瓦が初めて作られたのは
イタリアにポンペイという都市がある。A.D.79年にベスビオス火山の大噴火でもたらされた死の灰によって閉ざされた町である。これらにより2000年を経た今、ローマ帝国時代の都市の暮らしを知ることができる。当時すでに瓦は使われていたようである。ここで復元されている町家では丸瓦と平瓦の組み合わせで葺かれている屋根を見ることができる。平瓦は平らな板状のものに両側が丸みを帯びた水返しをつけた物で、丸瓦は円筒状の物を半割にし、上部半丸が下部半丸に重なるように裾広がりになっているオレンジ色をした瓦である。A.D.79年といえば、日本では弥生時代に当たり、草葺き屋根の竪穴式住居であった頃である。イタリアのポンペイではこの頃ごく一般的な町家にも瓦が葺かれていたのである。
では瓦が初めて作られたのはいつ頃でどこであったのか瓦の発祥について調べてみると、1.中国説では夏の時代(約4000年前)に瓦を作ったという記事が中国の古文書「古史考」にあるということからこれを起源とする説、2.メソポタミア説では古代オリエントのメソポタミア地方から出土した瓦書の形と製法が似ているので、この頃(約5000年前)に作られたのであろうと推定する説、3.印度説では瓦の語源は梵語であるということから導かれた説、があるが明らかになっていない。現存する最古の瓦について、最も古いものは約3000年前の中国の周時代のもので中国西安の近郊で出土した瓦である。
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