D×D

第2話
ー知らない自分ー

 

「はぁ?りか??誰やねんそれ。。あー、あんさんの彼女か?」

「ちげぇよ、お前の彼女だろ?照れ隠しはわかるけど・・・それはねんじゃねぇの??」

「そんなんゆわれてもなぁ・・・知らんわ。。」

「だいたい今日俺すきやきがいいって言ったろ?いつもと変わってねぇじゃんっっ!!」

「なら食うなや!」

「・・・食うけど・・・。またサキさんに取られたんじゃねぇの?」

「ちゃうわ、あれはな・・・。」

「要領わりぃ・・・。」

「あんさんに言われたないわ。」

ふぅー。

「早く思い出してやれよ。」

「だから知らんっつうねんっ!・・・で、そのりかってゆうやつは何処行ってん?」

「また来るって。」

「連絡先は?」

「あ・・・聞くの忘れてた。」

「・・・要領わりぃ・・・。」

「ほっとけ。」

「まっ、依頼やったらまた来るやろ。」

「そういやお前探されてたぜ?」

「探してる?」

「木原虎之介さん居ますか?ってゆってきたもん。。」

「・・・。」

「お前ひょっとしてどっかで探されてる大変なやつなんじゃ・・・。・・・指名手配とか。」

「んなわけあれへん!!用のあるやつはまた来るわ。」

「そ。」

俺が彼女を見た時わけありに見えたのは、とらが彼女のことを知らないということなのだろうか?

「とら。明日って出かける予定あんの?」

「いや・・別になんも・・・。」

「ならさ、俺バイトあるからよぉ留守番頼むな。」

「・・・そのりかってやつと会わせようってことか?」

「あ、、ばれた?」

「そんくらいわかるわアホ。」

「会ってやれよ、なんか、、ちょっと気になったんだよ。」

「あー、あんさんその子に恋したな?」

「な、んなわけねぇじゃんっ!!」

「隠さんでええってぇ♪」

んなわけねぇじゃん、そりゃかわいかったけどな?

・・・違った意味でなんか気になっただけだよ。

朝のとらといい、タイミングが悪いんだよ。

  

  

「ねぇとらちゃん、いくつになったら結婚できるのかなぁ?」

「うーん、僕のおかんは20歳で結婚したゆうとったなぁ。」

「じゃぁちぐが今5歳だからぁ・・・えっと・・15年後?」

「15年後かぁ。。」

「まだまだだね。」

「そうやな。」

「そのころも一緒にいれるんかなぁ?」

「僕、ちぐちゃんのこと迎えに行く。」

「えー?」

「たとえ、どこにいてもちぐちゃんが20歳になったら迎えに行くよ!」

「ほんまに?じゃぁ約束ね!!」

「うん!」

  

  

ばさっっ。。

大量の汗を流すベットの上のとら。

・・・ゆめ?

やくそく・・・。

ちぐ・・ちゃん?
  

  

うわっっ、、あたま・・われそう・・や・・・。
 

  

地震と騒音。

「じ・・じしんかぁ??」

目を覚ます悟。

頭をかかえるとら。

「と・・ら・・?」

これは、とらの力??

「とら、、おいとら!!しっかりしろよ、とら!!」

ゆさぶる悟。

「やく・・そく・・。」

「約束??」

倒れる棚。

ひびの入った窓ガラス。

かばう悟。

おさまる地震。

「とら大丈夫か?」

ボロボロになりながらもかばった悟。

悟の腕の中で眠りにつくとら。

「とら?」

首筋から寒気がした。

霊気を感じた。

どこだ??うしろ?

おんなの・・ひと?

「あんたは・・・。」

彼女は俺が見つけるとすぐに消えてしまった。
  

  

結局俺は朝まで眠る事ができなくて、朝までとらの様子を見てた。

ちらかってしまった部屋の中は片付ける事もできなくて。

昨日みたいにうなされた様子はなくて、何事もなかったかのように眠ってる。

やくそくって・・なんだよ?

それからあの女の人の霊。

関係ないわけないじゃん。

それにさっきの地震。

もしとらが起こしたとしたら、その直前もうなされっぱなしだったんだろうか?

とらは、俺が知ってる以上に、自分でも想像できないくらいの力を持ってるんじゃないだろうか?

どれだけ大きな悪霊が現れようとも切ってしまえるような。

とらが、俺の知らないとらになってしまいそうで、怖かった。
  

  

目の覚めたとらの前には、眠る悟と、散らかり尽くした部屋。

「う・・あ??」

「さとるっっ!!お前なんでこんな散らかしてんねんっ!!」

「あ?」

「寝ぼてんちゃうでぇーっ!!うおっ、窓にひびがっっ、、あんさんなにやっとんねんっ!ガラス1枚いくらすると思ってんねんやっっ!!」

「・・・あのなぁ。。」
  

  

「あ?俺が??」

「そういうこと。」

「はっ、冗談もたいがいにせぇや。」

「うそじゃねぇって。」

「大体、昨日地震なんてなかったやろ??」

「なにいってんだよ、ったく。」

「そんなんゆわれたかってなぁっ!!」

大きく机を叩く拍子にテレビのスイッチがつく。

「新宿マンハッタン  震度3」

嫌なタイミングでそんな言葉が画面の上にあった。

「お前ほんとはすごい力持ってるんじゃねぇの?」

「なにゆうてんねん、俺の力ゆうたら霊切ることくらいしかあれへんがな。」

「そうだよなぁ。。」

「・・・そういやあんさん、女の人の霊見たとかゆうとったよな?あれ、噂のりかちゃう?」

「いや、違うよ、もっと別の人、見たことなかったし。」

「・・・。」

「なに?」

「いや、あんさんに似顔絵でも描いてもらおうかな思ったんやけど。。無駄やなぁー思って。」

「・・・だな。」

じゃぁなんだったんだ?

