マウンテンバイクを選ぶ際、フレームの種類やコンポーネントのグレード、フレームサイズ、デザイン、色など、いろいろな観点からチェックが必要となりますが、一番大切なことは、そのマウンテンバイクが自分の体にフィットしているかどうかではないかと思うようになりました。せっかくいいマウンテンバイクを入手したとしても、自分の体に合っていないために、そのマウンテンバイクに乗ること自体が苦痛になったのでは何にもなりません。
私が初めてマウンテンバイクを購入したときには、フレームサイズくらいしか考えませんでした。しかし、マウンテンバイクに実際に乗り始めると、いろいろ注意しなければならないこと、調整しないといけないことが出て来るようになりました。
私の場合、マウンテンバイクに乗り始めて最初に行ったことは、サドルの高さ調整でした。当初は、ママチャリの感覚で、尻をサドルに乗せた状態で、足の裏が地面にべたっと着く高さにしていました。しかし、そのサドルの高さでは、ペダルをこいでも力が十分に出せないように感じていました。しばらくしてマウンテンバイクの入門書を購入し、読んでみたところ、サドルの高さは、通常よりも高い位置にセットするように書かれていました。つまり、尻をサドルに乗せた状態で、足のつま先がやっと地面に着くくらいの位置です。こうすると、バイクに乗っているとき、ペダルが一番上の位置に来たとき、ひざが曲がりきらず、またペダルが一番下の位置に来たとき、ひざが若干伸びている状態になります。このサドルの高さで実際に乗ってみると、確かに足の負担が楽になり、また踏み降ろす足の力が確実にペダルに伝わることが実感できました。それからは、脚力が急速に付き始めたように感じました。しかし、サドル位置が高いため、最初はとっさのときに足が地面に着きにくいのでちょっとした恐怖感がありましたが、すぐに慣れました。
なお、蛇足ですが、私は当分の間、足の土踏まずの部分をペダルに乗せるようにしていました。その方が、足の力がダイレクトにペダルに伝わるのではないかと勝手に思い込んでいたからです。しかし、それは間違っていました。間違いであることに気づいたきっかけは、ブリヂストンのマウンテンバイクのホームページです。中野浩一が自転車についてアドバイスしたページが掲載されており、そこでは足の親指の付け根の骨が、ちょうどペダルシャフトの上に重なるようにするべきであると書かれていました。早速それを実践してみて感じたのですが、その方が足首を伸ばすときの力をペダルに加えることができるので、慣れると脚力が増したかのように思えました。また、路面が荒れているとき、足首がショックアブソーバーの役割を果たして、直接体にショックが伝わりにくいという利点もありました。
次は、バイクの長さが気になり出しました。最初は夢中でマウンテンバイクに乗っていて気づかなかったのですが、乗り始めて数ヶ月すると、サドルからハンドルまでの長さがどうも短いのではないかと思うようになり、だんだんと不満がつのってきたのです。「もしかしたらフレームサイズを間違えて購入したのかも知れない」と自分を疑ったりもしましたが、地面からトップチューブまでの高さ(スタンドオーバーハイト)を考えると、決して選択ミスではないのです。
そこで、本で読んだ知識をもとに、サドルの位置を後ろにずらせることにしました。2cmくらい移動できたでしょうか。これで、不満は和らいだものの、しかしまだ満足できるものではありませんでした。後はステムをもう少し長いものに交換するか、いっそバイクを買い換えてしまうかを真剣に検討し始めました。
しかし、あるとき、愛車のハンドルバーの形状を見ていると、ハンドルバー自体を前に倒せる構造になっていることに気づきました。前に倒すことにより、ハンドルバーの位置を前にせり出す格好にできます。すなわちサドルとハンドルバーまでを長くすることができるのです。これに気づいた私は喜びいさんでハンドルバーを調整し、従来よりも3cmほど前に出すことに成功しました。
この位置でぴったりでした。このハンドル位置で乗ると、実に楽に前傾姿勢をとることができるようになりました。愛車が自分の体にフィットしていると感じることができ、従来にも増して、マウンテンバイクに乗ることが楽しくなりました。
残るは、再びサドルの問題です。マウンテンバイクのサドルは硬くて細いためか、当初は乗っているとすぐに尻が痛くなりました。硬くて細いサドルの形状は、マウンテンバイクに乗っているうちに合理的だと思うようになりましたが、私の場合、だいぶ慣れたとはいえ、それでも3時間が限度です。3時間を超えて乗ると、尻が痛くなり、相当の我慢を強いられます。
というわけで、スペシャライズドの「ボディージオメトリーサドル」を購入することにしました。スペシャライズドのカタログによると、このボディージオメトリーサドルは、後側がV字形にカットされた特殊な形状をしており、この形状が臀部の痛みやしびれを和らげるのだそうです。地元のショップで購入しても、どうせ取り寄せになるのだからと、インターネットの通信販売で申し込んだのですが、そこの店では非常によく売れている品物だそうです。皆さんも悩みは同じなのですね。店から品物を発送したとの連絡がありましたが、さて、本当に尻の痛みの軽減に効果があるのでしょうか。届くのが楽しみです。