《特車二課棟正門》

そこには一人の女性が立っていた
警視庁の礼服に身を包む
ボーイッシュな髪型の若い女性・・・
今日より特車二課第二小隊に配属される霧島マナである。

(ここがあの特車二課かぁ、 いきなりここに配属されるなんてラッキー♪
 これで同じスタートラインに立ったってわけね。)

ニコニコした顔のまま特車二課へと入って行った。


マナが中に入ってから20分後くらい・・・
今度は一組のカップルが歩いてくる。

男性のほうは大きな荷物を持っていて
女性のほうがその荷物を持っている男性に気を使っているようである。

「あの・・・ホントにありがとう。」

「ん?いや、ええんや。こんな重いもん女の持つもんやない。
 ま、同僚って事も分かったんやし・・・な?」

「う、うん。ありがと・・・それから、これからよろしくね。」

「おう。よろしゅうな!」

二人は会話をしながら特車二課の正門に向かって歩いていた。
そのときに後ろから一台の車が走ってきて追い越した。
どうやら年代もののガソリン車のようである。

(なんや、こんなところで"ν(ニュー)Road"に会うなんてな。
 珍しいもんやな。ここで会うってことは同業者かいな?)

ちょっと車が好きなんであろう、四菱製往年の"νRoad"の後姿を
眺めていたらその車は数十メートル先でハザードを焚いて停まり
少しの間を置いてから運転手が降りてきた。
どうやら女性のようである。
その女性はニコニコ(にやにや?)しながら二人のところに駆け寄ってきた。

「鈴原じゃない。久しぶりね。」





PATLAYBOR -New Laybor《EVA》

File Name/二課へと進む道





《数分前》

"νRoad"車内

"νRoad"は10年位前に世界で数台という台数しか生産されなかった
ステーションワゴンで、日本にはこの一台しかないであろうという車である。
その車を運転しているのは碇アスカという女性
助手席に乗っているのは碇シンジという男性
一月前に結婚したばかりの"新婚さん"である。

今日から新天地である特車二課で仕事をすることになっているが
出頭が午後のため時間調整を兼ねながらのドライブのようである。


「ん〜、日差しがまぶしいけど気持ちが良いわね。」

「そうだね。新都心もだいぶ工事が終わってきれいになったね。」

「ホントホント、昔の資料を見たら<夢の島>だったもんね。
 異動申請出そうかと思っちゃったわよ。ま、シンジと一緒だから絶対そんなことしないけどね。

「ん?最後のほう聞こえなかったんだけどなんて言ったの?」

「な〜んでもな〜い。」

微笑みながら運転するアスカを見て
さっきの言葉がきになるものもアスカが
楽しそうだからまぁいいやと思ってしまう。

「・・・それにしてもアスカが異動申請出さなくて良かったよ。」

「なんで?」

ハンドルを握りながらも横目でシンジのほうを見るアスカ
シンジはアスカのほうを見て微笑みながら答えた。

「だってアスカと一緒じゃないか。アスカがいないから仕事したくないって訳じゃないけど
 折角一緒になったんだし一生懸命仕事をすれば職場でも家でもアスカと一緒に入れるんだよ。
 こんなにうれしいことはないよ。」

「う〜・・・・・・合格よ。アンタと結婚して正解だったわ。」

と、言いながら顔を真っ赤にしながらハンドルを握りなおす。

自分のさっき言った台詞を本当に聞いてなかったのか
と言うような台詞だったが、シンジも同じ事を言ってくれたし
一緒に居れることを嬉しいって言ったくれた。
ダンナとして合格(惚れ直)したようである。

