辻子谷越参道の三十丁石

 「生駒の古道」P.116から宝山寺参道の一つとして辻子谷越参道が紹介されています。この道は生駒側では生駒山上駐車場北にある経塚から下り、生駒ケーブル線付近に下る道で、立派な石畳道です。しかし、「昭和の水害で崖崩れが起き、旧道は崩壊しました。」(p.117)しかし、少し沢を下ると旧道が現れます。三十丁石が旧道沿いにありますが、もう少し進むと、「残念なことに、石畳上は伐採された樹木で通行は困難です。」(P.118)
 というわけで、三十丁石へは上からも下からもまともな道が無くなっています。経塚から下の道は自然災害で、崩落したものです。しかし、三十丁石下の通行困難箇所は人為的に、伐採木が積み上げられて、通行不能にされたものです。おそらく、伐採木の下には古道が生き延びているのです。この道を復元したいという気持ちを十年以上にわたって持ち続けてきました。このほど、生駒ケーブルから三十丁石までの古道をほぼ復元しました。その上180mが参道消失区間です。快適なハイキングコースとは言えませんが、藪を払いました。旧参道で復元できるところは極力復元しました。「生駒の古道」が説明する「小さな谷筋を少し下り、丸笹竹が生い茂るところをすすむ」必要はなくなりました。

 辻子谷越参道の宝山寺側入口は、山上へのハイキングコースで三十三丁石少し上の休憩所の上です。ロープが張ってありますが、ロープの左を通り、森に入ると快適なハイキング道です。

 笹藪は最初だけです。

 すぐに右手に三十二丁石

この付近は森の中で薄暗いのですが、少し進むと日当たりの良い場所に出ます。日当たりがよいせいで、キイチゴ(ナワシロイチゴ)が勢力を誇っていました。そこから約20mが通過できなかった区間です。右手の方に迂回する道がわりと明瞭についています。赤テープがありましたが、道を修復したのでテープは取り除きました。

 大きな写真では真っ赤な実がいっぱい写っています。おいしくいただきました。

この藪を払うと、石畳道が再出現しました。

上の写真と同じ場所です。藪退治後です。

その先が伐採木を積み上げてある箇所です。

 伐採木を取り除いて復元した道を上から見ています。道を横切る2本の倒木のうち、遠くの低い方はくぐりにくいので退治しました。道と平行な巨木はちょっと退治できませんが、通行に支障はないでしょう。

 上写真と同じ位置から上方向を見ています。両側に積み上げてある材木が道をふさいでいました。

 ここからもう少し進むと山から下る水路に橋が架かっており、すぐ脇に三十丁石があります。

 三十丁石

 残念ながら、この少し先から180mは藪は払いましたが、快適なハイキングコースとは言えません。赤テープを見逃さず進んでください。急坂と、斜面をトラバースする部分で狭くて滑りそうな所があります。180m進むと再び、旧道が復活して快適な道となります。最後の経塚に登るところは旧参道が荒れていますが、すぐ急斜面を登らずできるだけスカイラインに近づいてください。登りやすいところがあります。これで孤独な三十丁石を訪れる方が増えてくれることを期待しています。

 地図を掲示しておきます。伐採木と、巨大倒木があったところの間は点線の道が旧参道及び、それに近い道です。地形図の道と私の整備した道で、この間だけが食い違っているのが面白い。地図作製者が、実際に歩いて地図作りをするため、通行困難なところで不一致が生じたのでしょう。通れなかったところを想像でつないだのかもしれない。しかし、次回改訂では私の道になって欲しいものです。そうでないと三十丁石が道から外れてしまいます。参道消失区間の両端は、旧参道に間違いありません。途中の広場はおそらく旧参道の途中と思えますので、点線の道が旧参道でほぼ間違いないでしょう。

 地図にある八大龍王五丁道標周辺の笹を払ってきました。休憩所正面から入ります。すぐ道標の背面です。この道標の山側には階段があり、ハイキング道と平行に上っていきます。ハイキング道に接近した付近から道が不明瞭になるので、現ハイキング道と重なっているのだと思います。なお、この道標は「生駒の古道」では「八大龍王十五丁」としてあります(P.118)。おそらく誤植で、どこにも「十五丁」の文字はなく、両側面に「五丁」と刻んであります。

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