『終らない夜の迷宮』



「オニキス!シト無事だったぞ……って2人とも何固まってんの?」
オニキスにやっと追い付いたハウライトが呆然と立ち尽くしている2人に声をかけました。
「ハウライト、爆発調理場じゃなかったよ……」
ガーネットは視線を自分の部屋だった瓦礫の山に固定したままハウライトに言った。
「あぁ、そぅだな。良かったな!で、あれは何の部屋だったんだ?」
ハウライトはオニキスに聞いた。
「…………」
オニキスはハウライトを睨みつけているだけで答えない。
「な、なんだよオニキス!?」
ハウライトはオニキスに睨まれてひるんだ。
「…ハウライト。お前本当に馬鹿だな。少しは考えて物を言ったらどうなんだ?」
オニキスのきつい一言にハウライトは氷ついた。
「ハウライト。あの部屋ね……」
ガーネットは氷ついているハウライトに言った。
「私の部屋なんだ……」
「………え?」
ハウライトは更に氷ついた。


「はぁ……あの枕気に入ってたのになぁ」
ガーネットがクッションを抱きながら言った。
3人は今オニキスの部屋に来ていた。あの場所に居てもらちがあかないしいつ瓦礫が崩れるわからないと言うことでオニキスの部屋に来たのだった。
いま瓦礫は兵達が片付けている。
「ガーネット、今枕の心配をしている場合じゃないだろう?もしかしたら死んでたかもしれないんだぞ!?」
オニキスは溜め息をついた。
〔ガーネットはなんだってこうスキだらけなんだよ…〕
「オニキス大丈夫だよ。だって現に私は生きてるし、カスリ傷ひとつもついてないじゃない?」
ガーネットは笑顔で言った。
「それにいざとなったらオニキスが助けてくれるでしょう?ハウライトもね!」
ガーネットのその言葉にオニキスは思わず笑ってしまった。
他の誰でもないガーネットにここまで信頼されていて嬉しくないはずがない。

「「まかせとけ」」
オニキスとハウライトが言うと、ガーネットは少し驚いた顔をしたあと、すぐに笑顔になった。その笑顔はオニキスとハウライトの思考をしばし停止させるほど美しかった。 

「で、結局なんで私の部屋は爆破されちゃったの?私なんかしたかなぁ?」
しばらくしてからガーネットが2人に聞いた。
「ガーネットは何か心辺りはないのかい?」
ハウライトが言った。
「残念ながらさっぱり身に覚えが無いわ。」
ガーネットが首をすくめながら言った。
「そのまえに城に入れたこと事態不思議だな。門番は入城者の持ち物なども調べるはずなんだが……」
オニキスが窓枠に寄りかかりながら言った。
「そうだなぁ…オニキス、警備の気が抜けてたんじゃないか?もっと警備を厳しくするこどだな」
ハウライトがオニキスに言った。
「そうするよ」
オニキスが溜め息混じりに言った。今回の事件の責任を感じているようだ。
「………最初から城に居た…とか?」
ガーネットがつぶやいた。
そのことばにオニキスとハウライトの表情が凍りついた。
「あ、ごめん。私なんか悪いこと言った?」
「いや、そぅいえば、その可能性を考えて無かった。」
オニキスはまた溜め息をついた。
「だね。兵の誰かが犯人って可能性が今のところ高いかな。」
ハウライトは椅子の背もたれを前にして座りながら言った。
「いや、兵じゃない可能性もあるぞ」
オニキスがハウライトを横目で見ながら言った。
「え、誰!?」
ガーネットがオニキスに聞くと、オニキスはハウライトを指さしながら言った。
「今のところこのバカ殿もあやしいだろ?」        「えぇ!?なんで!?」
ハウライトがガーネットとオニキスを交互に見ながら言った。
「あ〜言われてみると………」
ガーネットも納得したように頷いた。
「ガ、ガーネットまでッ!?なんで!?」
ハウライトが聞くと、ガーネットとオニキスは声を揃えて言った。
「「だってハウライトなんでレイテンローズに来たのか言わないじゃん」」
「あれ?まだ言って無かったっけ?もぅ言った気がしてたよ」
ハウライトは驚いたような顔をしながら言った。
「ハウライト……まだ言ってないよ」
ガーネットが呆れ顔で言った。
オニキスは腕を組んだまま黙っている。
「俺がここに来た理由は〜…」
ハウライトがその理由を言いかけたとき、急にオニキスの部屋のドアが開き、ガーネットがその音にビクついた。
「オニキス様!!大変ですッ!!調理場にッ…」
ドアを開けたのは一人の兵士だった。
「!?」
兵士の話を聞き終らないうちにガーネットが部屋を飛び出した。
「…ッ!!ガーネット!ちょっと待てッ!!」
そのあとをオニキスが追って行く。ハウライトも……と言いたいところだがハウライトは追わない。
「………ハウライト様は追わなくてよろしいのですか?」
兵士がハウライトの方を見ながら言った。
「あいにくだが他国の兵士に大切な幼馴染みの部屋を明け渡す気は無いんでね。」
ハウライトは人の良さそうな笑みを浮かべて兵士に言った。
「……なにをおっしゃっているんですか?ハウライト様。私はレイテンローズ国の兵士ですよ?この紋章が見えないんですか?」
兵士は胸についている紋章を指差しながら言った。
「その服をどこで手に入れたのかは知らないが、レイテンローズに君みたいな兵士は居ないよ」
ハウライトは笑みを浮かべたまま言葉を続けた。

