わたしのあとぴーはだんだんと部位がひろがっていった。恐かった。

漢方薬はやめたもののもう止まらなかった。肘の内側や首も痒くなり始め

どこか1箇所を掻き始めると別のどこかがかゆくなりエンドレスでずっと掻き続けていた。

今なら痒くなっても違うことを考えたりして紛らわすことができるけど、その頃は心も弱かったのか

痒いから掻くという行為をただただ繰り返していた。掻いちゃダメなのに・・・といつも後悔はしたけど。

掻いてる時の気持ちよさはあとぴー経験のある人にしかわからないかもしれない。

掻いてる時は「本当にこのまま死んでもいい」、そこまで思う。血が出るまで汁が出るまで

掻き続け、お風呂では熱いシャワーを浴び、そうして後で痛くなりひどくなり後悔する。

これの繰り返しだった。 そうしてわたしはあっという間に汚い外見になってしまった。

特にパン製造のバイトに行った後はめちゃくちゃ痒かった。 顔も首もボリボリ掻きむしった。

アレルゲンの検査をしてみたら小麦アレルギーになっていた。しょうがないのでバイトも辞めた。

パンもパスタもうどんも食べれないと思うと悲しかった。大スキなものばかりだったから。


その頃 母が健康食品に凝っていて「これで痩せて健康になるねん」と張りきっていた。

私には決して薦めなかったけど、この健康食品のミーティングに一緒に行った時に

知らない人から「あなたアトピーね。私の知り合いも飲んでるんよ。がんばってみたら」と言われ

何人かあとぴーの人が試して良くなっているということを聞いて試してみようと思った。

他のアトピーの人に確認しながら わたしの健康食品生活が始まった。

水は出ていく分たくさん必要ということで1日2リットル! ノルマのように感じて寝る前に

がぶ飲みして結局胃が痛くて寝れない日も多かった。そして最初の1ヶ月はどんどんきれいになっていった。

そして希望が見えた頃に乾燥の季節がはじまった。皮膚科での勤務は辛かった。

とにかく暖房で乾燥しきっていた。最近になってやっと加湿器を買ってもらえたが湿度は30%しかない!

顔に何も保湿剤をつけてなかったわたしの顔はパリパリになって口をあけるとピシピシと音が聞こえるようだった。

結局何が悪かったのか・・・健康食品の前に塗ったマイザー軟膏(強いステロイド)が悪かったのか、

がぶ飲みして胃が悪くなったからなのか、健康食品が悪かったのか・・・・ 何が悪かったのかは

わからないし、全部まとめてよくなかったかもしれないけど、とにかく今度はみるみるとひどくなっていった。


この頃のカレンダーメモ(1997年)

11/1 首まわらず 左頬OK 右ガサガサ

11/2 首まわる

11/3 首まわる おでこひどい 頬あと少し

11/4 首少し汁 おでこひどい 顔ほぼOK

11/5 首にひび痛い 背中かゆい 肘赤い

11/6 昨日おかし食べたからかゆい おでこベロベロ 背中かゆい 肘がさがさ

11/7 がさがさ 首動かず 温泉に行ってかさかさでかいかいに

11/10 ワセリン塗る 仕事でがさがさ ひどい

11/11 首ひび 黒い皮ができてるのを剥ぐ まし

11/12 まし

11/15 汗でひどくなる

11/16 まし 肘が痛い

11/17 顔が仕事に行ってひどくなる 首が固まった

11/19 顔ジクジク 首の皮は真っ黒でバリバリ 痛い 皮膚科クビ

11/24 肘痛い 治りにくい 首汁だらけ

11/25 夜首の黒い皮を剥ぐ 

11/27 顔まし 首真っ黒 体ぶつぶつ

   

わたしはついに皮膚科をクビになった。いや正確にいえば受けつけ業務の禁止。

レセプトのみの仕事になった。これなら休みの日のお仕事だから患者さんに見られることもないので。

首に真っ黒な皮膚ができてきてベロベロとめくれるようになった頃に先生に呼ばれ

「ここの軟膏なんでもつけていいから、その首なんとかして!!」って言われた。

わたしはもうステロイドは懲り懲りだと思ってたので、「そんなことできません」と言った。

そうしたら「患者さんから見て、受けつけにアトピーのひどい子がいたら私がヤブやと思われる」

そう言われた。道理はわかる。でも傷ついた・・・ そうしてわたしは受けつけの仕事をやめたのだ。

仕事をやめて家にいると時間がありすぎてついつい退屈しのぎに体を触ってしまう。

仕事をやめて更にひどくなっていった。 もうどうでもよかったのかもしれない。