紙の磁石
白い手裏剣
空中回転キック
 撮影場所
河内長野(藤井寺の近く)…オープニング、ドラゴン対右京、ジャガー対ドラキュラ、ドラゴン対ジャンゴ、
和歌山県加太…タイトル、赤影対ジャガーから最後まで
阿倍野高校および周辺…免許皆伝、女子学生と暴漢からドラゴン対赤影まで、ジャガー対シャン
大阪難波…ビル登り
奈良大渕公園…ドラゴン対赤影、ジャガー対シャン、赤影対宇宙人
阿倍野斎場…ドラゴン対暴漢からジャガー対暴漢まで
奈良市登美ヶ丘…赤影対ジャガー
帽子を撃つシーン
 撮影の裏話的なことを書くと、ビル登りは股関節のストレッチさえやっていれば、割と簡単にできてびっくりした。しかし、降りるのが難しいのであまり高く登りたくないことと、ちょうどいい場所を見つけるのに苦労した。結局難波の裏通りで撮影した。 
 最後の3人の戦いは加太で撮影したが、忍者役のH君に中型と大型手裏剣を作って持って来るように言ってあったのだが、当日色の塗っていないものを見せられてがっかりした。
(写真)仕方がないのでそのまま使った。磁石は僕が用意したが、画用紙で作ったのでペラペラだった(写真)ので、後悔した。また同じシーンでヌンチャクをすぐに取られて、あまり使わないのは、右手親指が骨折していたためだった。
 ストーリーは当時書いたノートを見ると、最初考えたストーリーや見せ場は途中から変わっていた。撮影の都合で変えたらしい。
 当時古い機材を借りて撮影したため、音はフィルムに入れられなかった。それで画面を見ながら、別のカセットテープに数人でせりふと効果音を入れた。当初自宅で入れようとしていたが、失敗したため、文化祭の前日に高校の同窓会館で入れた。音楽はそのときに、それぞれのシーンの時間を計って、自宅でレコードから入れた。
 (最後の戦いのせりふで、「中型手裏剣」と言うはずだったが、H君が「大型手裏剣」と間違って言ってしまったので、本来の「大型手裏剣」は「特大手裏剣」となった。)
 それを当日は、1人が映写機を上映し、1人が効果音、せりふのテープを再生し、もう1人が音楽のテープを再生した。だんだん映像と音がずれてくるので、テープレコーダーを早送りしたり、止めたりと毎回大変だった。
 忍者役のH君は助手として、うちに何日か泊まってもらったが、徹夜で作業をしたり、二人で学校へ登校するときに、難波駅でキセルが見つかり規定の3倍の料金を払わされたり、校門で着ていたベストを体育教師のS先生に脱げと言われて拒否したため、グラウンドで柔道技で投げられたりして、まったく災難続きだった。

解説

 ストーリーを今回改めて書いてみたが、大体は昔考えたものと同じはずなのだが、1部つじつまが合わないため、新しく書き加えたところもある。例えば、ドラゴンになぜ賞金がかかっているかは当時も考えていなかったため、悪徳政治家を倒したということにした。全体としては、クンフー映画だと思うが、実際に武術をやっていたのは、ブラックジャガー役のT君だけだった。T君はその当時日本拳法の有段者だったと思う。(その後T君は極真館本部で「蹴りのTさん」と呼ばれるくらいの実力者になったらしい)ドラゴンは僕自身がやったが、その半年後から少林寺拳法を始めて、3段になったが、当時はまったく見よう見まねで後で映画を見るとかなり恥ずかしい。(しかし年をとって、今はあまり身体が動かないのでこの映画ほどの動きはできない…と思う)この映画を撮る直前に右手親指を骨折していて、撮影する時だけギブスをはずしていたので、当時はあまり無理なことはしなかったような気がする。ただ撮影のために何回か高いところから飛び降りて、N君に「ようやるわ」と言われたと記憶している。あと、シャン役のH君は体操部だったので、ジャガーとシャンの戦いはなかなか迫力があったと思う。
 
 マカロニウエスタンや香港映画のパロディをいくつか挙げてみると、
10円を胸ポケットに入れていて助かるのは、「荒野の1ドル銀貨」、死んだジャンゴの身体と帽子を撃って崖下に落とす(写真)のは、「続・夕陽のガンマン」、赤影が生き返って、ドラゴンを助けるのは「二匹の流れ星」、耳をちぎるのは「続・荒野の用心棒」(写真はストーリーページ)、シャンが蹴り足をとられての空中回転キック(写真)「燃えよドラゴン」、だんだん大きな手裏剣を使うのは、「必殺ドラゴン鉄の爪」、ビルとビルの間を登っていくのは「帰って来たドラゴン」、宇宙人の腕を手刀で切り落とすのは「片腕ドラゴン」