「君が本来居るべき国はレイテンローズではなくアテナローズだろう?あんまり僕の記憶力をなめないで頂きたい。」

兵士はその場で凍りついた。

「……ックソッ!!」
兵士は突如入り口近くにあった花瓶をハウライトに向かって投げつけた、ハウライトはそれを簡単に受け止める。(幸い花瓶には水も花も入っていなかった)
「さぁ、降参しておとなしく捕まってくれない?」
ハウライトが花瓶を横のテーブルに置きながら言った。
「………チッ」
兵士は舌打ちしながらドアから飛び出して行った。
「あ…。」
ハウライトはしばしその行動を見送ったあと急いでドアの方に近付き、廊下を見た。
「クソッ…」
ハウライトが廊下を見た時にはもう兵士は居なかった。

「おいッ!!ガーネット待てって!!」
オニキスが少し前を走るガーネットに言うが、ガーネットは全く止まる気配がない。
「だってシトリンがッ…」
ガーネットはオニキスに言いながら厨房に向かって走っている。
「…ッあ゛〜ッもう!!」
オニキスが溜め息と、うめき声が混じったような事を言っている間にガーネットは調理場に着いていた。
ガーネットは調理場に着くなり勢い良くドアを開けた。
「シッ…………あれ?」
ドアの向こうにあったのは、いつも通りコック達が忙しく夕食の準備をしている光景だった。
「ガーネット。シト大丈夫だっただろ?」
ガーネットのうしろにオニキスが立っていた。
「オニキス………なんでシトリン無事だってわかったの?」
ガーネットがオニキスを見上げながら不思議そうに言った。
「……実はシトはき…」
オニキスは途中で話を打ち切り、背後を睨むように見据えた。
「オニキス?どうかしたの?」
「あぁ…なんか誰か居たような気がたんだけど…」
「ハウライトじゃないの?」
ガーネットがオニキスのうしろを見ながら言った。
「だといいけどな……」
「……?」
オニキスが呟いた言葉はガーネットの耳にしばらく残っていた。  



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かまさんより連載小説その3。

バカ殿・・・!あんたただのバカ殿じゃなかったんだね・・・!(失礼
どんどんバカ殿の株が上がっていくんですがわあどうしよう!(どうもせんでええ
それにしても二人ともガーネットにどうしようもなく惚れてますね!くはー!!!(悶え