1999年晩秋 ハンガリー・ウィーン紀行 |
その3『ペーチでの夜は更けて‥‥』 |
後ろ向きに走り続ける(笑)列車に乗りながら、酔うと困るので本を読むことも出来ず、 上記のような車窓風景を眺めながらぼ〜〜っとしていると、斜め前に座っている老夫婦 がおもむろにランチタイムを始めました。老婦人が田舎パンをナイフで器用に半分に切り、 市場で買ってきたのか包み紙の中からハムとチーズを一枚ずつ取り出して、パンに挟み 出来上がった即席サンドイッチを旦那さんに渡しました。旦那さんが食べ始めるのを 見届けると、老婦人は今度は自分の分を作り、二人でのほほんと食べておられました。 何か一連の動作がすごく当たり前に進んで手慣れていて、微笑ましかったです。きっと この夫婦にとっては日常的な行動なんでしょうね。‥‥いいなあ(^-^)
そうこうしているうちに車窓の景色もだんだん暗くなり、終点のペーチに着く頃には とっぷりと日は暮れておりました(涙)。一斉に降りる乗客と一緒に私もホームに 降りて、皆が行く方向へ歩いて行くと、いつの間にかバスターミナルに出ておりました。 (ヨーロッパの駅には改札というものがないので。その代わり車内で検札します) う〜ん、真っ暗だ!!ハンガリーで第4(だったかな?)に大きな都市のハズなのに。 まあとにかく建物に通りの名が書いてあるので、それとガイドブックを照らし合わせて 歩いていけば15分程でホテルに着くはずだ!!と、暗闇の中を歩き始めました。 ちょうど落葉の季節で、歩道の落ち葉の絨毯の上を歩いていると、さらにパラパラと 落ち葉の雨が降ってきて、私は『葉っぱの香りがする♪ う〜んヨーロッパ♪♪』と 呑気に喜んでおりました(われながらポジティブだねえ)。
方向音痴な私にしては珍しく、一発でペーチのメインストリートに出ることが出来ました。 ここまで来ると余裕!で、街の風景を楽しみながら緩い坂を登って行くと、目指す パラティヌシュホテルがありました!街では一番立派な四つ星ホテルなんですけど、 こじんまりして暖かみがあっていい感じでした。ちなみにお向かいがKちゃんの出演する 国立劇場です。1分もかかりません。フロントのお兄さんに『K子の友人です』 と告げると 『ああ、あなたが!!』と笑われました(-.-)。あとで聞いたのですが、 ブダペストの新しい市外局番を調べたり私のブダでのホテルの番号を調べるのにKちゃんが 随分このお兄さんに世話になったらしいです。金髪で背の高い好青年さんでした(笑)。 チェックインの時、『英語で話すのがいい?それともドイツ語?』と英語で聞かれ、思わず 『イ、イングリッシュ、プリーズ』と答えてしまいました。関西人としては『大阪弁で』 と言わなあかんかったわ(後悔!)。
この好青年さん(笑)からKちゃんのメッセージを貰い、それに寄るともう本番まで時間が ないので、私の分のチケットは劇場のチケットオフィスに預けるか、代役の日本人女性に 預けますとのこと。すまんのお、私が遅刻したから色々迷惑かけたようで・・・。 結局私たちは舞台上の歌姫と観客という形で再会するのね。それはそれでドラマチックだが。 国立劇場でのコンサートということで、私も一応ロングスカートに着替え、さあ、劇場へ! 私が客室からエレベーターへ向かう途中、一人の女性とすれ違いそうになりました。
『えり〜!!』『あ、Kちゃん‥‥‥』
Kちゃん:『いや〜会えてよかったよかった!ホテルにお財布忘れたから取りに来てん』
ワタシ:『あ、そおなんやあ〜』
‥‥‥結局ドラマチックな再会にはなりませんでしたが、とにかく無事に会えて良かった! その後二人で楽屋口から劇場に入り、何人かの独唱メンバーや地元オーケストラのメンバー と挨拶をして(皆さん本番前なのに快く応対してくれました)、ちょっと舞台裏を探検して (無造作に楽器がゴロゴロ置いてあって圧巻でした)改めて劇場の入り口から入りました。 Kちゃんは舞台袖から客席に行けるよと言ったのですが、私は強固に(皇妃エリザベート風に?^^;)
『いやあよ、せっかくの国立劇場でのコンサート、ちゃんと表玄関から入りたいわ(爆)』
と押し切りました。 玄関からシャンデリア煌めくロビーへ、そして大階段を昇り、案内係の女性からプログラムを 受け取り、ボックス席(!)に連れて行ってもらって席に着きました。 さあ‥‥幕が開きます!!!