「う、うん。ありがとう。」

真っ赤になりなってハンドルを握っているアスカをみて
自分もなんだか恥ずかしくなってしまい。
うつむきながら返事をする。

その後二人はいい雰囲気の中会話がなく
時々二人の目が会うと顔を紅潮させうつむいてしまうという
状態を何度も繰り返しその行為は特車二課棟に近づくまで行われた。

特車二課棟に近づいたときにアスカが前を歩いている二人組に気が付いた。

「ねぇ、あの二人って特車二課の人じゃないの?」

「あ、そうかな?礼服を着てるからもしかしたら僕達と一緒に配属される人じゃないかな?
 ・・・男の人大きな荷物を持ってるね。二課まですぐそこだけど通り過ぎるのもなんだから
 乗せてあげようか?。」

「ん、それもそうね。折角仲間になるんだから挨拶もしたいしね。
 でも、二課の人じゃなかったら恥ずかしいから通り越すときに確認してからにしましょ。」

「オッケー、アスカにまかせるよ。」

(アスカは自分が恥ずかしい目に会うのを極端に嫌がるからなぁ)
と、心の中で苦笑しながら了解した。


そして車は二人を追い越す。
追越際にアスカとシンジはミラーで二人のことを確認する。
そしてアスカは車を停車させた。

「なんだ、アタシの知ってるヤツだわ。」

「アスカの知り合いなの?ヤツって事は男の人の方?」

シンジはアスカの昔の知り合いをほとんど知らないので
ちょっと嫉妬心も入っているかもしれないがシンジは気づかない。

「そうよ、研修校時代の知り合いよ。鈴原トウジって言ってただのバカよ。
 どうやら同じ課に所属されるみたいね。シンジもあいつのバカが伝染しないように気をつけてね。」

鈴原トウジと言う人物を思い出したんだろう。少しいやそうな顔をしながら答えた。
アスカに「ただのバカ」と言わせるような事件でもあったのだろうか?

「ふ〜ん、研修校一緒だったんだ。」

シンジはちょっと安心したようである。
(でも、アスカって僕のこともバカシンジって呼んでるよな。
 トウジって人は僕よりバカなのかな?)

アスカの言葉を額面どおりに受け取っているようである。
いがみ合ってたころ(?)は本当に”バカシンジ”だったが
そのなごりで今も言われているのだろう。

シンジが大好きなアスカが本当の意味で
”バカシンジ”と呼ぶことはまずなくなったと言って良いだろう。

「それにしても、あんなカワイイ娘と出頭してくるなんて
 あいつもやるようになったわね。・・・ワイは硬派や!みたいなこと言ってたと思うけど。
 ま、いいや。あいつら乗せてあげましょう。シンジはちょっとまっててね。」

アスカはニヤリとした顔をすると車を降りていった。
遠くで「鈴原じゃない。久しぶりね。」と言う声が聞こえる。

・・・聞こえていたがシンジにはアスカのニヤリ顔の方が気になっていた。
(あの顔をしてるときのアスカは人をからかったり
 自分に都合のいいときの顔だからな・・・大丈夫かなあの二人。)





  













