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     あなたがいれば… -第2話-
作者:鏡裏さん

−旅行当日・車の中−

直樹「おまえ免許持ってたのか」
進也「当たり前だ」
美樹「親父さんの車のくせに偉そうに」
真琴「免許持ってるなんてすごいですね」
進也「ははは、もっとほめてほめて」
美樹「バカが増長するからこれ以上言わないでね、マコちゃん」
進也「そんなひどいよ〜美樹ちゃ〜ん」
美樹「いいからちゃんと前を向いて運転しなさい」

真琴「お兄ちゃん」
直樹「ん?」
真琴「ところでどこ行くの?」
直樹「へ?」
美樹「なおきぃ、マコちゃんにどこに行くか言ってなかったの〜?」
直樹「……言ってなかったっけ?」
真琴「うん」
直樹「……」
進也「温泉だよ、お・ん・せ・ん♪
   卒業旅行といえば温泉だよね〜」
美樹「別に温泉じゃなくてもよかったんだけど、別に他にあてがなかったから
   温泉になったの」
直樹「ということで進也に意見が採用されて温泉なんだけど、嫌だった?」
真琴「ううん、私お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ」
美樹「なっか良いわね〜♪」
進也「俺達も仲良くしようよ、美樹ちゃ〜ん」
美樹「根本的に違うでしょ!」

−旅館・菖蒲の間−

美樹「やっと着いたね〜」
進也「なんで美樹ちゃん達と俺達は別の部屋なの?」
美樹「当たり前でしょうが…
   疲れるからいちいちくだらないこと聞かないでくれる」
直樹「さてこれからどうする?」
美樹「何言ってるの聞くまでもなく温泉に決まってるでしょ〜が」
進也「美樹ちゃん、俺と一緒に混浴に入ろうね〜」
真琴「あの〜、混浴ってなかったと思うんですけど…」
進也「なにー!」
直樹「そういやパンフレットにも書いてないな」
進也「お、俺の計画が…」
美樹「マコちゃん、バカは放っておいてさっそく温泉に行きましょ」
真琴「は、はい」
  美樹と真琴は水仙の間に荷物を取りに行く。

−温泉・女湯−

真琴「うわぁ〜、広いですねぇ…
   なんか人がいませんね…」
美樹「世間一般じゃ今日は休みじゃないしね。
  しかもこんな昼間から温泉に入るなんて
  あたし達ぐらいなんじゃない?」
真琴「そっかぁ。
   今日は別に休みじゃないんだ」
美樹「それより早く入ろうよ」

−温泉・男湯−

進也「おお、人がいないとよけい広いな」
直樹「そういえば人がいないな」
進也「いない方がいいじゃねえか。
   それよりさっさと入ろうぜ」
直樹「それはいいけど体ぐらい流してから入れよ」
進也「何でだ?」
直樹「エチケットだ」

  体を流した俺は温泉に入った。
直樹「おまえ何やってんだ?」
進也「いや、女湯がのぞけないかなぁと思って」
直樹「バカなことやってないでさっさと降りろよ」
  俺は進也を引きずり下ろす。
進也「そんなにマコちゃんの裸を見られるのが嫌か?」
直樹「ああ、嫌だね」
進也「……」
  
  ん?何か聞こえる…

真琴「美樹さんって胸大きいですね〜」
美樹「そうかな?」
真琴「あの…触ってもいいですか?」
美樹「え?……まあ、いっか」
真琴「……すごい…柔らか〜い…
   いいな…大きくて」
美樹「あたしはマコちゃんのこのすべすべの肌がうらやましいな〜」
真琴「ちょ…そんなところ触らないで下さい…」
美樹「そんなところってどこ〜?
   ここのことかな〜?」
真琴「だ、だめです…そんな…」

  ふと気付くと進也が俺の方を見ている。
直樹「な、何だよ…」
進也「いや〜直樹君も好きだね〜」
直樹「何のことだ?」
進也「いまマコちゃんと美樹ちゃんの会話聞いてたでしょ?」
直樹「い、いや……」
進也「まあ、いいか。
   俺もう部屋に帰るから。
   どうぞごゆっくり」
直樹「お、おい…」

−夕方・水仙の間−

美樹「直樹と進也はもう部屋にいるのかな?」
真琴「さっき部屋の前を通ったときに話し声が聞こえたから
   もういると思いますよ」
美樹「当たり前か…
   もうこんな時間だしね」
真琴「そういえばもう日が暮れて来てますね」
美樹「ハハハ…ちょっと入りすぎたかな?」

  真琴は窓際に座って風に当たっていた。
  火照った肌に風が気持ちいい。
  真琴はふと美樹が自分を見つめているような気がした。

真琴「あの、どうしたんですか?」
美樹「え?」
真琴「私の方を見てませんでしたか?」
美樹「ああ…マコちゃんってかわいいなと思って」
真琴「え?」
美樹「ほんとかわいい…食べちゃいたいくらい」
真琴「あ、あの…」
美樹「ねえ、お姉さんといいことしな〜い?」
真琴「わ、わたし…」
美樹「耳まで真っ赤にしてかわいい…」
  美樹の顔が真琴の顔に近づいてくる。

−同刻・菖蒲の間−

進也「なあ、まだ美樹ちゃん達帰ってこないのか?」
直樹「知らねえよ」
進也「もう2時間以上たってるぞ」
直樹「だから知らないって言ってるだろ」
進也「俺もう待ちくたびれたよ」
直樹「それが有料放送を見ながらいう言葉か?」
進也「だってこれって同じやつを何度もやってるよ。
   もう飽きちゃったよ〜」
直樹「そんなこと知るか!」
進也「何だよ、真面目ぶって本なんか読んで…
   ねえ、話は変わるけど、マコちゃんって風呂長いの?」
直樹「ああ?今はどうかわからないけど、
   2年前はそんなに長くなかったと思うぞ」
進也「ということは長いのは美樹ちゃんか…」
直樹「おまえ苦労するな…」
進也「おまえはいいな…」
直樹「何でだ?」
進也「マコちゃんは風呂短いんだろ?」
直樹「それがなんか関係あるのか?」

