矢田丘陵の地蔵形道標

矢田丘陵遊歩道の庄六池畔の路傍にお地蔵様が祀られています。いつもお花が飾られていて、土地の人によって大事に祀られているようです。

ところで、このお地蔵様が道標であることはあまり知られていません。通りかかってお地蔵様に気付いても、エプロンで記銘が隠されていて道標とわかりません。道標と気付かれてなかったのと、山中であまり有名でなかったためでしょうか、「生駒市石造遺物調査報告書」では収録漏れとなっています。地蔵形道標は調査報告書で4体収録されています。2体は俵口の宝生寺にあったのですが、宝生寺が無くなって行方不明となってしまいました。もう2体は高山の西光寺にあります。従ってこの地蔵形道標は現存する3体目、路傍にあって道標として働いているものとしては唯一のものという大変貴重なものです。貴重なものなので、石造遺物調査報告書にならって自分で測ってきたデータを掲載しておくことにします。

所在地  資料名称  総高 像高 厚  銘文  備考
辻町
庄六池東
道標(地蔵形) 76.0 43.0 32.0 15.0 右ハこほり山みち
左ハくわんおん道
右は地蔵左
左は地蔵右に記銘されている

所在地は辻町だと思いますが、もしかして小明かも知れません。庄六池は辻町なのですが、そのすぐ東の南新池周辺だけが水利権の関係で小明の飛び地なのです。池の名前を挙げてもわかりませんので、遊歩道案内図を掲示しておきます。遺物マップでは小明地区に掲載されています。

さて記銘なのですが、変体仮名で書かれているため、なかなかの難物です。地蔵様左の方は何とか読み取れましたが、右がさっぱりわかりません。写真を掲示しておきますので、詳しい人は読んでみて、わかったら教えて下さい。

 地蔵様左

 地蔵様右

途中に「お」が読み取れるのですが、その前後は「ん」でしょうか。そのような地名が思いつけずお手上げです。

なお、YAMAPの方にもう少し大きい写真を掲載しています。このサイトは容量が小さくて大きな写真があげられません。

追記:記銘について「奈良県の道標集め」のこいわいさまから、ありがたいお助けをいただきました。「左ハくわんおん道」だろうというご教示です。「くわんおん」とは二名の王龍寺磨崖十一面観音ではないかという卓見です。また左行についても、私は始め「こふり山」と読んでいたのですが、「不」でなく、「本」で「ほ」であろうということで、他道標の例まで挙げて丁寧に説明して頂きました。、こいわいさまありがとうございます。
 そうすると、この道標は観音道を示すのがメインの役割と思えます。「右は郡山道」の方は付け足しに近い。そう考えると、左右の記銘位置がおかしいのも何となく納得できます。疑問がいっぺんに解消しました。こいわいさま、重ねてありがとうございます。

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