「お、なんや惣流やないか。久しぶりやなぁ。
 おどろいたで、あんな良い車に乗っ取るんか?」

トウジはアスカがなんでこんな所にいるのかっていう疑問よりも
車のほうが気になったようである。

アスカもトウジとの再会よりも隣の女性との中が気になっているようである。

「そんなことよりも、どうしたのかなぁ?鈴原くん。隣にこんなカワイイ人連れちゃって。
 アンタも硬派だ!とか言ってた割にはちゃんとやることやってるじゃない。」

顔をニヤニヤしながらからかいモード全開のアスカである。

「「なっ!!」」

からかいを聞いた二人は顔を見合わせてすぐに
真っ赤になりながら少しの間沈黙、そしてトウジが反論する。

「な、なに言ってんのや、ほ、洞木とはさっき会ったばかりや。
 同じバスに乗っとって荷物が重そうやったからもってやっただけや。」

「そ、そ、そうなんです。鈴原君が持ってくれてるから一緒に歩いてきただけです。」

トウジと一緒にいる女性も後から反論する。

「なぁ〜んだ。鈴原にも遅い春が来たと思ったのにな〜。」

と、言いながらアスカは二人の反応がなかなか気に入ったのか楽しそうである。
楽しそうな表情のまま今度は女性のほうに話し掛ける。

「あ、挨拶が遅れたけど今度、特車二課第二小隊に所属された
 碇アスカ巡査です。アスカって呼んでね。よろしく〜。」

と、言って手を差し出す。
女性もアスカの手を取って自己紹介をする。

「私も今度第二小隊に所属になった洞木ヒカリです。階級も同じ巡査よ、
 私のこともヒカリって呼んでね。よろしく、アスカ。」

二人の自己紹介が終わった後、ヒカリが質問した。

「そういえば、今碇アスカって言ってたわね。結婚されたの?」

そういえば、という顔をしてアスカの顔をみるトウジ
研修校時代は惣流姓でさっき自分も「惣流」と呼んでいたのだ。

「うん、そうよ。一月前に結婚したんだ。ダンナも同じ職場よ。
 職場では惣流って名乗るから鈴原は前と同じ惣流って呼んでくれればいいわよ。」

「そうか、分かった。惣流が結婚したなんてな〜。そういえば昔よりなんや付き合い
 やすそうになったもんな。これも、ダンナの愛のおかげかいな?ま、おめでとさんや。」

「ありがと。」

アスカは幸せいっぱいの笑顔でトウジに返事をする。
ヒカリもアスカの幸せな顔を見て自分もいつかは、と思いを馳せた。

「そういえばダンナさんは車の中なの?」

「うん、そうよ。鈴原の荷物が重そうだから距離はそんなにないけど
 乗せてってあげようってシンジが言うから停まったのよ。
 シンジの好意で乗せてってあげるから荷物積んじゃいなさいよ。」

「ダンナはんの好意か。まぁ、後ちょっとだけど折角だし乗せてもらうわ。」

トウジはあさっり了承した。

「ヒカリもどうぞ。」

今度はヒカリに勧める。ヒカリはちょっと考えてから

「うん。荷物も私のだし折角だから乗せてもらうわ。」

そして3人は車へと向かった。

3人はさっさと車に乗り込むと、
トウジとヒカリはシンジに簡単な自己紹介をして
シンジも二人に挨拶を返した。
アスカは運転席に乗り込むと、

「ま、後で自己紹介もあるしこれから一緒なんだから
 とりあえずそんな挨拶でいいんじゃないの?」

と、言うと車を発進させた。
発進させてから特車二課の正門をくぐるまで1分もかからなかった。




車を《来賓用》と、白線で書かれた所に停めると、中から一人の
高齢の男性が出てきた。


(おや?珍しいな、νRoadとは。日本に2台は無いと思ったんだが・・・)


高齢の男性が車を見ながら思考の海にダイブしようとしていると
車のドアが開き見知った顔が降りてきた。


「・・・シンジ君じゃないか。」


「え?」

シンジは車を降りたばかりで二課の関係者であろう人に
いきなり名前を呼ばれたのでビックリしたがその人物の顔を
確認するとその男性の前へと駆け寄り、微笑みながら挨拶をした。

「・・・・冬月のおじさんっ!!!・・・・お久しぶりです。」

「あぁ、久しいな・・・何年ぶりになるんだろうか・・・シンジ君がこんなに
 大きくなってるなんてな。」

「えぇ、おじさんが居なくなってから大分たちますからね。
 警察のレイバー整備担当になったことは父さんに聞いていたんですが・・・」

「碇のやつは相変わらずシンジ君と会話するのが苦手なようだな。
 私はシンジ君が同業者になってつい先日結婚したっていう情報まで
 ユイ君にもらっているのに・・・それにしてもシンジ君が結婚するなんてな。
 遅くなったが「おめでとう」を言わせてもらうよ。」

「ありがとうございます。」

そういってシンジは礼をすると車のほうを振り向いてアスカを呼んだ。
アスカはヒカリの荷物をサードシートから降ろしていたようで
荷物をトウジに渡すとシンジの隣へ来た。

