ルネのきままなアトリエ
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奈良県・標高1248m
 2005年12月25日(日) 快晴 夫と

山頂付近の稜線
▲山頂付近の稜線 
前夜の天気予報では晴れ。
山に行きたい。
けれど、今年もあと残す所わずかだというのに年賀状も書いていない。家の有様ときたら、大掃除どころか、主婦が健在の家とはとても思えない状態。
山なんかに行っている場合ではない。明日はたまりにたまった家事をこなそう!

・・・と、本気で思って眠りについた。
ところが、目覚めてみると天気予報どおり、空はすっきり晴れている。
ああ、山に・・・。
いやいや、家事に勤しむべきだ・・・。

そうこうするうちにも、空はますます青さを増していく。

ええい、家事なんていつでもできるやんか!!(いつでもできることをしていない)
こんな日に山に行かなかったら、一生悔いが残る。(んな、大袈裟な・・・)
先日来の寒波でお山はきっと真っ白。
真っ青な空と霧氷が迎えてくれるに違いない。
山に行こう!!

「明日から心を入れ替えて家のことするから、今日は山に行こう!」
夫に持ちかけると、意外にも即OK。
もちろん、「明日から心を入れ替えて」なんて台詞、夫が真に受けたわけではない。(聞き飽きた台詞だ)

そんなこんなで出かけた高見山。
素晴らしかった!


コース
13:40 杉谷登山口(駐車地)
14:42 小峠
15:01〜15:10 平野分岐
15:57〜16:15 山頂
17:00 小峠
17:40 杉谷登山口



自宅を出たのが既に10時を回っていた。
タイヤはノーマルながら、チェーンを着ければ大峠まで上れるかも。大峠からなら、今からでも山頂までピストンできる。
大峠まで車で上れなかったら、潔く登山は諦めよう。

鷲家を過ぎてしばらく走ると、日陰の場所の路面が凍結している。
木津トンネル手前でチェーン装着。
これで万事OK・・・のはずが・・・。



木津トンネル出口より  左上:凍結した路面 下:登山口
木津トンネルを抜けると、前方に真っ白な高見山が。下からでもそれと分かるぐらい霧氷がきれいだ。ふふふ、ついている・・・。
杉谷の登山口には、十数台の車が駐車している。

路面は凍結しているものの、ここまでは順調。
さて、問題はこれからだ。
左手には真っ白な高見山が「早く登っておいで〜」と、手招きをしている。

高見トンネルへの道から大峠への林道に入る。
行けるか、行けるか・・・。様子をみながら、そろりそろり上っていく。
・・・なんか、行けそうやん!
二つ目のカーブの傾斜が少し急になったところで、後輪がスリップ。

アクセルを踏み込んでもスリップするばかり。
押してもだめなら引いてみな、とばかりに少しバックしてみるがスリップするばかりで、前に進んでくれそうにない。下手をするとガードレールに衝突しそうになる。
万事休す。

これ以上は無理みたい。
もうちょっと雪道の運転、研究してよね〜・・・なんて、口が裂けても夫には言えない。

で、本道までバックすることにしたのだが、その途中で雪にタイヤをとられ、にっちもさっちも動けなくなってしまったのだ。
思いつく限りの運転技術を駆使して(たかだか知れているが・・・)抜け出そうと試みるが、スリップするばかりで前にも後ろにも頑として動いてくれない。
真っ白な高見山 トンネル手前の国道から
高見トンネル手前から見上げる高見山
悪戦苦闘の挙句、1時間半後、自力脱出に成功。
既に時計は一時半になろうとしていた。

(ちなみに、JAFに救出を依頼するも、数時間単位の待ち時間を覚悟してくれと言われた。)

大峠まで車で上れなければ、潔く登山は諦めようと思って家を出たが、雲ひとつない紺碧の空にすくっと聳える高見山を目の当たりにして、おめおめ帰れるわけがない。

日没は5時前。
小峠から下はヘッドランプを使えば歩ける道。
天気の崩れはまず心配なさそう。
逆算して、登りのタイムリミットを4時に設定。山頂に着かなくても、その時点で引き返そう。

そそくさと用意をして登山口へ。
朝より車が減っている。既に下山して帰ってしまった車もある様子。

杉谷登山口 雲ガ瀬山も雪化粧 高見トンネルへの国道が見える
杉谷登山口 雲ガ瀬山も白く雪化粧 麓が小さく見える


小峠の少し手前、雲母曲(きららひじ)の途中でアイゼンを着ける。
積雪は10センチぐらい。
途中、上から下りてきた登山者数人とすれ違う。
一時間で小峠着。

ここからはちょっと辛い登り。
このところ、運動らしい運動をしていない身にはかなりこたえる。
お腹も空いた。
まだ昼ごはんを食べていない。
夫は快調に飛ばしていく。くそっ!

