おでこがかゆい。触ってみると少しカサカサしている。やばい、まただ。

「先生 すみませんが・・おでこがちょっとかさかさしてるんです・・・」

先生はアンダーム軟膏を塗っておいたらいいと言ってくれた。 そしてわたしは

素直にアンダーム軟膏をおでこに塗った。 そして皮膚科を出て駅に向かった。

塗ったところがかゆくなってきていた。 わたしは以前に太ももにアトピーが出た時も

ステロイドとサトウザルベの重ね塗りの後に真っ赤にはれあがって夜遅くに医院に

問い合わせの電話をしたことがある。 その時は「昔から使われてる薬だからはれたり

痛くなったりするわけがない」と言われたのだが。(実際はめちゃくちゃ痛くてはれていたが)

もしかしたら逆効果? どうしよう・・・・ 自宅で鏡を見たらやはり赤くなっていた。

これが地獄の始まりだったのかもしれない。 簡単に薬が手に入る環境にいたことを後悔しても

しょうがない。 アンダーム軟膏のような非ステロイド系は日光に当ててはいけないということを

知ったのもひどくなってからのことで、もう少し自分の知識があれば防げたのかもしれない。



やはりおでこのカサカサは広がっていった。思った通りになってしまった。

おでこのカサカサは初めてじゃなかったし、眉間や目尻などもよくカサカサになっていた。

いつも掻かなければ治っていたのだ。しかし今回は違っていた。 わたしは皮膚科に勤めていたのだ。

少し前に書いたが先生は漢方薬を治療に取りいれていた。ある日わたしは先生に呼ばれた。

「漢方を飲んでみない?」

漢方薬で治ったという知人がいたわたしは素直に「はい」と返事した。

漢方薬の治療はその場その場の悪いところを抑えようとするものではない。

根本の悪いところを探し順番に良くしていく。 いろいろな質問に答え舌を出し・・・

初めての漢方薬(ツムラの顆粒のもの)が出された。 あえて名前は出さないでおくけども

合計3種類ほど試したような気がする。 結果はというとますます顔にブツブツが出てきた。

これが死ぬほどかゆい。最初のおでこのカサカサなんて比じゃない。 皮膚がかゆいんじゃない、

ブツブツがかゆいのだ。 わたしは薬局の先生に尋ねてみた。「ブツブツ出てかゆいねんけど・・」

薬剤師の先生は「何かの反応があってこその漢方やからなぁ・・・多少はなんか出るわなぁ」

そこの長男もひどいアトピーで洋服を着てても汁が表に染み出すほどだったのを

脱ステロイドして掻かないようにきつめのジーパンを履いて寝て治したというのだから驚く。

「何か出て当たり前や」という問題なんだろうか・・・ とりあえずひどくなってるのはまちがいなかった。


その頃皮膚科では先生とスタッフの折り合いが悪く わたしも午後の勤務を辞めて別の内科と

かけもちで仕事をするようになっていた。 看護婦さんは胃痛や吐き気やめまいを訴え、もう一人の

受けつけさんも胃痛で病院へ通い始めていた。わたしは胃にこないでアトピーになっていたのかもしれない。

ところがかけもちで行き始めた内科は感じの悪いところだった。確かにわたしも内科は初めてだったので

かなり無知で迷惑をかけていたのだが、家でも勉強していたし、最初の1ヶ月は見習い期間といわれて

いたのだからもう少し優しくしてくれても・・・などと甘ったれたことも思うのだが・・・

午前は皮膚科 そして帰宅して家事、夕食の用意 午後5時から9時は内科

そして日曜日はパン製造のバイト という忙しい毎日だった。よく体がもったなぁと思う。

体力は大丈夫だったが精神面がダメでストレスがたまり余計アトピーをひどくさせてたのかもしれない。

内科は結局1ヶ月も行けなかった。 毎日ここに来るのはとても苦痛だったからやめれてほっとした。


仕事でのストレスと慣れない家事、休息のない日々・・・・ 今までと違って彼もなかなかゆっくりできず

お互いに自分のことでいっぱいいっぱいでうれしいとか楽しいとかを思うことも少なくなってきていた。