奈良市の東側の山中に「柳生(やぎゅう)の里」があります。柳生十兵衛で有名なところです。奈良市から柳生を結ぶ車道は「柳生街道」と呼ばれ、長い坂道が続くワインディングロードとなっています。山道を車で走るのが好きな人には面白い道です。独身のころは、フラストレーションが溜まると柳生街道を車で飛ばし、気分をスカッとさせたものでした。もちろん今は、そんな無茶でしかも資源の無駄遣いをするようなことはしておりませんが。
3月下旬のある日曜日、その柳生街道をマウンテンバイクで走りました。柳生の手前にある円成寺まで行ったのです。車ではよく走っている道ですが、自転車では初めてです。斜度が結構ある上り坂ですので、私はフーフー言いながらペダルをこいで登っていました。すると、途中で道路の反対側を猛スピードで下ってくるロードレーサーに出会いました。その人は、すれ違うとき、私の方を見て片手をあげ、「こんにちは!」と明るい声で挨拶をして走り去ったのです。これまで何度となくロードレーサーの人とすれ違ったりして来ましたが、挨拶をされたのは初めての経験です。何とも言えないさわやかな感じでした。
その後も坂道を延々とマイペースで登っていると、今度はうしろから追いついてきたロードレーサーに乗った若い人が、すれ違いざま「こんにちは!」と、これまた明るい声で挨拶をして行きました。そして、私の2倍のスピードで私を引き離して、ぐんぐん登って行きました。
何だかうれしくなりました。坂道でかなりへたっていたけど、「こんにちは!」と言われて元気が湧いて来たのです。そう言えば、登山をしていて人とすれ違う場合、必ず「こんにちは!」と挨拶することを思い出しました。
このことがあってから、私もすれ違うバイカーには挨拶するようになりました。