夏日星 赤さ競いて アンタレス
冬のオリオンに対抗する夏の代表がさそり座です。
7月の宵ほぼ真南中天低くに目をやるとその心臓部にアンタレスと呼ばれる1等星を赤く輝かせその姿は雄大なS字型を描き、曲線美では全天でも無類の星座です。

さそり座には、外国を問わず日本国内にもいろいろな言い伝えがあり全天一明るいシリウス(あおぼし)に対して「あかぼし」「大火(おやにないぼし)」「ひぼし」「酒よい星」「酒買い星」「豊年星」、重いと顔が赤くなる事から「かごかつぎ星」といった、たとえ話が数多く残っています。
その反面不気味な色合いから不吉な星でもあったようです。
アンタレスは太陽の230倍の赤色巨星で、そばに緑色の8等星を伴う二重星です。

年によってはアンタレスのそばに火星が並ぶことがあり明るさは火星の方が上ですが、赤さにおいてはアンタレスも負けてはいません。それで火星の敵と言う意味で、アンチ・アーレス、アンタレスと呼ばれています。火星は和名では夏日星と呼ばれ、中国ではその不気味な色と光から人を惑わすと考えられてけい惑と呼ばれていました。

またさそり座で面白いのはアンタレスの南にあるμ(ミュー)星です。この星は3.1等と3.6等の連星でお互いにくっつくようにに並んでいます。この星を見ると、まるで相撲を取っているようにかわるがわる瞬くので「相撲とり星」と呼ばれています。