健康食品のミーティングに行くとたくさんの人から声をかけられた。一目でわかるアトピー患者だったから。
みんなからアトピーについて尋ねられ、わたしもどうしていいかわからなかったけど、
たくさんのアトピー患者が藁にもすがる気持ちでこの健康食品を口にしてるのがわかった。
この食品を口にしてよかったのは傷口の治りが早くなったこと。 ぐちゅぐちゅに掻き毟った跡も
次の日にはちゃんと皮が張っていた。その頃は薬の使用もしてないから自然治癒力に任せるしか方法が
なかったのだけど、これのおかげで少しはマシだったのかもしれない。
それでも外にはほとんど出れなかったし、夜中に彼がドライブに連れていってくれるのだけが救いだった。
わたしは毎日鏡を見ては泣いた。このまま一生この顔と体なのか・・・ そう思ったら自然と泣けてきた。
彼にも申し訳なかった。毎日グズグズ泣いてばかりの私をどう思っていたんだろう。
「大丈夫やって。きっと良くなるって」そう言って毎日彼はお風呂上りのわたしの体に
ナイトクリームを塗ってくれた。 この頃はシャンプーも手に染みて困ったので彼に
してもらっていた。 シャンプーハットをして洗ってもらっているのはなんだか不思議な気分だったけど。
背中もお腹も一面まっ茶色。もちろん痒い。首からは汁がでて固まってはお風呂で溶かし、
乳首からは汁が常に出てて下着に張りつき本当に困った。 お風呂に入ろうとしても取れないので
下着のまま入ってシャワーでじっくりと固まったのを溶かしてから、下着を取って湯船に入った。
お風呂から上がったら紙コップを半分に切ったものを胸にかぶせてブラジャーをして寝た。
結局外出の時にははずすのでまた張りついて苦労したけども。
あちこち痒くて寝ることもままならなかった。布団に入ると体があったまって痒くなるのだ。
寝てる間にボリボリ掻いて目が覚めることも多かったし、ボリボリという音で彼の目が覚めて
「掻いたらアカン」と手を叩かれることも多かった。 いつしか静かに掻くようになったし、
爪の切り方も工夫して傷がいかないように掻くことも覚えた。
もちろん彼とのお楽しみ(//▽//)
なんてもちろんムリ。痒くてそれどころじゃなかった。
その頃、彼は仕事に限界を感じて辞める決心をしていた。
10ヶ月ほど働いて休みは1ヶ月に一度あるかないかという現実。体がもつわけがない。
結局おせち料理の準備に2日ほど徹夜をした後に彼はホテルを辞めた。
しばらくの間ゆっくりと家にいる彼がうれしかった。やっとゆとりのある生活になったのだ。
ハローワークに行って次の仕事を考えた。 彼の希望はなぜか医療系。わたしに影響されたらしい。
医療系の資格も経験もない彼を雇ってくれたのは今の職場でもある老人保険施設。
面接したその日にもうここでの勤務が決まった。朝8時半に出て夕方5時すぎには帰宅。
週休2日。彼も生活が落ちついてほっとしたようで、わたしもすごく嬉しかった。
わたしはといえば、相変わらずで睡眠導入剤を飲んでも目が覚めてボリボリ掻き
一日家でぼーっとして、たまに母親に「なんでこんなアレルギー持ちの体に産んだのよ」とやつあたりし・・・
体はだるいし、自律神経失調症になったのか喉が締め付けられてモノも食べにくく辛かった。
みんなにやつあたりする自分がイヤで落ちこむことも多かった。
それでもなんとか少しましになって私はまた受けつけの仕事についた。雇ってくれるところもあるもんだ。
夕方の勤務で、先生と二人。先生の性格は嫌いだったが患者さんはいい人ばかりだったし、
とにかく雇ってもらえるところなんてないだろうということで我慢して働いた。
だいぶ良くなった私は彼と伊勢に行った。船で宿のそばにある浅瀬に行き、二人っきりで
潮干狩りをし、夜はカキを食べ、カキ風呂(カキの殻が入ってた)に入った。次の日すごく
ツルツルの肌になってて驚いた。そして頼みこんでカキの殻をいただき、家に帰ってお風呂に入れた。
風呂水をなかなか換えなかったせいかだんだんとものすごい臭いになってきたけど、わたしは喜んで入ってた。
彼は「臭い〜いい加減に水換えろ〜」って言ってたけど。 ここで彼のいうことを聞いてればよかった・・・
かぶれて水泡が体中にできてしまった。 手・腕にできた水泡はめちゃめちゃ痒い!!
掻いてはつぶしの繰り返しでどんどんひどくなっていった。 せっかく良くなっていたのに・・・
原因はカキの殻をちゃんときれいに洗わなかったこと。身が少し残ってたのにキレイにしなかったから
水の中で腐ったんだと思う。 バカなことをしてしまった・・・ なんでこんなことに・・・後悔しても遅かった。
仕事場でやっぱり言われてしまった。「手どうしたの?」 時間があったらボリボリ手を掻いてたし、
患者さんにも手は絶対に見えてしまうし・・・。 結局ここも辞めることになってしまったが
「治すと患者さんが減る(収入も減る)」と言いきった先生はキライだったし、すっきりした。
それにしても、せっかく良くなってきてたのにわたしは正真正銘のアホであった。