《5》ひる(ノビル)

          ノビル(野蒜)はネギやラッキョウの仲間で
山野に自生し、葉や鱗茎は食用になる。
早春のノビルは独特の臭気があり、かむと
ヒリヒリと口を刺激するところから、ヒルの
名がついたという。初夏に白紫の小花が
まばらに咲く。
       −撮影場所・佐保川堤防ー
        醤酢(ひしほす)に 蒜搗(ひるつ)き
 合(か)てて 鯛願ふ(たひねがふ)
  われにな見せそ 水葱(なぎ)の
   羹(あつもの) 長意吉麿(ながのお きまろ)
                
ー万葉集 3829−

(比し保す丹 飛る川幾可てゝ 多日ね可婦
 王連二奈三勢処 難支能あ徒母の)

〈酒の肴はノビルの和え物があれば十分
 ですよ。どうぞお気遣いなく。この上に
鯛の焼き物が少しあれば、いうことなしです。
水葱の吸物などはいりませんよ。

何も要りません といいながら鯛を催促
しているところなど 気心の知れた仲間の
               宴会のようです。〉

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