羽根
〜BEGINNING〜
第2話
〜快兄の彼女。〜
「快兄ってさぁ、彼女いないの?」
そんな突拍子のかよこの質問に、快彦は飲んでいたお茶を吹いてしまった。
「な、、なに言ってんだよお前。」
「だってさぁ、大学いってるわけでしょ?彼女の1人くらいいてもいいと思うんだよねー・・・。」
焦る快彦をよそに、淡々と話し続けるかよこ。
「それ言うなら昌兄か博兄に言えよ。兄貴2人も差し置いてんなことしねぇって。大体なんで俺なんだよ、剛や健・准一だって学生だぞ?お前だってそうじゃないか、彼氏とかいねぇのかよ。」
「・・・。」
無口になった妹の目はしっかりと兄を捕らえていた。
「なんだよ。」
「快兄ってさぁ、自分の立場やばくなったらよくしゃべるよねー・・・。」
「んだよそれ。」
「・・まいいや。彼女できたら紹介してねー。」
「ちょっ、かよこ、お前何言って。。」
「私昼ご飯の用意しなきゃ♪」
「って、音符つけて行くんじゃねぇよ!!」
「じゃぁねー。」
「・・・ったく。」
快彦は少し長くなった髪をかきあげた。
「剛兄さー、彼女いないの?」
台所に行くと、冷蔵庫を開ける剛がいた。
「・・・お前大丈夫か?」
片手に持ったペットボトルの液体を喉に流し込む。
「なによーそれ。」
「なんだよ、彼氏でもできたか?」
「ち、、ちがうよー。なんとなく・・さぁ。」
「ふーん。そうだ。健にさぁ、彼氏できた?って聞いてみな。」
「・・・。」
「冗談だよ。」
「あたりまえだろ剛兄っ!!」
2人しかいなかった台所にもう1人の声が響いた。
「げっ、健いたの?」
主は健。
偶然通りすがったら聞こえた会話だ。
「なにゆってんだよ剛兄。妹にんなこと教えてんじゃねぇよったく。」
軽く流されちゃったんだけど、ちょっとだけ気になるんだよねー。
「あ、ええにおいやんかぁ、かよこ今日のごはんなにー?」
「今日はクリームシチュー♪」
「おっしゃぁっ♪」
「・・・。」
「准一の場合はさぁ・・・」
「花より団子」
「ん?なんの話や?」
「お前腹いっぱい食うのと彼女とどっちがほしい?」
「えーっっ!!剛兄どないしてんっ!!!いきなり何言い出すんやっ!!」
「どっちどっち??」
かよこと健は楽しそうだ。
「・・・食うのかな。まだ興味ないわ。」
「うそつきー。」
それはかよこの期待はずれ。
「なんでやねんなぁ。ほらかよこ、うまいシチュー作ったってや。」
「はいはい。」
1番気になったのは昌兄と博兄なんだけど、ちょっと怖くて聞けなかった。
なんだか悪い気がするから・・・。
上の兄貴が動かないとやっぱ遠慮ってもんがあんのかなぁ?
わかんないね。
「健兄健兄!!」
「なんだよ。」
「あのさぁ、今度の日曜日空いてない??」
「なんで?お前友達と遊びに行くんじゃなかったの?」
「えー、映画行くはずだったんだけどね、向こうが行けなくなっちゃったの。だからさー・・・」
「無理。」
「即答。」
「バイトあるし。」
「バイトかぁ・・・。」
「快兄誘ってよ。そしたら平和な1日になるから。」
「・・・。」
「快兄快兄!!」
「なんだよ。」
「あのさぁ、今度の日曜日空いてない??」
「なんで?お前友達と遊びに行くんじゃなかったの?」
「えー、映画行くはずだったんだけどね、向こうが行けなくなっちゃったの。だからさー・・・」
「無理。」
「即答。」
「ちょっとやぼ用。」
「やぼ用?なによそれ。」
「友達と買いもん行くんだよ。」
「買い物かぁ・・・。」
「また今度な。」
「・・・もしかして健兄のバイト先に行く口実じゃ・・・?」
「ちげーよ。行きたいけどな。そうだ、准なら行けるんじゃねぇか?」
「・・・。」
「准兄准兄!!」
「なんや?」
「あのさぁ、今度の日曜日空いてない??」
「なんでや?お前友達と遊びに行くんちゃうかったん?」
「えー、映画行くはずだったんだけどね、向こうが行けなくなっちゃったの。だからさー・・・」
「無理。」
「即答。」
「学校の模試あんねん。」
「模試かぁ・・・。」
「大変だねー。」
「剛兄とか暇そうやん。誘ってみいな。」
「剛兄剛兄!!」
「なんだよ?」
「あのさぁ、今度の日曜日空いてない??」
「なんで?お前友達と遊びに行くじゃなかったの?」
「えー、映画行くはずだったんだけどね、向こうが行けなくなっちゃったの。だからさー・・・」
「無理。」
「即答。」
「そぉ?」
「なんで?」
「めんどくさい。」
「・・・行こうよー。」
「やだよめんどくせー。」
「なんでよー、絶対みたいのーこの映画。」
「なんで俺なんだよ、他にもいっぱいいるじゃねぇか。」
「だってみんな予定入ってるんだもん。」
「・・・暇なのは俺だけかよ。」
「そういうこと♪」
「・・じゃぁ条件付き。」
「・・・なに?」
「健とこのケーキおごりな。」
「おごり??」
「映画くらいは自腹切ってやるけどよ。」
「私のも?」
「んなわけねぇだろ。」
「あ、やっぱ。」
「ちょー感動したぁっっ。」
「ああ、そうだな。」
泣きすぎなんだよ、お前は・・・。
「あんね、あの最後のシーンがすごいよかったってぇ。。」
片手にはパンフレットがしっかりと握られている。
「それさっきも聞いた。」
「だってよかったんだもんー。剛兄もよかったでしょ?」
「はいはい。」
「また行こうねーっ。」
・・また?
