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     あなたがいれば… -第5話-
作者:鏡裏さん

−朝食後・菖蒲の間−

直樹「なあ、真琴、後で海に行かないか?」
真琴「…うん」
美樹「昼頃には帰るからあまり時間ないわよ」
直樹「ああ、わかってる。
   そんなにいるつもりはないよ。
   美樹達もどこか行くのか?」
美樹「あたし?
   あたしは温泉」
進也「俺は寝る」
直樹「そうか…
   じゃあ、ちょっと行ってくるな」

−海岸−

真琴「今日は晴れてるね。
   いい気持ち…」
直樹「真琴…話を聞いてくれるか?」
真琴「うん…」
直樹「昨日、進也に言われたよ…
   おまえは血のつながりに縛られているって…」
真琴「……」
直樹「でも俺は…真琴が俺の妹でよかったと思う。
   妹じゃなかったら真琴のことを知ることもなかったかも知れない…
   そして、もし真琴と俺に血のつながりがなかったら
   喜んでおまえの告白を受け入れただろう。
   血のつながりがあるから真琴を知ることができて、血のつながりがあるから悩んだ。
   俺は血のつながりを否定するつもりはない。
   だから、真琴は俺の妹だ…」
真琴「うん…」
直樹「でも恋人でもあってくれたらいいと思う。
   うれしかったよ…真琴が俺のことをそんな風に想っているなんて…」
真琴「うん」
直樹「これじゃ駄目かな?」
真琴「十分だよ」
  真琴は直樹に抱きついた。
真琴「私すごく不安だった…」
直樹「真琴…泣いているのか?」
真琴「ごめん、お兄ちゃん…
   安心したらなんだか涙が出て来ちゃった…
   これって…夢じゃないんだよね…」
直樹「真琴…顔を見せてくれ」
真琴「泣き顔だもん…やだよ…」
   直樹は真琴の顎を持って上を向かせる。
   そして、唇を重ねた。
真琴「ん……」
直樹「夢じゃないだろ?」
真琴「…バカ」

−帰り道−

真琴「ねえ、お兄ちゃん」
直樹「……」
真琴「お兄ちゃんってば!」
直樹「…ん?なんだ?」
真琴「なに考えてたの?」
直樹「ああ…うん…
   なあ、真琴…」
真琴「な〜に?」
直樹「俺…これからは働くことになる…
   そしたら今までみたいなバイトよりは収入が増える。
   二人ぐらいなら暮らしていけると思うんだ」
真琴「うん…」
直樹「だから…一緒に暮らさないか?
   決して楽な暮らしじゃないと思う。
   真琴に家事を任せることになるかも知れない…
   それでも真琴が一緒に暮らしてくれると言ってくれるなら、俺はうれしいよ…」
真琴「うん、一緒に暮らそ。
   私もお兄ちゃんと一緒に暮らしたいよ…」
直樹「ありがとう」

−帰りの車の中−

進也「直樹とマコちゃんの仲はどうなったの?」
美樹「なに言ってるの。
   うまくいったに決まってるでしょ。
   二人の様子を見ればわかるじゃない」
進也「…見えないよ」
美樹「アハハ、そりゃそうだね。
   二人仲良く寝てるよ」
進也「そっか…」
美樹「どうしたの〜?
   うらやましいのかい?」
進也「別に…」
美樹「しょうがないな〜」
  美樹は進也の頬にキスをする。
  直樹と真琴は互いに寄り添って寝ていた…  
 

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