このところ日曜日はいつも天気が悪かったり、都合が悪かったりで、自転車に乗ることがままなりませんでした。体はなまるし、気分転換ができない。とうとう、職場の建物の階段を4階まで登ると、足がだるくなり息が切れるようになってしまいました。これは何とかせねば。
というわけで、やっと日曜日がすばらしい晴天に恵まれた2003年3月23日、自転車に乗る時間が取れたので、思い切り走ることにしました。
目的は、万灯呂山(まんどろやま)の林道。京都府綴喜郡井手町にあります。実は、今年に入って1月13日にも、万灯呂山に行ったことがあります。そのときは、参考にしたWeb上の地図が詳しくなく、万灯呂山をめぐる林道が途中で途切れているものとばかり思っていました。そのため、そのときは、途中から登山道を愛車を担いで万灯呂山展望台まで登りました。しかし、思いがけず万灯呂山展望台はすばらしい展望が開けている場所で、また行きたいと思っていたのです。
その後、偶然書店で手にした最新の地図を見ると、何と万灯呂山を取り囲むように林道が走っているではありませんか。これはすごい。この林道を回って、最後に万灯呂山の展望台に登って、昼食を取りながら下界を俯瞰できたら、完璧なコースが取れる。私は有頂天になりました。
今回のコースは次のとおりです。走行距離は約20kmでした。井手町のJR奈良線「玉水駅」から北東にちょっと行ったところにある「山吹ふれあいセンター」を起点としています。
山吹ふれあいセンター → 山城多賀フルーツライン駐車場 → 万灯呂山登山道入口 → 六体石仏・代官屋敷跡 → 大正池の手前の三叉路 → 万灯呂山展望台 → 山城多賀フルーツライン駐車場 → 山吹ふれあいセンター
春三月のすがすがしい朝の光りを浴びて、舗装路を山に向かって走り出します。しばらく道を登ると、左手に木津川とその周辺の町が眼下に見下ろせる場所にやってきます。結構いい景色です。しかし、大きな楽しみが先に待っていますので、ここはちょっとだけ景色を眺め、すぐに走り出します。アップダウンが繰り返し出てきますが、きついものではありません。下り坂を気持ちよく抜けると、目前に開けた場所が見え、三叉路に着きます。そのすぐ左が「山城多賀フルーツライン駐車場」になっています。
9:25 山城多賀フルーツライン駐車場 2.1kmこの三叉路の右側に標識が立っています。「万灯呂山展望台」と書かれている標識の示すとおり、、右の道を進みます。 ここからさらに山の中に入っていきます。道はまだ舗装路です。車もときどき走っています。この周辺は観光農場になっているようで、大きな看板が立っています。
ぐんぐん山の中を進んで行くと、「竜王の滝」の看板が出てきます。しかし、滝を見たい場合、最初に出てくる標識どおりに滝の方には行かないでください。そこから滝までは自転車では進めない道となっています。この標識は無視して先を行きます。すぐに三叉路に出会い、右の車道を行くと「万灯呂山展望台」に行きますが、今回のコースは左の「万灯呂山展望台登山道入口」/「竜王の滝」方面に進みます。ここから未舗装となり、林道の雰囲気がだんだんしてきます。
やがて、「竜王の滝」の看板が左手に見えてきます。そこに自転車を置き、急な坂道を下ると竜王の滝に至ります。落差13mの竜王の滝は、その昔雨乞いの儀式をした場所のようです。そこを過ぎると、やがて右手に「万灯呂山登山道入口」が見えてきます。
前回来たときには、ここから自転車を押したり担いだりして、登山道を登りました。標識には「展望台まで800m」と書かれていましたが、実際に登った感じからすると、はるかにそれ以上あるように思えました。しかし、この登山道もなかなか雰囲気のある登山道です。
さて、ここから本格的な林道に入ります。下の写真を見てください。ここから先、このような昔懐かしい林道(しかもダート!)が延々と続いているのです。林道好きな人なら、ワクワクして来ますよね。このあたりの道脇には、車が何台か駐車していました。どうやら林道と並んで流れている川で釣りをする人が入って来ているようです。途中1回だけですが、走っている車に出会いました。昔自分が乗りたかったジムニーでした。山道でジムニーに出会うと、懐かしい友人に会ったような気がします。
それにしても、すっかり春めいた青空の下、鳥の声と小さな谷川のせせらぎの音を聞きながら、フィトンチッドを胸いっぱい吸い込み、緩やかな坂道を走ってどんどん山の中に入っていきます。なんとすばらしい眺めでしょう。快適です。すごく快適です。なんだか静かな興奮が体の中に湧いてきます。身も心も喜びに浸っています。
