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−朝・水仙の間− 美樹「ほら、起きなさい!」 真琴「お兄ちゃん起きて」 直樹「……」 美樹「起きんかい!」 美樹が直樹の布団をはがす。 直樹「んあ?なんだ…」 美樹「もう朝なんだからさっさと起きなさい!」 直樹「あ?ああ…頭いってー…」 真琴「お兄ちゃん、大丈夫?」 直樹「ああ…あれ?進也は?」 美樹「進也ならまだあっちの部屋で寝てるよ」 直樹「……じゃあこれは誰の布団なんだ?」 美樹「マコちゃんのよ」 直樹「真琴が一緒に寝たのか?」 美樹「そうよ。 男二人が別の部屋で寝るからしょうがなかったのよ」 直樹「そうか… 顔洗ってくる…」 美樹「昨日はどうだった?」 真琴「どうだったって…」 美樹「例えば一緒の布団で寝たとか…」 真琴「え、あ、あの…どうしてわかるんですか?」 美樹「う〜ん…我ながらするどい勘だねぇ。 それにしてもマコちゃんって結構大胆ね」 真琴の頬が紅く染まる。 美樹「いいのよ。 これからもそれくらい積極的にねっ。 それじゃあたしは進也を起こしてくるから」 −朝食後・菖蒲の間− 直樹「今日はどうするんだ?」 美樹「そうだね〜 別行動ってのはどう? あたしは進也とどっか適当に行って来るから直樹はマコちゃんと…」 直樹「別々に行動するのか?」 美樹「別にどこか見たくて来た訳じゃないんだからいいんじゃない? ねえ、マコちゃん」 真琴「は、はい」 −旅館前− 美樹「じゃあ、またね。 仲良くやるのよ。 あたし達はもう行くから」 進也「美樹ちゃん、俺頭痛いよ〜」 進也は美樹に引きずられていった。 直樹「さて、どこか行きたいところある?」 真琴「…見るようなところってあるの?」 直樹「別にないか… じゃあ、海にでも行く?」 真琴「…うん」 −海岸− 真琴「…晴れてたら良かったのにね」 直樹「そうだな。 昨日まで晴れてたのに、今日は寒いな」 真琴「ねえ、お兄ちゃん…」 直樹「ん?」 真琴「私今度は夏に来たいなぁ…」 直樹「そうだな〜」 真琴「今度は二人で…」 直樹「え?」 真琴「何でもないっ……わっ!」 真琴は転びそうになる。 直樹「おっと!」 直樹は真琴の腕をつかんで支えてやった。 真琴「あ…お兄ちゃん…」 直樹「気を付けろよ」 真琴「…うん」 直樹「あれ?降ってきたのか?」 降り出した雨は次第に強くなってくる。 直樹「どこか雨宿りできるところは………あそこにしよう」 直樹は真琴の腕をとって走った。 −バス停− 直樹「ここはバス停か… 真琴、大丈夫か?」 真琴「…うん」 雨の降る音の中、真琴の荒い息づかいが聞こえてくる。 直樹「真琴、どうかしたのか?」 真琴「…ごめん、お兄ちゃん…」 真琴は直樹に寄りかかってきた。 直樹「真琴、どうしたんだ!?」 直樹は真琴の額に手を当てる。 直樹「熱があるじゃないか…」 直樹は外の様子を見てみた。 雨が止む様子はない。 直樹「クソ! しょうがない…」 直樹は自分の上着を脱ぐと真琴に着せた。 直樹「ちょっと我慢してくれよ」 直樹は真琴を背負うと旅館に向かって走った。 −菖蒲の間− 直樹「まずこの濡れた服を脱がさないと…」 直樹は真琴の服を脱がせる。 真琴は下着姿になった。 直樹「これも脱がさないと駄目か…」 直樹は真琴のブラジャーをとって、浴衣の上に寝かせた。 真琴を運ぶ間もどうしても真琴の胸に目がいってしまう。 何を考えてるんだ、俺は… 浴衣の上に寝かせると、パンティを脱がせて浴衣を着せる。 暗い谷間の奥にわずかに亀裂の一部が見えた。 そのまま真琴を運んで布団に寝かせる。 −数時間後・菖蒲の間− フロントで医者を呼んでもらって、解熱の注射を打ってもらった。 医者が帰った後は、直樹一人で真琴の側にいる。 そして汗の浮かび上がる真琴の額をたまに拭いてやっていた。 真琴が身体を動かす。 直樹「真琴…起きたのか?」 真琴「………お兄ちゃん…ごめんね…」 直樹「そんなこと…いいよ… それより早く直せよ。 こんな所で寝てるんじゃおまえもつまらないだろ?」 真琴「…うん…わかった…」 直樹「汗はかいてないか? かいてるなら着替えた方がいいぞ」 真琴「うん…じゃあ、着替える…」 直樹「俺は後ろ向いてるから」 衣のすれる音が聞こえる。 俺は何をどきどきしてるんだ… 妹とはいえ女がすぐ側で着替えを… 真琴「……お兄ちゃん…」 直樹「え?」 直樹は思わず振り返ってしまった。 真琴の白い背中が目に飛び込んでくる。 少し物憂げな少女がそこにはいた。 思わず見とれてしまう。 真琴「…お兄ちゃん?」 直樹「え?ああ、ご、ごめん!」 直樹は再び背を向けた。 真琴「…お兄ちゃんが着替えさせてくれたの?」 直樹「…そうだよ」 真琴「ふ〜ん…替えの浴衣取ってくれる?」 なんで何も言わないんだ… 直樹「あ、ああ」 直樹は背を向けたまま浴衣を手渡す。 真琴「うふふ…私が背を向けてるからこっち向いてもいいよ」 直樹「いや、そういうわけには…」 浴衣を着た真琴は再び布団に寝た。 真琴「お兄ちゃん…」 真琴は直樹の方に手を伸ばしてくる。 直樹は真琴の手を握ってやった。 直樹「ここにいてやるからちゃんと直せよ」 真琴「……ありがとう…」 −さらに数時間後− 進也「たっだいま〜」 直樹は仕草で静かにするように言う。 進也「ン?どうしたの?」 美樹「静かにしろって言ってんのよ。 あたし達はあっちの部屋に行ってるから」 −水仙の間− 進也「ねえねえ、どうしたの?」 美樹「マコちゃんが寝てたでしょ。 あんた見なかったの?」 進也「何で?」 美樹「そんなこと知らないわよ」 直樹が部屋に入ってきた。 美樹「マコちゃんどうしたの?」 直樹「風邪だよ。 熱があるんだ」 美樹「そうなの…」 進也「大丈夫なのか?」 直樹「ああ、医者に診てもらって、注射も打ってもらった」 美樹「まあ、とりあえずは安心か…」 直樹「じゃあ、俺はあっちに戻るから」 美樹「うん」 直樹「あ、それと、すまないけど… 今日も真琴と一緒の部屋で寝るから」 進也「ああ、美樹ちゃんのことは俺に任せろ」 美樹「なんか間違ってるね、あんたって」
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