20分で平野分岐着。
少し先で小休止。
とりあえず熱いお茶と、アンパンを食す。
あ〜、生き返った気がする。
力がもりもり湧いてくる!ありがとう、あんぱんまん!!(・・・って、何言うてるんや)


雪の重みでしなった馬酔木 雪のトンネルをくぐる
雪の重みでしなった馬酔木 雪のトンネルをくぐる

登るにつれて雪はだんだん深くなってくる。
積雪20〜30センチくらいか。

国見岩を過ぎた辺りから、霧氷が現われる。
が、日中の気温の上昇で融けかけたり、風で吹き飛ばされたり。
午前中だったら、もっと素晴らしい眺めだっただろう。
でも、これ以上を望むのは欲張り過ぎというもの。

北斜面 ぐんぐん登る 南斜面

青空に霧氷がまばゆい

トレースはしっかりしているが、気を抜くと雪の中にズボッと足をとられそうになる。
道の両側のところどころに受難の先行者の足型が残っている。



北斜面を見下ろす 冬ソナの世界だ(すんません、パクリです) 積雪は30センチぐらい 吹き溜まりはもっとだったけど
北斜面を見下ろす 積雪は30センチ近い

国見岩を過ぎ、20分あまりで笛吹き岩に着く。
眼前に広がる眺めに息を呑む。
すっきりと晴れ渡った空の下、台高の山々は勿論のこと、大峰山脈までもがスカイラインを描いている。

時刻は15時49分。
タイムリミットまで残り11分。山頂まで行けるか?


笛吹き岩から 台高山脈 右手遠くに大峰山脈
笛吹岩からの眺め 右端:大峰山脈

霧氷を眺めながらどんどん登っていく 霧氷の遥か向こうに兜岳・鎧岳が見える
笛吹き岩を過ぎ尚も登る 左手遠くに兜岳と鎧岳
夫は既に視界から消えた
ちょっと〜、もうちょっとペース落としもええんと違う? 


幹の風上に張り付いた海老の尻尾
山頂手前の海老の尻尾

北斜面を見下ろす 素晴らしい眺めだ
北斜面を見下ろす

笛吹き岩から10分弱。15時58分、山頂避難小屋到着。
ふ〜、ぎりぎりセーフ!

もう誰もいないと思っていた山頂だが、避難小屋から話し声がする。
小屋を通り越し、とりあえず山頂へ。


山頂避難小屋  山頂 高角神社前にて  避難小屋側で 大峰をバックに 歓喜の叫び 年の瀬だからね
山頂避難小屋 山頂 高角神社 大峰をバックに歓喜の歌

山頂より南の眺め 台高山脈、大峰山脈
山頂より 中央:台高山脈 右端:大峰山脈

三峰山 こちらより雪は少ないかも・・・?
三峰山を望む

山頂から真東に三峰山。
二週間前、あの斜面からこちらを眺めていたのかと思うと、感慨深いものがある。
三角点を踏み、写真撮影をし避難小屋へ。

小屋には3人登山者がいた。
ご夫婦と男性一人。
ご夫婦は大峠まで車で上られたというので話を聞くと、やはり林道は大変だったらしい。
林道上部よりも下の方が特に。
スタッドレスだったらしいが、スリップして車がスピン。あわや側壁に激突しかけたとおっしゃっていた。

三人とも相次いで下山される。
下りのことを考えるとゆっくりはできないが、とりあえず食事にする。
食事・・・といっても、お湯を沸かしている時間はない。
残りのアンパン(またか!)、熱いお茶。それにチョコレート
十分幸せだ!



とりあえずお昼ごはん

避難小屋前より北斜面を見下ろす そろそろ夕暮れの光
避難小屋前より北斜面を見下ろす

さて、そろそろ下山開始。
ザックからヘッドランプを出しておく。いつでもすぐに使えるように。

気温の低下と共に雪がかなり締まってきている。
慎重に下りることにする。


避難小屋を後にする ああ、去り難い 出来ることなら小屋で泊まるとか・・・無理! 海老の尻尾の向こうに倶留尊山が見えている
後ろ髪を引かれつつ山頂を後にする 海老の尻尾の向こうに倶留尊山

締まった雪を踏みしめどんどん下る 山頂付近の稜線は痩せているから慎重に下りる 素晴らしい眺めに思わず足を止める
締まった雪を踏みしめ、ぐんぐん下る 素晴らしい眺めに思わず足を止める

 絶景 霧氷と茜色に染まる夕空

茜色の空
16:26 空が茜色に染まる

笛吹き岩より 下りを急ぎながらもしつこく立ち寄る
笛吹き岩より 登りの時よりずっと大峰が間近に見える 中央:大普賢岳 

雪の斜面が赤く染まる アーベンロートの美
 アーベントロートの美

茜色に暮れなずむ空。
夕日に照らされて斜面が赤く染まっている。
大急ぎで下りながら、やはりしつこくカメラのシャッターを切っている私。
我ながらホントにしつこい性格だ、とは思う。(苦笑)

木の間越しに夕日を見る
16:42 日没はもうすぐ

平野への分岐の手前で日が沈む。
残照と雪の反射で、まだヘッドランプは必要ない。

17時、小峠着。
少々膝に違和感。小休止。

雲母曲(きららひじ)を過ぎ、最後の植林帯に入る前にヘッドランプ装着。途端に辺りは闇の中に沈んでしまった。
17時40分、無事下山。
国道の路面はカチカチに凍結していた。

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