生駒山麓公園。休日はレジャー目的の家族や釣り人であふれるこの施設の片隅には、かつて古道を通る人々を見守った仏様が今でもおわすのです。
大阪と奈良を隔てる生駒山。そこを越えるために様々なルートが開発されました。暗峠などは現在でも有名ですが、時代の変遷とともに廃れてしまったルートも少なくありません。
生駒山麓公園の北西、動々池を見下ろす「巨木の丘」。その高台の横を通る山道はプチハイキングコースとして利用されています。しかし、かつてこのあたりは「荒池道八丁門峠越参道 [1]」と呼ばれる、重要な交通路の一つでした。いまや影も形もありませんが、いくつもの茶屋が軒を連ねていたという話もあります。
そんな山道にあって今でも往時を偲ばせてくれるのが、今回の主役、峠地蔵です。場所はというと、先述の「巨木の丘」のあるあたりから少し細めの山道に入ったあたり。道のほうからは少し高台にあり、木の陰に隠れてしまうことから気づきにくい場所です。
名前のとおり、峠を通る人々の安全を願ったものなのでしょう。柔らかな彫り味と穏やかなお顔。平たい岩を組み合わせた素朴な石龕も素晴らしい。意外なことに、というと少し失礼ですが結構通られる方がいるのかお賽銭やお花も見当たります。
なお、来歴を調べてみたのですが、こういうときに頼りになる生駒市教育委員会の「生駒市石造遺物調査報告書」にはどういうわけか姿が見当たらない次第。道標一つ単位でまで収録されている本だというのにどうして、と思わなくもないですが、本格的に忘れられているのかもしれません。実に残念。
ともあれ、お散歩的に生駒山麓公園を通られるのでしたら、ちょっと探しながら歩いてみると楽しいかもしれませんね。
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