D×D

第1話

ー記憶の断片ー

 

「とらちゃん、ちぐね、とらちゃんのことだぁーいすき!」

「ぼくもちぐちゃんのことだぁーいすきやで!!」

「ホンマに?んじゃぁおっきくなったらちぐ、とらちゃんのお嫁さんになる!」

「ええよ、じゃぁ約束やで!!」

 

 

「・・・ら・・とら・・・とら!!」

・・・。

ここは、どこや??

ああ、俺の部屋か・・・。

「とら、早く起きろよ。」

・・・誰?

「とら??」

「・・・ああ、なんやあんさんか。」

「なっ、てめぇなんだとはねぇだろなんだとはっっ!!」

「なんやねん、今日はまた一層機嫌悪いなぁ。あわかった!またふられたんやろぉ。」

「またってなんだよ、またとはねぇだろ!!」

「なぁ〜んや図星か。わかりやすいやっちゃなぁ。」

「ち、ちげぇよ、あれはな・・・」

東京がヤバイことになって、んでそれからもう1年くらいたつ。

相変わらずほとんど変わったこともない。

そっからはちょっと依頼が来て・・・けど儲かれへん。

サキが邪魔するし。。

まぁ毎日食ってくだけの分はあるし、なんとかなってる。

しっかし・・・平和やなぁ・・・。

「だからな!・・・とら聞いてる?」

「あんさんまだおったん?」

ガンっっ。
  
  

いったいなぁ、目覚めたわもう。

ったく・・・。

「なぁ、とら。」

「あーなんや?まだしゃべりたらんのか?」

「そうそう、あん時な・・・じゃなくて、お前さぁ、今日なんか悪い夢でも見てた?」

「はぁ?」

「いや、なんかうなされてたから。」

「うなされ・・・って俺がぁ?」

「そっ、お前が。」

「うーんっ。」

いろいろ思い出して見るが思い当たる節などない。

夢なんてすぐ忘れてまうもんやろ。

「見間違いちゃう?」

「誰と。」

「・・・霊と。」

「な、、んなこと・・・うーん。朝から気味わりぃじゃん。」

そんな真剣ならんでや。

ま、あんさんらしいことやけどな。

単純で(笑)

「で、今日の依頼は?」

「ない。」

「そ。そわりにはまともなもん食えんねんな。」

「バイトした。」

「誰が?」

「俺以外に誰がいんだよ!」

そういやここ最近見てへんかったなぁ。

「何のバイト?」

「交通整備。」

ぶっっ。。

「笑ったなぁ?」

「似合わへんわぁ!!あ、でも結構さまになるかも!」

「ほっとけ。かんしゃしろよ!」

「あーはいはい。で、予備校はもうええん?やっと止める決心ついたんか!まぁあんさんには無理やねん!」

「なにをーっ!!」

「だってそうやん。前のテストめちゃめちゃ。。」

「何で知ってんだよ!」

「あ、図星。顔に出るからなぁあんさんは。」

「ちぇっ。」

「ちょっとぉ、呼んでんだけどぉ?」

「サキ、お前人ん家で何しとんねん!」

「さっきからずっと居ます。」

「なんやねん、何の用や?」

「何よその態度、人がせっかくいい儲け話もってきてやったってゆうのに。」

「ほんまか??けどまたなんか企んでへんか?」

「あそう。そういうこと言うんだ。じゃ帰るね。」

「ちょっ、ちょっとまってやサキちゃん。誰も協力せぇへんなんて、そんなことゆってへんやん。外でゆっくり話そう、なっ!」

「はいはい。」

「悟ごめんな。」

「おお。」
  

  

別に何も変わった事はない。

いつものとらが俺の前を過ぎて行く。

何の夢を見てたんだろうか?

あのうなされ方は半端じゃなかった。

ひょっとして・・・とりつかれたとか?

「・・・アホらし。」

とらに限ってそんなことあるわけねぇじゃん。

「ごめんあんさん、ちょっと出かけてくるわ。」

はは、のせられたってやつか。

まぁとららしいけどな。

「おお、気をつけてな。今夜はすきやき?♪」

「あんさん期待しすぎやでそれ。んじゃぁな。」

まぁーったく、そういうやつだよお前はよぉ。

なにも・・・ないよな?

「さて、俺もそろそろ・・・。」

コンコンっ。

あ、、あれ??とら忘れもんか?

「はぁ〜い。。」

がちゃっ。。

「あ・・あの・・・。」

女の子??なんかめずらし・・・。

「依頼ですか?」

「あ、あの、木原虎之介さんですか?」

「いえ、違いますけど、あなたは?」

「・・・りか・・です。虎之介さんご存知でしょうか?ここにいったらわかるゆってはったんですけど?」

とら兄妹かな?関西弁だ。

「ここですけど。」

「はい?」

「ここ俺ととらのうちだけど。」

「えーまじですか?じゃぁ虎之介さんに会えるんですね!!」

「あ、まぁ。。」

「うわぁ、よかったぁ、探してよかった!で今何処に?」

「今さっきちょっと出かけたんですけど。」

「何時くらいに帰られるんですか?」

「・・・。」
  

   

「何よその態度、人がせっかくいい儲け話もってきてやったってゆうのに。」

「ちょっ、ちょっとまってやサキちゃん。誰も協力せぇへんなんて、そんなことゆってへんやん。外でゆっくり話そう、なっ!」

「ごめんあんさん、ちょっと出かけてくるわ。」

 

 

「うーん、今日は帰ってこねぇかも。」

「ええ!!そうですか、ほなまたきます。」

「あ、帰ってきたら・・・」

「いえ、また出直してきますから。」

「そ、そぉ。」

・・・?わけありってやつか?

しっかしとら、女の子には興味なさげにしてたけど、

ちゃんといるんじゃんそういう子!!

結構かわいいこだったし。

ずっと待ってたのかなぁ、あの子。

あーなんかちょー運命的ってやつ?

帰ってきたらぜってーからかってやろぉ〜っと♪
 

  

しかし、その人物こそがとらの中に眠る1つの忘れられた記憶を、蘇らせるカギになることは、

その時の俺はまだ知らなかった。
 

to be continue