冠を 飾る七星 夏の宵
ななほし
7月の宵の天頂にかかる、かんむり座は7個の星が小さな半円形を描いています。α星はアルフェッカ(冠の真珠)と呼ばれる白色の2等星です。他は、4等以下の暗い星ばかりですが眼につきやすいので日本各地でもいろいろな呼び方がされてきたようです。

「長者のかま」「鬼のおかま」「地獄のかまど」「へっつい(かまど)」
「たいこ星」「くるま星」「首かざり星」などです。
中国では、「貫索(かんさく)」と言いこの半円形を牢屋に見立ていたようです。

α星のアルフェッカは物乞いの皿と言う意味で、語源はアラビア語で「かけた明星」と言う意味のアル・ナイル・アル・ファッカです。これが縮まってアルフェッカになりましたが、実は「かけた皿」と言う意味です。しかし、かけた皿を持っているのは物乞いしかいないというので、「物乞いの皿」と言う意味に取られるようになったと言う事です。

ギリシャ神話ではクレタ島のクノッソス宮殿の迷宮のラビリンスに棲む半人半牛の怪物ミノタウロスをアテネの王子テセウスが退治するのを助けた、クレタ島の王女アリアドネ。しかしテセウスとの恋に破れ悲しむアドリアネを慰め妻に迎えたバッカスが彼女に贈ったのがこの冠と言う事です。

七つの宝石を散りばめたこの冠はアドリアネの死後、天に昇って星になったと伝えられています。