はじめてMTBを買った。ブリヂストンのランドマスターDX。標準価格64800円のやつだ。レベル的には入門用になる。泥除けやライト、リヤキャリアなどのオプションもあわせて注文した。
買ったのは、近所の自転車屋さん。いろいろメンテナンスがあるだろうから、近くの自転車屋さんから買った方が後々便利だと思った。本当はちょっと離れた町のMTB専門店で見つけたTREKのMTBがかっこ良かったので、それにしようと思ったのだが、近所の自転車屋さんで扱っていないというので、あきらめた。
1999年3月28日に本体だけ来た。なかなかかっこいい。オプション関係は後で来るという。本体だけ取りに行って早速試乗。昼前に出かけ、住宅地の周りをぐるっと回って、午後1時くらいに帰って来た。
ランドマスターDXの乗りごごちはまあまあ。それにしても、MTBのサドルがあんなにも細くて小さいのには驚いた。すぐにお尻が痛くなったが、そのうち慣れるだろうと思った。
昼食後、性能などを確かめるべくランドマスターに乗って出かけた。これが、裏目に出た。はじめてのMTBの感触を確かめながら、近くの山の中腹を走り、駅前のほうに出て、踏み切りを超え、土手を走って中学校の裏手に出た。坂道を下ると用水路沿いの道になる。その坂道を右に90度カーブしなければならないのだが、曲がり鼻に穴凹があり、それを避けるためにブレーキをかけたけど、砂が浮いていてタイヤが滑り、カーブを曲がり切れずに自転車もろとも用水路に突っ込んでしまった。「やばい!」と思ったが後の祭。
その後気がついたら用水路に寝ていた。「俺はこんなところで何をしているのだろう?」と思い、自分がどうなっているのかわかるのにしばらく時間がかかった。どうやら体、特に顔を強打して気を失っていたらしい。水の冷たさで気が付いたのだ。顔に触ってみると血が手に付いた。血だらけらしい。それにしても、用水路の水がもう少し深かったら、俺は溺れ死んでいたに違いない。
自転車はどこにあるのか探したら、自分で引き上げたつもりがないのに道路上に横たわっていた。自転車は泥をかぶっているから、自転車も落ちたはずなのに。不思議だ。 それにしても、落ちる前の「やばい!」と思った瞬間から、冷たい水で気がつくまでの間の記憶が一切ない。
やがてメガネがないことに気がついた。用水路の中を捜したが見つからない。あきらめて、家に帰った。全身水浸し、泥だらけだった。
家に帰ると、子供たちは俺の姿にびっくりして泣き出すやら、嫁さんは心配するやら大変だった。鏡を見ると、顔は血だらけ。顔の左半分全体に擦り傷がある。しかも頬は深く抉られている。シャワーをして泥を落とし、嫁さんに近くの病院に連れて行ってもらった。
落ちたときはどこも痛くなかったのに、病院に着いたころから胸の痛みを覚えた。診断の結果、顔の左半分の擦り傷と裂傷、右手の甲の擦り傷、左手の手首付近の打撲と擦り傷、そして、左側の肋骨の1本にひびが入っていた。1週間くらい毎日通院しなければならないという。完治するのに1ヶ月以上かかると言われた。まいった。
自転車の方は、嫁さんに水洗いしてもらって、自転車屋に持って行ってもらった。オプションを付けると同時に、もし異常が出ている個所があれば修理を依頼した。
次の日曜日、俺のMTBが帰ってきた。用水路に落ちた影響やいかにと点検してみると、驚いたことに凹みや擦り傷がまったくと言っていいくらいなかった。しかし、よく見ると、用水路に落ちた影響が1箇所だけあることに気づいた。どうやら用水路にはリヤタイヤから落ちたようで、リヤタイヤがわずかにたわんでいるようだ。しかし、実用にはまったく問題がなさそうだ。ギヤやディレーラ周りにまったく異常がなかったのが幸いだ。それにしても、ランドマスターの頑丈さには改めて驚いた。
肋骨にひびが入っていたから、しばらくの間は胸が痛かった。しかし、2週間もすると、普通にしているかぎり胸の痛みはなくなった。しかし、笑ったり、セキをするとまだ胸が痛む。医者に「自転車に乗ってもいいですか」と聞くと「ちょっとくらいならいいよ」と言ってくれたので、けがをしてから2週間目にして、再びランドマスターに乗った。無謀だ。ただし、ダートは避け、舗装路だけを走った。 1ヶ月もすると、胸の痛みがすっかりなくなった。顔や腕の傷もある程度癒えて、医者から「もう来なくていいよ」と言われるまで、1ヶ月半ほどかかった。
その後は、もちろん毎週MTBを乗りまわした。しかし、最初のうちは悪路を走ると、その振動のために、せっかくくっついた肋骨にまたひびが入るんじゃないかと気になった。
<反省>それにしても、ちょっと下りのスピードを出しすぎたのかも知れない。荒れた道でのフロントサスペンションの具合を確かめたかったのだが、それが良くなかった。これを薬にして、MTBの乗り方を十分研究しなければならないと思った。それ以来、路面の状態には気を配っている。