証明<4>

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 それから三日間程、オルは薄暗い部屋の中でマイラの手当をおとなしく受けていたが、さすがに太陽の光が恋しくなって、杖をつきながら外に出た。
「あっ・・・」
 久しぶりのまばゆい明かりに、オルは一瞬立ちくらみを起こしてしまった。
「オル、大丈夫?」
 倒れそうになったオルを、小柄なマイラがたくましい腕で支える。
 クスクス
 女の小さな笑い声に、オルは思わずあたりを見渡した。見ると、傍らを流れる小川で女たちが、たくましい腕で洗濯に精を出しながら、好奇心に満ちた表情でオルとマイラを見ている。
(なにも怪我人を笑うことはないだろ・・・)
 オルは赤面しながらうつむいた。女、しかも少女に助けてもらわなければ、満足に立つことすら出来ないとは、テグリム騎兵隊のオルにとっては、まさに恥である。一刻も早くその場を離れたかったが、言うことの聞かない体ではどうしようもない。
 自らの情けなさに、オルは心中は決して穏やかではなかった。しかし噂にきくような刺々しい態度を取られなかったのが救いである。
(なんだ。ドワーフが無愛想だってのは、嘘だったのか?上官の奴、いい加減な事言いやがって)
 そのいい加減な話を真に受けた自分を棚に上げて、オルは ブゼンとした。
「あ・・・ねぇオル。畑に行ってみる?」
 女たちの態度がオルを怒らせたと勘違いしたマイラは、慌ててオルの手をひいた。
「畑?」
「うん。トウモロコシとか・・・。あ、そうそう!ニンジン もあるの!」
 なにも力を込めて言う程の事でもないのだが、オルをなだめようとするマイラの必死の形相である。
(なにムキになっているんだ、こいつは?)
 マイラの心中などわかるはずもないオルは、怪訝に思いながらもドワーフの畑には興味を持った。
「別にいいが・・・近いのか?」
「すぐそこよ。そこの林の中をちょっと歩くだけだから」
「そうか。まぁ気分転換にちょうどいいか」
 片腕をマイラに支えられたまま、オルは杖をつきながらゆっくりと歩き始めた。久しぶりの心地よい日差しに、オルの表情もいつしか和らいでいた。

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