのですが、見つかりません。西へ向かってケーブルを横切る道に進みましょう。

 ケーブル東側出口、赤テープが巻いてあります。

 ケーブル線を横切る際はケーブルの運行にご注意ください。渡ったところは通信線保守のため藪が刈り込まれていて下ることができますが西へ進みましょう。

 ケーブル西側出口、西からケーブル線方向を見ています。ここも赤テープがあります。

 まもなく、山頂へのハイキング道の辻子谷越参道入口の少し上に合流します。合流地点の西には小さな階段があり、これを進むと辻子谷越参道に合流します。

 ハイキング道出口、向かいは下写真の階段です。

山頂ハイキング道西側の階段

 このルートは明治の地図に書かれた道とは少々違いますし、[生駒の古道]が推測している道とも微妙にずれています。ところで、辻子谷越道とハイキング道合流点のすぐ近くに「八大龍王五丁」道標があります。この道標の山側には階段があり、現ハイキング道と平行に上っていきます。(下地図の紫破線)途中から道が不明瞭になっておそらく現ハイキング道に合流するのだと思います。従ってこの道標が示す八大龍王への道は今回紹介した道のはずです。明治の地図にある道とは少し違いますが、五辻から宝山寺への道としてよく使われた道だろうと思います。暗峠・宝山寺道がこのルートであった時代もきっとあったはずです。

 下図が地図です。ケーブル線を横切るところ前後の入口が少しわかりにくいのですが、赤テープで示してあります。「五辻」から辻子谷越道までの道は立派な道です。

追記:八大龍王の道標の距離はさきに「十五丁」と記述しましたが、「五丁」でした。「十五丁」は「生駒の古道」の記述を写したものですが、道標のどこを見ても十五丁という文字は書いていない。ふぁんトントさんの指摘を受けて自分の写真を見ると「ありゃ、ほんとだ」。さらに現地に行って、隅々まで見ても指摘の通りです。このサイトは「生駒の古道」の重箱の隅をほじくるサイトだったはずが、全くお恥ずかしい間違いです。ふぁんトントさんは道標と初対面だそうで、私は回りで草刈りまでしているのに、なんということだ。謹んで訂正させていただきます。

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