「おじさん、紹介します。妻のアスカです。」


(!?シンジ・・・つ、妻って・・・・はぁ・・・ いい響きだわ〜(*^^*))

アスカは、いきなりシンジに”妻”と紹介されて
ちょっと、顔を赤らめながら冬月に会釈をし

「妻のアスカです。はじめまして。」

と、挨拶した。冬月は

「はじめまして。ここの整備班の班長をしている冬月だ。昔シンジ君のお父さんの所で
 世話になっていてね、シンジ君とは、知り合いなんだよ。」

「あ、そうなんですか。お義父さんの所でですか・・・。」

「おじさんは母さんと一緒で副社長だったんだよ。」

「えぇ!そんなえらい人がどうしてやめてしまったんですか!?」

アスカがもっともな質問をする。シンジのお父さんの会社・・・つまり
碇重工の副社長をそうそう簡単に手放すなんて信じられなかった。

「ん?・・・・あぁ、いろいろあってな。」

冬月は少し考えてからそう答えた。

「悪いな、これから碇の所へ行かなくてはならないんでまた近いうちに話をしよう。」

「父さんのところですか・・・わかりました。そうだ、今日から夫婦共々第二小隊でお世話になることになったので
 第二小隊の部屋へ行きたいんですが・・・」

「そうか、第二小隊に配属になったのか・・・ふむ、いろいろと楽しみだ。ちょっと待ってくれ。おい!相田君。」

「なんすか?おやっさーん。」

冬月が近くにいた相田という若い整備員を呼び出すと冬月は
みんなを上のミーティングルームに案内するように言うとシンジ達に軽く挨拶をして出かけていった。


「よっ!俺、ケンスケって言うんだ。おやっさんの下でレイバー整備の修行を積んでるんだ。
 よろしくな!」

ケンスケは冬月を送り出した後すぐにシンジとアスカや後ろから歩いてきたトウジとヒカリに挨拶をした。

「あ、僕は碇シンジ。で、妻のアスカ。よろしくね。」

シンジは自分とアスカの自己紹介をした。
アスカはまた妻と言われて嬉しいのか顔を赤らめながらも

「よろしく」

とだけ言った。

「あれ?あんたが碇シンジなのか?結婚してるじゃないか・・・」

ケンスケはぼそっとつぶやいた。

「どういうこと?」

「いや、これから会議室(ミーティングルーム)に行けばわかると思うよ。」

それだけ言うとケンスケはトウジのほうに目を向けた。
トウジとヒカリもケンスケに挨拶をする。

「わいは鈴原や。職場では何かと世話になるかと思うがよろしゅうな。」

「私は洞木ヒカリよ、これから第二小隊に配属されるからよろしくね。」

「おう、よろしく。それじゃ、会議室に案内するからついてきなよ。もう仲間もまってるぞ。」















《ミーティングルーム》

先についた霧島マナがさきほどケンスケに案内された会議室の真中の席に座り
ボーっとしている。

(なんで相田君がこんな所に居るんだろ???私のことみるなり「スパイだーー!!!」って
指差してたっけ・・・・そしたらあんたもスパイじゃないの・・・)


先ほど入り口でケンスケ再会したときのことを思い出して”スパイ疑惑”のことを考えていた。

(大体、何で相田君が警視庁レイバーの整備やってるのよ!あんなに「やっぱり俺の生きがいは
 ここにある!!!」ってあんなに力説してたのに・・・。)

 マナとケンスケは2年前まで自衛隊にいた。
マナは救護担当でケンスケは自衛隊用篠原製レイバー”カノープス”の整備担当だった。
二人は年が近いせいもあるのか話もよくしていた。
ケンスケはマナがやめた後に冬月に引き抜かれた形で現在の職場におさまっている。

(まぁ、相田君のことだから「警視庁のレイバーもいじってみたいぞーーーー!!!」
 とか言って転職してたりして・・・)

