1999年晩秋 ハンガリー・ウィーン紀行

その4『ペーチで私も考えた‥‥前編』
 

今回の演目は第1部:ルイ・シュポア作曲のオペレッタ『ファウスト』(抜粋)、第2部:フランツ・リスト作曲・交響詩第5番『プロメテウス』

‥‥わたくし音楽科出身ながらどちらの曲もよく知りませんので(恥ずかしい〜^^;)詳しくは言えないのですが、この『ファウスト』はいわゆるゲーテの『ファウスト』の話に近いそうで、天界を追放されて堕天使となったメフィストがファウストという人間に出会い、彼の欲望全てを叶える約束するかわりに魂を差し出させる契約をするストーリー(で、いいのかな?うろ覚え‥‥)です。

『プロメテウス』も伝説を題材にした交響詩です(‥‥よね?)。『プロメテウス』(先を知る巨人)は天上から火を盗み、それを人類に与えたため、ゼウスに罰せられます。

ちなみにこの曲の作曲者フランツ・リストはハンガリー人!ハンガリーの人々は親しみを込めて、彼を「リスト・フェレンツ」と呼びます。(ハンガリー語は日本語と同じく、名字→名前の順番なんですよ♪♪)

オーケストラは地元ペーチの交響楽団。オペレッタといっても抜粋なので、今回はオーケストラの前に それぞれの役(独唱)の人達が座り、自分の番になったら立って歌うという、コンサート形式でした。面白かったのは語り部専門のおじさんがいたこと。「そしてその時メフィストは〜!!」みたいな感じで曲と曲の間にハンガリー語でナレーションを入れるんですよ。子供が見たら喜んだでしょうね(笑)。

指揮はオーストリア人のMANFRED MUSSAUERさん、ただいま売り出し中の若手指揮者で2、3年前になんと日本のある交響楽団からも『是非常任指揮者に!』とオファーがあった方だそうです。(まだ欧州で活動したかったのでお断りしたそうですが‥‥)かなりの美形さんなのですが、惜しむらくはお腹が「クマのプーさん」だったこと(涙)。

‥‥何ていうのか、感慨深かったです。ハンガリーの交響楽団の伴奏で、出演者も皆欧米の人々。その中でKちゃん一人だけが日本人‥‥Kちゃんがここまで来るのにどれだけ頑張ったのかを考えると、彼女がステージに立っているのを観ているだけで、うるるんときてしまいました。彼女の歌を聴くのも大学時代以来なのでしたが、以前より『女性的な』声になっていました。(やっぱり『歌に生き、恋に生き』のお陰ですね♪Kちゃん)

他の出演者もびっくりする位上手かったです。ほ、本当に皆さん学生さんOR卒業して間もないセミプロさんなの??さすが『音楽の都ウィーン』で勉強している人達だなあと感心しました。特にファウスト役のスティーブンさん(アメリカ人)と、ヒロイン役のアナヒットさん(アルメニア人)の歌は鬼気迫るものがあって、圧倒されました。

コンサートは大成功でした‥‥‥でも今回宣伝が足りなかったのかお客さんが少なかった のです。こんないいコンサートだったのに、もったいない!!でも嬉しかったのは、終わった直後に劇場のロビーでKちゃんが地元ペーチのおばあさんに声をかけられて、「あなたの歌、すごくよかったわよ!」みたいなことを言われたのです。Kちゃんは私に「えり〜『ありがとうございます』ってハンガリー語で何て言うの?」と、聞いてきたので「ケセネ(ありがとう)セーベン(ございます)よ!」と教えると、 Kちゃんはそのまま「ケセネ・セーベン!!」とおばあさんに答えていました(笑)。 おいおい、Kちゃん‥‥確かにハンガリーではドイツ語も通じるケドさっ(笑)。

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