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−旅行当日・車の中− 直樹「おまえ免許持ってたのか」 進也「当たり前だ」 美樹「親父さんの車のくせに偉そうに」 真琴「免許持ってるなんてすごいですね」 進也「ははは、もっとほめてほめて」 美樹「バカが増長するからこれ以上言わないでね、マコちゃん」 進也「そんなひどいよ〜美樹ちゃ〜ん」 美樹「いいからちゃんと前を向いて運転しなさい」 真琴「お兄ちゃん」 直樹「ん?」 真琴「ところでどこ行くの?」 直樹「へ?」 美樹「なおきぃ、マコちゃんにどこに行くか言ってなかったの〜?」 直樹「……言ってなかったっけ?」 真琴「うん」 直樹「……」 進也「温泉だよ、お・ん・せ・ん♪ 卒業旅行といえば温泉だよね〜」 美樹「別に温泉じゃなくてもよかったんだけど、別に他にあてがなかったから 温泉になったの」 直樹「ということで進也に意見が採用されて温泉なんだけど、嫌だった?」 真琴「ううん、私お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ」 美樹「なっか良いわね〜♪」 進也「俺達も仲良くしようよ、美樹ちゃ〜ん」 美樹「根本的に違うでしょ!」 −旅館・菖蒲の間− 美樹「やっと着いたね〜」 進也「なんで美樹ちゃん達と俺達は別の部屋なの?」 美樹「当たり前でしょうが… 疲れるからいちいちくだらないこと聞かないでくれる」 直樹「さてこれからどうする?」 美樹「何言ってるの聞くまでもなく温泉に決まってるでしょ〜が」 進也「美樹ちゃん、俺と一緒に混浴に入ろうね〜」 真琴「あの〜、混浴ってなかったと思うんですけど…」 進也「なにー!」 直樹「そういやパンフレットにも書いてないな」 進也「お、俺の計画が…」 美樹「マコちゃん、バカは放っておいてさっそく温泉に行きましょ」 真琴「は、はい」 美樹と真琴は水仙の間に荷物を取りに行く。 −温泉・女湯− 真琴「うわぁ〜、広いですねぇ… なんか人がいませんね…」 美樹「世間一般じゃ今日は休みじゃないしね。 しかもこんな昼間から温泉に入るなんて あたし達ぐらいなんじゃない?」 真琴「そっかぁ。 今日は別に休みじゃないんだ」 美樹「それより早く入ろうよ」 −温泉・男湯− 進也「おお、人がいないとよけい広いな」 直樹「そういえば人がいないな」 進也「いない方がいいじゃねえか。 それよりさっさと入ろうぜ」 直樹「それはいいけど体ぐらい流してから入れよ」 進也「何でだ?」 直樹「エチケットだ」 体を流した俺は温泉に入った。 直樹「おまえ何やってんだ?」 進也「いや、女湯がのぞけないかなぁと思って」 直樹「バカなことやってないでさっさと降りろよ」 俺は進也を引きずり下ろす。 進也「そんなにマコちゃんの裸を見られるのが嫌か?」 直樹「ああ、嫌だね」 進也「……」 ん?何か聞こえる… 真琴「美樹さんって胸大きいですね〜」 美樹「そうかな?」 真琴「あの…触ってもいいですか?」 美樹「え?……まあ、いっか」 真琴「……すごい…柔らか〜い… いいな…大きくて」 美樹「あたしはマコちゃんのこのすべすべの肌がうらやましいな〜」 真琴「ちょ…そんなところ触らないで下さい…」 美樹「そんなところってどこ〜? ここのことかな〜?」 真琴「だ、だめです…そんな…」 ふと気付くと進也が俺の方を見ている。 直樹「な、何だよ…」 進也「いや〜直樹君も好きだね〜」 直樹「何のことだ?」 進也「いまマコちゃんと美樹ちゃんの会話聞いてたでしょ?」 直樹「い、いや……」 進也「まあ、いいか。 俺もう部屋に帰るから。 どうぞごゆっくり」 直樹「お、おい…」 −夕方・水仙の間− 美樹「直樹と進也はもう部屋にいるのかな?」 真琴「さっき部屋の前を通ったときに話し声が聞こえたから もういると思いますよ」 美樹「当たり前か… もうこんな時間だしね」 真琴「そういえばもう日が暮れて来てますね」 美樹「ハハハ…ちょっと入りすぎたかな?」 真琴は窓際に座って風に当たっていた。 火照った肌に風が気持ちいい。 真琴はふと美樹が自分を見つめているような気がした。 真琴「あの、どうしたんですか?」 美樹「え?」 真琴「私の方を見てませんでしたか?」 美樹「ああ…マコちゃんってかわいいなと思って」 真琴「え?」 美樹「ほんとかわいい…食べちゃいたいくらい」 真琴「あ、あの…」 美樹「ねえ、お姉さんといいことしな〜い?」 真琴「わ、わたし…」 美樹「耳まで真っ赤にしてかわいい…」 美樹の顔が真琴の顔に近づいてくる。 −同刻・菖蒲の間− 進也「なあ、まだ美樹ちゃん達帰ってこないのか?」 直樹「知らねえよ」 進也「もう2時間以上たってるぞ」 直樹「だから知らないって言ってるだろ」 進也「俺もう待ちくたびれたよ」 直樹「それが有料放送を見ながらいう言葉か?」 進也「だってこれって同じやつを何度もやってるよ。 もう飽きちゃったよ〜」 直樹「そんなこと知るか!」 