途中、道脇に大きな洒落たロッジが建っているのを見ました。でも、今は営業していないようですが、シーズンになれば営業をするのかも。このような雰囲気のいい場所にロッジがあれば、泊まってみたい気がします。
峠を過ぎると、「代官屋敷跡」の標識が立っていました。「こんなところに代官屋敷なんてあったのか?」と興味をそそられ近くを探してみたのですが、それらしい場所に気付くことができませんでした。
そこからもう少し道を下ると、「代官屋敷と六体石仏」のちゃんとした標識が立っていました。そこに書かれていた説明によると、このあたりは昔「多賀新田」と呼ばれた集落跡であり、江戸時代中ごろに開拓された土地のようです。昭和初期まで生活の場があったそうです。
「六体石仏」に興味があったので、そこから脇道に入ってしばらく歩くと、6体の石仏がひっそりとたたずんでいるのが見えました。小鳥の声を聞きながらじっと眺めていると、その昔にタイムスリップしてしまいそうです。しばし静かな時が流れました。
代官屋敷跡と六体石仏を過ぎて、ちょっと坂道を登ると下り坂のダートです。いや〜快適、快適!こんなにもダートが気持ちいいものだったとは。久しぶりの感覚です。
10:59 大正池手前の分岐点 8.3km坂を下ると、三叉路に到達します。そこが大正池手前の分岐点です。ガチョウか何かの鳴き声が聞こえて来ました。地図に従い、そこから右へルートを取ります。その日は、左側への道は通行止めになっていました。
登り坂の道をしばらく走ると、一気に下りになります。快適に下るのですが、注意しなければならないのは、次に出会う三叉路です。右の写真の場所に来たら、この三叉路を右に行くのが正解なのですが、スピードも出ているので、うっかり道なりに左側の道を進んでしまいがちです。私の場合、念のためにと地図を見たのがよかったです。それにしても、このような資材のゴミ捨て場のような雰囲気は、ちょっと興ざめですね。
ここからちょっと急になっている坂道を登り、アップダウンを繰り返すと、万灯呂山展望台への分岐点に出ます。途中、林道の支線が出ていますが、惑わされることなく、アスファルトの道に出るまでは、道なりに進みましょう。
11:43 万灯呂山展望台への分岐点 12.7km万灯呂山展望台への三叉路にはちゃんとした標識が立っており、そこから右へ折れます。ここから急に舗装された車道になるのですが、走りやすいものの、ダートを走り続けてきた身には、なんだかなじめません。それに道はちょっと急になっているし、腹も減ってきたし、疲れが出る頃ですが、もう一息。がんばろう。
11:51 万灯呂山展望台着 13.5kmおお、やっと着きました、万灯呂山展望台!いや〜、気持ちいいです。
万灯呂山展望台からは、西に向かって約180度の展望を望むことができます。眼下には木津川の流れを中心に、井出町や城陽市などその周辺の町並みが美しく広がっています。下の写真で、向こうに見える赤い橋は「山城大橋」です。この木津川の左側の土手沿いに「京都八幡木津自転車道」が走っています。2年前の5月に、自宅から京都の嵐山まで走ったことを思い出しました。
ここは地元のくつろぎスポットとしても有名なようで、何組かの家族連れやグループが来ていました。それぞれ思い思いに座って弁当を食べながら景色を眺めておしゃべりしています。私もこの雄大な景色を楽しみながら、ゆっくり昼食を取りました。
また来ることを誓いながら、万灯呂山展望台を後にします。ここから山城多賀フルーツライン駐車場まではすべて下り坂です。舗装されている道ですので、結構スピードを上げて一気に下ることができますが、ときたま車が走っていますので、注意が必要です。
12:40 山吹ふれあいセンター着 19.7kmフルーツライン駐車場からは、登り坂に転じるのですが、私がゆっくり登っていると、途中ランニングしている男性に追い抜かれてしまいました。自分の自転車の速度はこんなものかと再認識してしまいました。少々落胆しながらも、明日があるさ(?)と気を取り直し、繰り返すアップダウンの道をクリアして、山吹ふれあいセンターのところに到着しました。
今日の走行距離は約20km。しばらく走っていない体にはちょうど良かったです。天気もすばらしい、久しぶりのダートの林道もすばらしい、景色もすばらしい、実に快適に走れて満足の一日でした。