・・・それも7割方当たりです。



(それにしても誰も来ない・・・・忘れられてたらやだなぁ・・・)

さすがに10分以上待たされていたので退屈になってきたようである。
さらに待つこと数分、ドアが開きケンスケを先頭に数名が入ってきた。
後ろの人たちはみんな礼服を着ている・・・どうやら今度配属の同僚のようである。
同僚さんたちに挨拶をしようとして立ち上がったときにある意味ケンスケよりも
よく知った人物が居た。

「あーーー!!!シンジだぁーーー♪」

「ま、マナ?・・・どうしてここに?・・・・・・・っわぁ!?」

シンジは質問が終わると同時にマナに抱きつかれた。
マナは抱きついたまま顔を上げると笑顔で話し始める。

「私も頑張って警察官になったんだよ。シンジの言ってた意味を確かめるために・・・。
 前の職場も辞めてきたんだ。シンジと一緒の職場になるなんてやっぱり
 あなたは私の運命の人なんだね。」

「い、いや・・・あの・・・マナ・・・この状況だと後が怖いから離してくれないかな・・・」

シンジはおどおどとしながらマナに言う。
本当ならもうとっくにある人物に二人を引き離されてシンジは
三途の川を渡っていてもおかしくないと思ったが
ある人物はマナがシンジに抱きついたときのショックから覚醒していない。

・・・いや、正確にはしていなかった。
シンジの「後が怖いから」云々の所を聞いて一気に眉をつりあげて覚醒した。

「いや。せっかくシンジの温もりを感じているのに何で離さなくちゃいけないの?
 それに私とシンジの仲なんだから再会のキスくらいしてくれてもいいじゃない。」

と、目をつぶりシンジからのキスを待つマナ。

(カ、カワイイ・・・。)

シンジは一瞬顔を赤らめてマナの顔に見惚れてしまったが
後ろからの殺気が膨大に膨れ上がったのを感じると急いで
マナを引き剥がしアスカの方を向き隣に来てもらう。

アスカは爆発寸前だったがシンジの隣に行って
シンジが何を言うのかわからないのでとりあえずおとなしくしていた。

もっとも、マナがこの先もう一度シンジに何かしようものなら
シンジもろとも殲滅する気だったが・・・。

マナはシンジに離されると残念そうに目を開け

「もぅ、再会のキスくらいしてくれても良いじゃない。相変わらずウブなんだから・・・」

と、言うと隣に居るアスカに気づく。シンジはマナがアスカの方を見ているのを確認してから
話し出した。

「マナ、話があるんだ。僕は先月結婚したんだ。それで、この人が僕の奥さんなんだ。
 僕の運命の人はこのアスカなんだ。」

そういってアスカの腰を取り自分のほうに引き寄せる。
アスカは奥さん&運命の人と言われて先ほどまでの怒はどこへやら
隣で幸せそうにしている。

(シンジも言うじゃない♪シンジっ意外ともてるし優柔不断だから
 もしアタシ以外の女性に言い寄られたら「僕にはアスカが居ますから。」
 って言いなさい!って言っておいたけどここまで言ってくれるなんて・・・
 帰ったら思いっきり甘えてあげよっと。)

「えーーーーー!!!!シンジこの人と結婚しちゃったの???
 シンジにもらってもらうの楽しみにしてたのに〜〜〜。」

そう言ってマナは近くの椅子に座り込んでしまった。
よほどショックなのだろう頭抱え込んでうなっている。

それを見たアスカはマナの近くまで行くと話し出す。

「そういうわけだから・・・シンジはアタシの運命の人なの・・・・。
 これから同じ職場で働くことになるけど今みたいにうちの旦那に抱きつかないでね。」

ショックを受けて落ち込んでいる所にさりげなく追い討ちをかけるアスカ。

マナは顔を上げてアスカのを見る。今の追い討ちで少し腹がたったのだろう、
立ち上がってビンタのひとつでもしてやりたい気分だったが場所が場所なのでガマンする。

(なんで、こんな嫌味を言う人がシンジの奥さんなのよ・・・世の中間違ってるわよ。
 ・・・もしかして強引に言い寄られて結婚しちゃったんじゃ・・・シンジは優柔不断なところがあるから
 この人としかたなく結婚したんじゃ・・・そうだ、そうに決まってるわ!!
 シンジをこの人から救ってあげなくちゃ!!!)