進也「何だよ、真面目ぶって本なんか読んで… ねえ、話は変わるけど、マコちゃんって風呂長いの?」 直樹「ああ?今はどうかわからないけど、 2年前はそんなに長くなかったと思うぞ」 進也「ということは長いのは美樹ちゃんか…」 直樹「おまえ苦労するな…」 進也「おまえはいいな…」 直樹「何でだ?」 進也「マコちゃんは風呂短いんだろ?」 直樹「それがなんか関係あるのか?」 −水仙の間− 美樹「な〜んてね。 ベタな迫り方だったけど驚いた?」 真琴が崩れ落ちる。 美樹「そんなに驚いた?」 真琴「私もうどうなるかと思って…」 美樹「でもかわいいっていうのは本当よ。 ……ねえ、マコちゃんってカレシいるの?」 真琴「い、いえ、いませんよ」 真琴は首をブンブン振る。 美樹「そんなに首を振らなくてもわかるって… じゃあ、好きな人は?」 真琴「そ、それは…」 真琴の頬は再び紅くなる。 美樹「マコちゃんってわかりやすいわね。 その人ってどんな人?」 真琴「あ、あの…」 美樹「もしかして直樹?」 真琴「あ、いえ、その…」 真琴は俯いてしまった。 美樹「ふ〜ん、そうなの」 真琴「あの、こういうのってやっぱり変ですか?」 美樹「あたしは兄弟いないからよくわからないけど、別にいいんじゃない? 好きになった人とたまたま血がつながってた。 ただそれだけじゃない。 …ねえ、お兄ちゃんってそんなにいいものなの?」 真琴「お兄ちゃんはいつも私を守ってくれて、いつも一緒にいてくれた…」 美樹「まあ、あいつは優しいからねぇ。 あいつをよく知ってる人間なら好きになってもしょうがないか…」 真琴「美樹さんもですか?」 美樹「あたし? あたしには進也がいるからねぇ。 直樹はただの友達だね。 安心した?」 真琴「わ、私そんなつもりじゃ…」 −菖蒲の間− 進也「……おまえマコちゃんのことどう思ってるんだ?」 直樹「どうって…真琴は妹だぞ」 進也「マコちゃんはそう思ってないと思うぞ」 直樹「なんで…」 進也「何で俺にわかるかか… わかってないのはおまえだけじゃないのか?」 直樹「……」 進也「マコちゃんの様子を見てれば誰でもわかるよ… もう少し注意してマコちゃんを見てみたらどうだ?」 直樹「……」 進也「さてそろそろ飯だし、もう二人も帰ってきてるだろ。 じゃあ、俺は二人を呼んでくるから」 進也は部屋を出ていく。 直樹「真琴が俺のことを? …そうなのか?」 −食後・菖蒲の間− 進也「さて飯も食ったし…」 美樹「何よ」 進也「旅行といえばUNOだよねぇ?」 直樹「何でそうなるんだよ…」 進也「とにかくそうなんだー! ということで第11261回大UNOたいかーい!」 美樹「……」 直樹「……」 真琴「……」 進也「さて罰ゲームは…」 直樹「おいおい、罰ゲームがあるのかよ」 進也「これをコップ1杯飲むこと。 なお、罰ゲームは1ゲーム毎に行います」 美樹「酒を持ってくるなー!」 美樹が進也をグーで殴ってる…いたそ〜 直樹「俺達はいいとしても、真琴にまで飲ませるつもりか?」 (※未成年の飲酒は法律で禁じられています(笑)) 進也「何言ってるんだ。 マコちゃんの分はおまえが飲むんだよ」 直樹「俺が?」 進也「そうだよ。 じゃあさっそく始めるよ」 直樹「おい、ちょっと待てよ…」 −数時間後・菖蒲の間− 真琴「美樹さんって強いですね…」 美樹「なに言ってんの。 男どもが弱いだけよ」 真琴「(美樹さんが一番飲んでたような…)」 美樹「まったく直樹は水仙の間で寝るとか言って行っちゃうし… 進也はそこで寝てるし… 誰かあたしに付き合いなさいよ」 真琴「(もしかして美樹さんって酒癖悪い?)」 真琴はひきつった笑みを浮かべる。 美樹「そうだ!マコちゃんも飲も」 真琴「いえ、私は…」 美樹「ねえ、マコちゃん…」 美樹の声の調子が突然変わった。 美樹「直樹のことが気になる?」 真琴「え?あ、はい…」 美樹「今日は直樹と一緒に寝たら?」 真琴「え…でも…」 美樹「直樹になんか言われたら、私が水仙の間で寝てって言ったって 言えばいいから…ね」 真琴「でも…」 美樹「こんなチャンスは滅多にないんだから、ほら…」 美樹が真琴の背中を押す。 −水仙の間− 直樹は布団をひいて寝ていた。 真琴「お兄ちゃん、寝てるの?」 直樹「……」 真琴「どうしようかな…」 真琴「お兄ちゃん…一緒に寝てもいい? な〜んて答えが返ってくるはずないか…」 真琴は直樹の隣に布団を並べて横になる。 美樹の言葉が思い出された。 真琴「こんなチャンスは滅多にない…か…」 昔は一緒に寝てたのに… お兄ちゃんと私の部屋ができてからずっと別々… あの頃から私はお兄ちゃん事好きだったのかな? 真琴は自分の布団を出ると直樹の布団に潜り込んだ。 真琴「せめて今日だけは一緒に… いいよね…」 真琴は直樹に身体を寄せると、頬に軽くキスをする。 真琴「おやすみ…お兄ちゃん…」
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