5 Commandments

小論文、リポートはどのように書くか──5つの格言

内井惣七

第一回の課題のように、800字程度で答える課題では、何が大事か。以下の格言は、院生、研究者が学会発表のレジメを書くときにも応用が利く。

(1) 当然すべきことなのに、多くの学生諸君がないがしろにするのは、課題自体をよく読んで題意をしっかりと把握すること。わたしのように、比較的丁寧に課題を 述べて答案を求めている教師に対して、題意を理解しないまま書かれた答案がたくさん出されて来るのには、もうウンザリする。「アホか、キミ単位を取る気が ないのか?」と言いたい。

格言1「問いに答えるには、まず問い自体をしっかり理解すること!」

(2) 問いを理解したなら、次にすべきことは、答えの題材となりそうな教材をもう一度復習して、ポイントを拾い出し整理してみること。短い字数なのに、諸君らの 独創的な見解を引き出そうなんてアホなことをどの教師も期待なんかしてない。材料は全部講義中にしゃべったか、教材に書いてあるか、いずれか。

格言2「足下をしっかり見よ!」

ナニ?足下を見て何も見つからないだと?それは授業をさぼったか、居眠りばかりしていた君の自業自得だろうが!

(3) 復習して、だいたいのポイントに見当がついたなら、次にどうするか。ここで、アホ(ここまでたどり着いたら、まあアホのなかでもマシなほうや!)とカシコ イ人の違いがでてくる。アホは、見つかったポイントを、並べて書いて「できた、できた」と喜んで寝る。カシコイ人は、「まてよ、これらのポイントはどのよ うにくだいて説明したらよいだろうか、どのような筋書きで並べて、どのように強弱をつけたらよいだろうか。そもそもどれが一番大切なポイントだろうか?」 と考えてみる。要するに、自分の答案で何が一番言いたいことなのか、目玉を絞り込むのが肝要。もっとむずかしく言うなら、「核心または本質に迫る」努力を すること。

格言3「核心に迫る努力をせよ!」

(4) これで万事よし、と気を緩めてはいけない。自分でいくら核心をとらえたと思っても、それが読む人に伝わらなければ、これまでの努力は水の泡。どうでもいい 前置きをつけたり、抽象的な一般論に核心部分を包んではいけない。できるだけ具体的な言葉で、つかんだ核心を読む人にダイレクトに伝えよう。核心がでてく る理由づけや推論があるなら、それは要点を落とさず簡潔に付け加えよう。

格言4「ムダを省き、できるだけ早く核心に入り、要所要所を押えて簡潔に終われ!」

(5)最後に、蛇足みたいなものだが、

格言5「意味のわからない言葉は使うな!」

と付け加えたい。これも、ウンザリするほど多い。自分で意味のわからない言葉を書いて、他人が理解なんかしてくれるわけがないだろうが。「初歩的だよ、・・・・君!」

イミのわからんことはいわん、ウチの猫でもできるデ!


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Last modified Jan. 26, 2018. (c) Soshichi Uchii