また無職になってしまったアホなわたし・・・ 性に合わない勤め先を辞めることには
何も未練はなかった。 その後が問題だった。こんな汚い見た目の子を誰が雇ってくれるのか。
わたしが何か専門分野のスペシャリストならまた違うかもしれない。でも、悲しいかなわたしには
調理師免許と車(しかもオートマのみ)と華道の師範免許しかなかった。とりあえずどれも就職には
役にたちそうになかった。彼は「別にオレの給料だけでもええやん」って言ってくれた。でも・・・
正直に言ってイヤだった。 もちろん結婚も正式にはしてなかったし、対等な関係じゃなくなるような
気がしたのだ。子供だったと思う。 変な意地があったのだ。なんだかお金を稼げない代わりに
いいなり・家政婦の状態に自分がならなければならないような気がしたのだ。 アホである。
そんなことを思いつつも仕方なく「ありがとう♪」と言って主婦業にはげんでみた。
やっぱりちょっと卑屈になってたかもしれない。 「彼は稼ぐ。わたしは主婦業」呪文のように唱えて
ご飯の準備をしてた。この頃は無理して毎日変わった料理を作っていた。品数も多かった。
彼は食べるのが生きがいのひとつだから喜んでくれたけど。
それにしても手のブツブツってなんでこんなに痒いんだろう。 掻いてる時・水泡をつぶしてる時は天国。
仕事を辞めて人目を気にしなくなったことと、ヒマな時間ができてしまったことでわたしはますます
掻いてしまっていた。 この頃に母のお友達の薦めで生命保険に加入することになったが
「最近はアトピーもうるさいから健康診断の時はアトピーって言わないようにね。
今カキにあたって蕁麻疹が出てて皮膚科に通院してるって言ってね。」と注意された。
( ̄▽ ̄;;
アトピーは生命保険にも入りづらいのか??? ちょっと偏見じゃないの?
ちょっとムカっとしたが素直に面談では「今勤め先の皮膚科で診てもらってますぅ・・・」と適当に
ごまかしておいた。 なんか複雑だった。素直に「アトピーで〜す♪」って言ったらどうなってただろう。
家にじっとこもる辛さ。 自らの意思で家にこもってるのではなかったので余計ストレスがたまった。
別に誰にも外に出るなとは言われてないから自分の意思といえばそうなのだけど、望んではいなかった。
とにかくストレスをどうにかしたかった。 何か楽しいことをはじめたかった。
そして見つけたのが「社交ダンス」だった。 夜の時間帯なら仕事の終っただんなにも行ける。
とりあえず社交ダンス用のクツ(高い!)を買って習いに行くことになった。
o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o 楽しい 楽しい♪ もうルンルンだった。 彼と一緒に何かをするっていうのは
なんて楽しいんだろう。 もうレッスンが楽しみでしょうがなかった。
社交ダンスは男女ペアで踊る。 だから先生は男女別々にステップを教えて自分が相手役になって
教えてくれる。 最初にわたしと組む時のこと、手を組むために差し出したわたしの手を見てギョッとした
先生の目をわたしは忘れない。 確かに誰が見てもギョッとしたと思うほど汚かった。
それでも、彼以外の人と組むことはまずなかったし、気が楽だった。とにかく楽しくて仕方なかった。
そして3ヶ月が経った頃・・・わたしの手はきれいになっていた。 手だけじゃなく顔も・・・首も・・・
まだパッと見たら「あ、アトピー?」って感じだったけど、それでもだいぶましにはなってたし、
心はずいぶん軽くなってきていた。 いっときののどがつまってモノを食べるのも辛かった時期を考えると
なんてよくなったんだろう、そう思っていた。 ストレスが軽くなっていったことが大きかったと自分では思う。
そして、ある日近くの医院の開院のお知らせが朝刊に入っていた。 そこには開院の知らせと
スタッフ募集の文字・・・・ どんな所だろうか・・・ちらっと見に行ってみようか・・・
車で見に行ったら医院のドアに張り紙があった。 近くで見ようと車を降り側に行った。
すると中からスタッフの方が出てきてくれた。わたしがスタッフ募集のことを話すと夜に入る
スタッフがもしかしたら必要かもしれないと教えてくれた。 そしてわたしは面接してもらうことになった。
めでたくわたしはその医院のスタッフとなれた。 看護婦さんにもアトピーのひどい人がいて少し驚いた。
先生の奥様に「アトピーなのに雇ってもらえるなんて思わなかった」と話すと「関係ないよ」と
言ってもらえて本当に嬉しかった。 他の看護婦さんに「あなた顔が赤いわね」なんて言われたりしたが
それもあっという間になくなった。 履歴書の写真の顔は赤まだらだったけど、今はわたしがアトピー持ち
だなんてわかる人は少ないと思う。 アトピーなんて関係ないよって言ってもらえる職場に出会えたことで
わたしの心は軽くなった。 そして彼との中途半端な関係も終わろうとしていた。
彼の両親が結婚に関してオッケーを出してくれたのだ。 彼の両親からすれば仕事を変わったばかりで
責任感が見えないという思いがあったようだ。 でも、彼の様子を見て一生続けるつもりだということが
わかったようでやっとこさ安心してくれたのだった。 10月に仕事が決まり2月に入籍・新婚旅行。
新婚旅行の前にレンタルドレス店にて衣装を借り記念写真を撮ってもらった。 わずか4ヶ月の間に
わたしのアトピーは影も形もなくなっていた。 キレイになりたい!! その願いが叶ったのだった。
そして今 悩んでいること。 赤ちゃんにアレルギーは出てくるのだろうかということ。
ほぼ100% なんらかのアレルギーは出ると思う。 だんなもアレルギー体質の家系だから。
妊娠中にアトピーがひどくなる場合も多いということは知っている。 患者さんにも多いから。
でも、いくらひどくても薬は使いたくない。 大丈夫だろうか・・・ こればっかりはわからない。
知人の赤ちゃんは産まれてきた時にすでに何箇所かひっかき傷ができていたという。
お米 牛乳 卵 肉 ・・・ほとんどの食べ物にアレルギーが出て 食べるものに困っているという
母親の話も聞く。 とりあえず婦人科でドクターに尋ねたがなんともいえないと言われた。
「どうしてこんな体に産んだのよ!」わたしが母親に言った言葉。 わたしも言われるようになるのか、
大事な子供を辛い目にあわせてしまうのか・・・ 妊娠・出産に対する不安は大きい。
それでも経験したからこそわかることもある。 わたしの母親のように無神経な言葉をかけたりはしない。
とりあえず今は心が落ち着いてるせいか、季節の変わり目にかゆくなってきても程度をかげんして
掻いている。 掻くと治らないのは本当のことで、たまに首が赤くなったりするけどそれぐらいへっちゃら。
あんなにひどい時があったのにこうしてキレイになってるのだから。 なんとかなる! 前向きにいくのだ!
わたしのアトピーのお話 長いのに読んでくれてどうもありがとう。
感想など聞かせてもらえるとうれしいです。