ちょっとゆがんでいる考えがまとまると急に笑顔で立ち上がり
アスカの手を取った。

「わかったわ、私は霧島マナ。マナって呼んでください。」

「さっき紹介があったアスカよ。職場では惣流アスカって旧姓で名乗るけど
 アスカって呼んでくれればいいわ。」

アスカも笑顔で挨拶をかえした。
二人ともいざこざが終わり和やかな雰囲気で挨拶をしているなぁ・・・と
周りのみんなは思ったが当事者たちの意見は違った。

二人とも顔は笑っているが目は笑っていないし
握手している手にも目一杯力が入っていた。

(絶対にシンジは渡さない!)

(シンジをあなたから救い出してみせる。!!!)

二人は目で語り合っていたが、食堂のドアが開き

「シンちゃーん!!!」

と、シンジに抱きついている女性が居たので
その女性のほうに目を向けた。


「ね、姉さん!?姉さんまでどおしてここに!?」

「シンちゃーーん、シンちゃんだぁ・・・・」

「ね、姉さん・・・人の話を聞いてる?・・・もぉ・・・とりあえず離してくれないかな?」

「いや、私のことはレイって呼んでっていつも言ってるでしょ。」

「はいはい、レイ姉さん離れてよ。」

と、言いながらシンジは自分から離れた。

「はいはい、綾波君、姉弟再会の儀式は後にしてくれないか?
 小隊発足の挨拶を済ませてからでも良いだろう。」

後ろからレイと一緒に入って来た遊馬が先をうながした。
レイはしぶしぶながらも遊馬の意見に従い会議室の前のほうに行くと

「各自空いている席に着席してください。これより入隊の挨拶をはじめます。」

と、言い席についた。


(姉さんってこの間アタシ達の結婚式に参加しなかった人よね。
 確かシンジの義理のお姉さんだったわね。
 なんか、怪しい雰囲気だわ。マナといい、あのレイって人と
 いいシンジの敵が多い所に来ちゃったわ。)

アスカはシンジに”姉さん”のことを詳しく聞こうと思ったが
挨拶がすぐ始まるのでおとなしくシンジの隣に座った。
シンジの反対側にはちゃっかりマナが座っていた。

一同が席につくとまず遊馬が挨拶のため立ち上がった。

「私が特車二課の課長をやっている篠原だ。うちの課ではかたっくるしい事は抜きにしているので
 お客さんが来ているとき意外は気楽に接してくれていいからな。一応それなりの節度で接してくれればいいからな。
 仕事についての挨拶は特に無し。 以上。」

そう言って遊馬は席についた。
みんなは課長の挨拶だからどんだけ長いんだろうと思っていたが
あまりにもあっけなく終わったんでちょっと拍子抜けだったようである。

次にレイがたった。

「綾波レイです。第二小隊の隊長です。よろしく。私のことは、呼び捨てで呼んでくれてもかまいません。」

と、言うと座ってしまった。
さっきシンジに抱きついたときとは打って変わって
冷静沈着そのもの・・・と、いうか無表情だった。

「それでは、こちらから順番に挨拶をしていってくれないか?」
と、遊馬に言われ順番に挨拶をしていく第二小隊の面々。
トウジ・ヒカリ・マナの順に挨拶をし、シンジの番がまわってきた。

「碇シンジ巡査です。前は第三空港の警備をしていました。よろしくお願いします。」
と、軽く会釈をして席についた。

レイは先程の冷静さはどこへやらハンカチを持って
「シンちゃんも立派になっちゃって・・・」
見たいな事を言っている。

最後にアスカの番が来た。

「碇アスカ巡査です。前は碇シンジ巡査と同じ第三空港の警備をしていました。
 さきほどから何回か説明していますが碇シンジとは夫婦です。
 職場では旧姓の”惣流アスカ”と呼んでください。よろしくお願いします。」