−水仙の間−

美樹「な〜んてね。
   ベタな迫り方だったけど驚いた?」
  真琴が崩れ落ちる。
美樹「そんなに驚いた?」
真琴「私もうどうなるかと思って…」
美樹「でもかわいいっていうのは本当よ。
   ……ねえ、マコちゃんってカレシいるの?」
真琴「い、いえ、いませんよ」
  真琴は首をブンブン振る。
美樹「そんなに首を振らなくてもわかるって…
   じゃあ、好きな人は?」
真琴「そ、それは…」
  真琴の頬は再び紅くなる。
美樹「マコちゃんってわかりやすいわね。
   その人ってどんな人?」
真琴「あ、あの…」
美樹「もしかして直樹?」
真琴「あ、いえ、その…」
  真琴は俯いてしまった。
美樹「ふ〜ん、そうなの」

真琴「あの、こういうのってやっぱり変ですか?」
美樹「あたしは兄弟いないからよくわからないけど、別にいいんじゃない?
   好きになった人とたまたま血がつながってた。
   ただそれだけじゃない。
   …ねえ、お兄ちゃんってそんなにいいものなの?」
真琴「お兄ちゃんはいつも私を守ってくれて、いつも一緒にいてくれた…」
美樹「まあ、あいつは優しいからねぇ。
   あいつをよく知ってる人間なら好きになってもしょうがないか…」
真琴「美樹さんもですか?」
美樹「あたし?
   あたしには進也がいるからねぇ。
   直樹はただの友達だね。
   安心した?」
真琴「わ、私そんなつもりじゃ…」

−菖蒲の間−
   
進也「……おまえマコちゃんのことどう思ってるんだ?」
直樹「どうって…真琴は妹だぞ」
進也「マコちゃんはそう思ってないと思うぞ」
直樹「なんで…」
進也「何で俺にわかるかか…
   わかってないのはおまえだけじゃないのか?」
直樹「……」
進也「マコちゃんの様子を見てれば誰でもわかるよ…
   もう少し注意してマコちゃんを見てみたらどうだ?」
直樹「……」
進也「さてそろそろ飯だし、もう二人も帰ってきてるだろ。
   じゃあ、俺は二人を呼んでくるから」
  進也は部屋を出ていく。
直樹「真琴が俺のことを?
   …そうなのか?」

−食後・菖蒲の間−

進也「さて飯も食ったし…」
美樹「何よ」
進也「旅行といえばUNOだよねぇ?」
直樹「何でそうなるんだよ…」
進也「とにかくそうなんだー!
   ということで第11261回大UNOたいかーい!」
美樹「……」
直樹「……」
真琴「……」
進也「さて罰ゲームは…」
直樹「おいおい、罰ゲームがあるのかよ」
進也「これをコップ1杯飲むこと。
   なお、罰ゲームは1ゲーム毎に行います」
美樹「酒を持ってくるなー!」
  美樹が進也をグーで殴ってる…いたそ〜
直樹「俺達はいいとしても、真琴にまで飲ませるつもりか?」
  (※未成年の飲酒は法律で禁じられています(笑))
進也「何言ってるんだ。
   マコちゃんの分はおまえが飲むんだよ」
直樹「俺が?」
進也「そうだよ。
   じゃあさっそく始めるよ」
直樹「おい、ちょっと待てよ…」

−数時間後・菖蒲の間−

真琴「美樹さんって強いですね…」
美樹「なに言ってんの。
   男どもが弱いだけよ」
真琴「(美樹さんが一番飲んでたような…)」
美樹「まったく直樹は水仙の間で寝るとか言って行っちゃうし…
   進也はそこで寝てるし…
   誰かあたしに付き合いなさいよ」
真琴「(もしかして美樹さんって酒癖悪い?)」
  真琴はひきつった笑みを浮かべる。
美樹「そうだ!マコちゃんも飲も」
真琴「いえ、私は…」
美樹「ねえ、マコちゃん…」
  美樹の声の調子が突然変わった。
美樹「直樹のことが気になる?」
真琴「え?あ、はい…」
美樹「今日は直樹と一緒に寝たら?」
真琴「え…でも…」
美樹「直樹になんか言われたら、私が水仙の間で寝てって言ったって
   言えばいいから…ね」
真琴「でも…」
美樹「こんなチャンスは滅多にないんだから、ほら…」
  美樹が真琴の背中を押す。

−水仙の間−

  直樹は布団をひいて寝ていた。
真琴「お兄ちゃん、寝てるの?」
直樹「……」
真琴「どうしようかな…」
真琴「お兄ちゃん…一緒に寝てもいい?
   な〜んて答えが返ってくるはずないか…」
  真琴は直樹の隣に布団を並べて横になる。
  美樹の言葉が思い出された。
真琴「こんなチャンスは滅多にない…か…」
  昔は一緒に寝てたのに…
  お兄ちゃんと私の部屋ができてからずっと別々…
  あの頃から私はお兄ちゃん事好きだったのかな?
  
  真琴は自分の布団を出ると直樹の布団に潜り込んだ。
真琴「せめて今日だけは一緒に…
   いいよね…」
  真琴は直樹に身体を寄せると、頬に軽くキスをする。
真琴「おやすみ…お兄ちゃん…」 

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