マウンテンバイクに乗り始めて1年8ヶ月ほどになりますが、これまで自転車というものを深く考えてみたことはありませんでした。マウンテンバイクに乗っていると楽しいのですが、ただ楽しいだけでは自転車を発明した人に申し訳ない、自転車の改良をしてきた人に感謝しなければならない、いったい誰がいつ発明したのだろう、自転車って人間にとって何なんだろう、などと考えるようになりました。
それに、自分自身、マウンテンバイクに乗るようになってから、以前より体調が良くなりました。マウンテンバイクは、健康にも良い効果を与えているのではないかと思うようになりました。
私はストレスの多い仕事と運動不足が主な原因だと思うのですが、3年ほど前から血圧が高かったのです。しかし、マウンテンバイクに乗り始めてからは、血圧が下がってきました。また、ストレスと運動不足のため、体が重く、頭もすっきりしない日が多かったのですが、マウンテンバイクに乗るようになってからは、体のけだるさを感じる日が少なくなると同時に、頭の中のもやもやも徐々に解消されてきたのです。これは大変うれしいことでした。
そして、マウンテンバイクに乗ると、気分的にもリフレッシュされます。少々嫌なことがあっても、いつまでも心に引っかかることがなくなりました。汗を流して野山を駆けていると、それだけで楽しく、大きな気分転換が図れます。
そこで、自転車の歴史や健康との関係について知りたいと思っていたところ、タイトルもずばり「自転車と健康」という本を見つけることができました。この本は、大分大学の前田寛/石橋健司/岡内優明の各先生の共著で、東京電機大学出版局から発行されています。
さっそく読んでみました。タイトルは自転車と健康の2つのテーマに絞って書かれているように思われましたが、自転車に関して幅広く述べられており、自転車と運動にかかわる基礎的な知識を身に付けるにはなかなか適当だと思いました。
この本には、冒頭に自転車の歴史について書かれております。 自転車は、ドイツのカール・ドライス男爵によって1818年に発明されました。「ドライジーネ」と名づけられたこの自転車は、木製の2個の車輪を、木製のフレームでつないだ構造になっており、そのフレームの上にまたがり、地面をけって坂を下ったのだそうです。
マウンテンバイクは、1970年代ごろに、サンフランシスコの近くにある小さな山を自転車で上り下りしたのが始まりとのこと。しかし、普通の自転車ではすぐに壊れてしまうので、ゲーリー・フィッシャーという青年が、1930年代に作られた頑丈な古典的フレームをもとに作り出したのが、現在のマウンテンバイクの原型だそうです。マウンテンバイクができてから、まだ20数年しか経っていないのですね。
運動による効果として、まさしく私自身がマウンテンバイクで経験したようなことが掲載されています。私自身が感じたことが、科学的にも裏付けられた感じです。
さらに、この本では、正しい運動のしかたをスポーツ科学の成果を引用して解説し、食事のとりかたについても言及されています。自転車の力学的基礎知識として、ペダリングの技術、ブレーキとシフトレバー、自転車によるトレーニング方法についても述べられています。
私はこの本で初めて知ったのですが、最も効率の良いペダルの回転リズムは、平坦道で若年者は約50〜70回転/分、中年者で約60〜70回転/分だそうです。この回転リズムでペダリングを行うと、エネルギーの無駄が少なくなるとのこと。そういえば、ロードレーサーの人のペダリングは、結構回転数が早いですね(その分速く走っている)。私は、こんなに早く回すことができませんが、これを機会に、このくらいの回転リズムに慣れるようにしたいと思います。
この本では、面白いことに、自転車の購入のしかたについても説明があります。自転車を使って運動し、健康を維持するためには、良い自転車、自分に合った自転車を選ぶ必要があり、参考になります。また、道路の安全な走りかたについても、イラストや写真を豊富に使って説明されています。ただし、山道の走りかたについては、触れられていません。山道走行については、別の専門書を参照するようにしましょう。