あの地震。

やっぱりとらじゃなくて普通に起きた地震なのか??

「俺さぁ、またうなされとったん?」

「さぁ。俺が起きたのは地震が起きてからだったからなぁ。」

「その後は?」

「ぐっすり。」

「・・・ぐっすり。」

「あーっっっ!!!」

「な、、なんやねん、びっくりしたぁ。。」

「あのさぁとら、なんか約束忘れてない??」

どきっっ。。

なんでや?

1週間前悟にケーキ買ってくるって約束忘れとって、、けど、もう忘れてそうやと思っとったのに、まだ覚えてたとは。。

悟結構執念深いとか??

「どうなんだよ!」

どきどきっっ。。

「な、、なんのことや??」

「そっか、記憶にないか。」

「え。。」

なんやそれ?

もっと怒られるかと思ったのに。

「いや、なんかな、おさまる前に『やくそく』ってゆって眠ってしまったからさぁ。」

「あ、なぁんや、ケーキの事とちゃうやん。。」

げ、、声出してしもた。。

「・・・そういや俺もらってねぇぞ?どういうことだよ、とらのすけぇっっ!!」

「わっ、ちょっ、、勘弁してやぁ、あんときは金なくてさぁ。。。」

「すいませーんっ。。」

「ほ、、ほら、お客さん。。」

「あ??ちくしょぉ、今度買って来いよ!」

「わかっとるわかっとる。。」

あー、助かった。。
  

  

「すいませーんっ!」

「はいはい、すいません。。」

「あ、、あの。。」

「あー、りかさんだ!」

「は、はい、すいません何回も。あの・・・。」

「とらぁ!」

「なんや??」

「ほら、りかさん。。」

「あー・・・。」

「すいません、いきなりおしかけて。」

「いや、おかまいなく。。」

「あの、入ってくださいって言いたいとこなんですけど、ちょっと。。」

「あ、気にせんといてください。」

・・・関西弁?

「じゃあとよろしく。」

「はいはい。」
  

  

「ごめんなぁ、外寒いのに。」

「いえ、そんなん別に。」

「ところで、なんかの依頼ですか?」

「木原虎之介さん。」

「はい?」

「大阪に帰ってください。」

「はっ?」

「え、だってもう約束の日近いですよ?」

「やくそくの・・・ひ?」

「うっそ、忘れたん?」

「お前・・・誰や?」

「うそぉ・・・。」

「誰やお前。」

もう1度言ってみると、彼女の顔はさっきの不安な顔から一転してこっちをキッて睨んでくる。

な・・なんやねん?

「りかってゆってるやん、思い出せやあほぉっ!!」

「な、ちょっっ、おい!!」

いきなり現れたこいつは、俺にあほと怒鳴りつけそのまま走って行った。

「誰やねん。」

俺は泣きそうな彼女にうそはないことくらいはわかってる。

けど、それがなんなんかわからへん。

わからへんというより、思い出せない。

そんな気がした。

「約束の日??」

「追わねぇの?」

「あんさん、覗き見はプライバシーの侵害やで。」

「あんだけでっけぇ声出されたら誰だってわかるよ。」

「・・・。」

「追わねぇの?」

「追ってどうすんねん。」

「さぁ・・・。」

中に入ろうとする俺をしっかりとつかまえる悟は・・・。

「なんや?俺は追わへんで?」

「けど・・・。」

「心配やったら悟が行けや!」

彼はマジになると悟と呼ぶ。

だから・・・。

「ああ。」

悟は俺の前から消えていく。

「なん・・や・ねん。。」

俺が何したってゆうねん。

朝っぱらからなんやねんどいつもこいつも。

俺が物覚え悪いみたいにゆうなや。

少し考えてみる。

約束・・かぁ・・・。
  

  

けど俺はほんまに・・・うわっっ。。

頭いてぇ・・・。
 

  

「地震??」

まさかとらになんかあったんじゃ・・・。

慌てて戻る悟。

とらという確信なんてない。

けど、予感がした。

ただ、そんな気がした。
  

  

「パパとママにね、とらちゃんのお嫁さんになる!ってゆったら、ダメってゆった。。」

「ぼくもいわれてん。」

「ちぐのパパとママと、とらちゃんのパパとママは仲良しじゃないんかなぁ?」

「でもぼくはね、パパとママ達が仲良くなくっても、ぼくとちぐちゃんはずーっと仲良しでいような!」

「うん!それでいつか2人で結婚すんねんな!」
 

  

「とらちゃんなんかだいっきらいっっ!!」
 

 

・・・うそつき・・。
 

 

誰や?

俺を抱きしめてくれる人。

悟か?

あんさんなんや冷たいで?
 

 

「あれ?おさまった。」

ドアの前の悟。

薄い気配。

霊?

「とらっっ!!」

勢いよく開けたドア。

昨日の女の人の腕の中で眠るとら。

「・・・誰・・?」

彼女は小さく首を振るだけで何も答えない。

「なん・・で??」

のどが乾く。

声がでない。

消えていく彼女を見た俺に残るもの。

それは・・・彼女の少しの笑みと涙。。

to be continue