マナへの軽いジャブを放ちながら挨拶をし、席についた。

アスカが席について前を向くと
レイと遊馬は目を見開いてこちらを見ている。
アスカは何か変なことを言ったかな?と思い隣の
シンジに「どこかおかしい所があった?」と聞いたが
シンジは首を横に振るだけだった。


(シンジ君は独身じゃなかったのか?綾波君はシンジ君との関係を将来を誓い合った仲と言っていたような・・・
 俺は綾波君にだまされたのか???)

遊馬はこの間の課長室での出来事をおもいだし、レイにからかわれたのかと思いレイのほうを見たが
レイは顔を青くしながらシンジのほうを見て震えている。
遊馬はレイの様子がおかしいので声をかけた。

「おい、綾波君・・・どうした?」

レイは遊馬に呼ばれると、ビクッっと反応し不意に立ち上がってシンジとアスカの前に歩いていき震えながらシンジに話し掛けた。

「し、シンちゃん・・・・この人と結婚したってホントなの?」

「ほ、ホントだよ。・・・・・何度も結婚しますって挨拶状送ったでしょ。
 母さんからも何度か連絡行ってるはずなんだけど・・・・知らなかったってことは無いでしょ?」

「じょ、冗談じゃなかったの?」

「冗談なわけないでしょ。僕はアスカと先月結婚しました」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シンちゃんが結婚・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 

バタッ


「うわっ。姉さん!!!しっかりしてよ!姉さん。」



シンジが結婚したのがよほどショックだったのだろう
思考能力がオーバーヒートし
シンジが結婚したという現実から逃避したため
気を失った。


「あ、綾波君!!!!!」

「「「「隊長!」」」」」









こうして、新鋭第二小隊の面々は集結した。













第二話終了です。長かった。
さて、次回は出動かな?
主要メンバーもでそろったし、後は話を進めるだけだね。
出会いとかは書くのが面倒で・・・
次回から
「俺に銃を撃たせろーーーー!!!!」が書けるといいなぁ。

では、また次回。



「ちょっと待ったぁーーーーー!!!!」

ん?ミサトさん。お久しぶりです。

「アルフちゃーん。久しぶりね。久しぶりだかっらって私の出番を忘れないでよね。」

ミサトさんの出番ですか?・・・私と座談会でもしますか?

「何で私がアルフちゃんと座談会しなくちゃいけないの?すぐに出番作ってよ!」

もうちょっと待ってくださいよ。出番があるまではビールでも飲みながら座談会でもやってましょうよ(^^;

「私はすぐに出番がほしいのよ!じゃなきゃ、主役作品書いてよ!」

えぇーーー主役ですか???

えと・・・KOFに韓国チームで参加して
「いくわよーーーー!!!!アル中大暴走」とか言って酒瓶で相手を殴るとか・・・
リツコさんに変な薬を盛られて「泣け!叫べ!そして死ねぇ!!!!」とか言われたり・・・
あっ、ミサトさんのカレーでもできますね。・・・・うーーーん。

「はぁ・・・そんな話しかかけないの???・・・ま、これでも食べて考えてよ。」

あ、ありがとうございます。噂をすればカレーですか?誰が作ったんですか?においは大丈夫そうですね。

「シンちゃんよ。」

そうですか・・・なら安心。いただきます。

パクッ

「ふふふ、食べたわね。匂いだけはシンちゃんに普通にしてもらっておいたのよね。
 作ったのはわ・た・し。」

ぐっ!・・・・(毒薬をくわせたな!!)

「望みどおりやってあげるわ!!

 泣け!叫べ!そして死ねぇええええ!!!!!!!!!」



全治2ヶ月・・・(ぼそっ)




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