《3》 おほゐぐさ (フトイ)

                フトイは池や沼の浅いところに群生する
 カヤツリグサ科の多年草。
 茎は太く円柱形で、藺と呼び、高さ2メートル
 くらいになる。初秋に黄褐色の小さい松かさ
 のような花穂を付ける。
 この藺で花筵を編むが、畳表にするイグサ
 とは別である。 −撮影場所・春日大社神苑ー
         上毛野(かみつけの)伊奈良(いなら)の沼の
 大藺草(おほゐぐさ)よそに見しよは
   今こそ勝れ 作者未詳  ー万葉集3417−

 (可身津介能い奈良のぬ万農 大ゐく沙
  与處二 見しよ八 い萬こ曽萬左麗)

〈上野(上毛野は今の群馬県)の伊奈良の沼の
 大藺草のように、よそながら見ていた時よりは
 今こそ恋しさがましたことよ。
  *フトイは見た目には綺麗ではないが、よく
   見ると かわいい穂を付けている。花も人も
   近づいてみて美しさに気付くこともある〉

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