「・・・同じやつ見んのか?」
「えー!見ないのぉーっ!!」
見れるわけねぇだろ、こんな恋愛もん。
「で、健とこのケーキはいつおごってくれんの?」
「今からー♪」
ケーキの話するとすぐに乗りやがんの。
ったく、女ってやつはなんて単純なんだ。
「けーんにー。」
「かよこうるさい!他のお客様に迷惑かかるだろ?」
「ごめんなさい。」
「チーズケーキ。」
「剛兄普通に頼むなよ。」
「あたしもチーズケーキ。」
「2人とも好きだもんなーチーズケーキ。」
「うまいじゃん、ここの。」
「じゃぁ向こういってまってて、運ぶから。」
「うん。」
「そういや快兄きた?」
「あー、来てないよー。いいよ、来なくて。」
「そうだよねー。」
「ヤボ用ってなに?」
「なんかねぇー友達と買い物だって。」
「・・・もしかしてデートとかぁ?」
「・・・快兄がデートしてるとこ想像できない。」
「確かにな。」
「はい、お待たせしましたぁー。」
「健兄かぁいー。」
「なんだよそれ。」
「ほんとは彼氏いるんじゃねぇの?」
「ごーにぃっ!!」
「今日はありがと、買い物付き合ってくれて。」
「いいよ、全然気にしてないから。」
「助かったよ。プレゼントなんてさぁ、柄じゃねぇし、女って何喜ぶかなんてわかんねぇしさぁ。」
「いいよ、私でよかったらまた付き合うし。」
「ほんとに?じゃぁ今度妹の誕生日とかん時また誘うわ。ほんっと感謝。ありがとね。」
「どういたしましてー。」
「あ、のどかわかない?そこ座っててよ、俺なんか買ってくるから。なにがいい?」
「じゃぁコーヒーもらえる?」
「了解。」
「食った食ったぁ♪」
「おいしかったぁ。また行こうねー。」
「けどあの店入るの結構勇気いるぜ?」
「そぉ?」
お前は女だからいいんだよ。
「・・・剛兄が1人で入るの想像できない。」
「だろ?」
「あ、そういうことか。」
「あんな女っぽい店・・・」
話の途中でシャツの袖を引っ張る手があった。
「ねー。」
「何?」
近所の公園を通りかかった時、視線の先には快彦がいた。
「あれって快兄じゃない?」
「えー?」
「おまたせ。」
・・・。
「彼女???」
「え、、ホントに快兄?」
「ありがと。」
缶コーヒーを渡すあの人は、まぎれもなく快兄だった。
マジで?
「え、だって友達って・・・」
「男とはかぎらんでしょ。」
「そ・・っか・。」
「あのさ、今日付き合ってくれたお礼もう1個あるんだけど。」
「なに?」
「あのさ、はいこれ。」
そう言って彼は1つのぬいぐるみを差し出した。
「お前にそっくりだろ。」
「うそー、あたしこんな顔してる?」
「そっくりじゃねぇか。」
・・・。
「快兄がプレゼントあげたー。」
「どうみても恋人同士って感じだよなぁ?」
近くの木々に隠れていた2人が盗み見をしてることには気付く事はなかった。
「ありがと、大事にする。」
「おお。」
「あ、、あたしゴミ捨ててくるから。」
「あ、ありがと。」
「いいえー。」
「どうみたって恋人同士じゃん。」
「彼女いる?って聞いたとき妙に早口だったし。」
「じゃぁ将来の俺の姉貴になんのかなぁ?」
「剛兄気が早いって。」
「いや、わかんねーぞー?昌兄とか博兄ならともかく、快兄だぜ?電撃結婚とかあってもおかしくないでしょう。」
「そうかなぁ?」
「帰ったらぜってぇーひやかしてやろ。どういう関係?って。うひゃひゃ楽しみ〜♪」
「ねぇ快くん。」
帰ってきた彼女が立ったまま続ける。
「快くんだって、快くんだよ!」
「これはもう決定的な・・・」
「なに?」
「もし私がさぁ・・・」
「ん?」
「もし私が好きだって言ったら・・・迷惑・・・だよね。」
「えっ?」
「快くんのこと大好きだって言ったら・・・迷惑?」
「・・・。」
「ま・・・まじでぇっっっ??」
「これってさぁ・・・」
「告白???」
つづく。
なんかねぇー、本音的にこのシーンを書きたいがためにこの話書いたんだよねー(笑)なんとなくふと思いついたの「好きだって言ったら迷惑?」ってゆうの。あ、女の子は誰かなんて考えてないので名前とかは逃げるように逃げるように書いてます(笑)あと、次それ見た剛くんとかよこが「今日こんなの見た」と勢いよく家に入ってきて他の家族に2人でこうマネっこするのー。それも書きたいのー。でいのっちが帰ってきてって。それが書きたいのーっ(><)