主なスペック
内部構造
ホーンの広がり
板取り
製作トピックス
周波数特性チェックと試聴
周波数特性チェックと試聴(1週間後)
周波数特性チェックと試聴(塗装、出口処理後)
スーパーフラミンゴそのままってのも面白くない、ということで妄想したダブルスパイラルをベースにマイナー変更して、FE88ES用のバックロードを作ることにしました。バスレフ的な効果を狙うなら、スーパーフラミンゴになってしまうので音道構成は全く変えたものとしています。
音道の接続概念図は妄想スピーカーのページをご覧ください。
ユニット
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6N-FE88ES |
空気室容積
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1.3 Liter |
スロート断面積
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22.5 cm2 |
開口部断面積
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202.5 cm2 |
音道長さ(音道中心線基準)
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217.0 cm |
外形寸法(ネックを除く)
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28cm × 45cm × 30cm (W×H×D) |
左図は、胴体部分を水平に切り取って、上から見たところです。
向かって右が正面。 センターの音道幅は7.0cm、左右に分岐した後は7.5cm幅となります。 音道はまず(1)を上→下、(2)で底面を前→後、(3)は下→上。
(7)はデッドスペースです。もう1回折り曲げれば、無駄がなくなりますが、今回は量感よりスピード感重視。 なお、詳細な寸法をこちらに紹介します。 |
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3つに分割された各パーツは、それぞれがCWホーンみたいなものなのですから、各パーツを作った後、3つ重ねて接着すれば良いので、組み立ては簡単です。 |
ホーンの広がりが右図です。
長岡式のホーンとして判断すると、FE88ESはQ0か高いので、スペック表にあるようなスロートでは広すぎるようにも思えますが、エクスポネンシャルで近似すると、17.4cm2(絞り率62%)となり良い線いってると思います。
うちの場合、奥行きに余裕があるので、ホーンを延ばして開口を広げる目的で、奥行きを30cm としています。 予想では、100Hz以下ダラ下がりで40Hzまで再生、といったものになるような気がします。 |
15mm合板で1本分の板取りです。大きい画像ですので、こちらを参照ください。余った部分は、コーナー処理のための三角材切り出しに使う予定です。
また、一番右側の 140×50 と 140×65 はヘッドに当たる部分ですが、
45度カットして、正面から見て八角形にする予定です。ヘッドのうち、正面と背面には単版を使う予定ですので、ここにはありません。
板取にミスがあったり(上図は修正済み)、穴の切り抜きに失敗したりといろいろありましたが、2ヶ月かけて組み立て完成。
製作中の設計変更
やっぱり、製作しながらいろいろやってみたくなってきました。 前作の10cmバックロードでは折り曲げ部分を工夫しましたが、コ−ナーの狭い部分で音が澱んでロスが出るとすれば、折り曲げ部分よりも、四角い断面の音道の四隅の方が全体に占める割合が多いのではないかと考え、隅木(三角材)を入れることにしました。 最初の音道である細いスロート部分には、断面積が減ってしまうのを防ぐために、三角材の代わりにアルミアングルを使います。(写真) スワン型の弱点である首にも、いくらか補強効果があるでしょう。 |
もう一つ設計変更
後半部分の音道、つまり分岐後の音道から組み立て。 現物合わせで調整してみると、組み方を少し変えればコニカルホーン(長岡氏定義による)にできるので、軽く傾けてみました。 斜めの接続は密着しないので、水中ボンドで埋めます。 中央はデッドスペース。たっぷり砂が入りそうです。
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ボディは音道での漏れ防止、ダンプ等の効果を狙って、内側をニスを塗ります。
寒いので乾きが遅く、期せずして1度目の塗りから1週間静置することに。
8角形のヘッド
45度カットと直角カットの組み合わせで作成。 クランプやハタガネが効かない形状なので、後から充填系の接着材(水中ボンド)で補強することを前提に、少しずつ進めます。 結局隙間ができたため、24時間硬化型のアラルダイトをドライヤーであぶって流し込みました。 後になって考えると、溶接のテクニックと同じように、わざと隙間を作って接着剤を流し込むのが良かったかもしれません。 今回のスピーカーは、得たノウハウの多い工作でした。 |
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前面バッフル
裏から見たところです。 今回の設計の場合、ヘッド側面との接着しろぎりぎりまでヤスリで削り取りました 周辺部が15mm程度しか残っていないのが分かります。これ以上のバッフル小型化は素人工作では無理でしょう。 |
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完成
ステインのマホガニーを濃い目に塗って、ウレタンニスで仕上げました。 実測重量 12.5kg (ユニットなし、砂なし) 実測重量 24.0kg (ユニットあり、砂あり) |
サイン波チェック |
サイン波で周波数特性をラフチェックします。
気になる低音は30Hzからそれらしい感じが出てきます。FE108ESなどと比べても、高調波が少ない印象です。 38-40Hzになると高調波の感覚が激減し、しっかりしたレスポンスが出てきます。十分なレベルで再生されています。 50Hzあたりを中心にピークがある模様で、これが力強さに貢献しているようです。 |
試聴 LeAnn Rimes |
LeAnn Rimesは28-40Hzの深く沈み込むようなベースがたっぷり入っており、また、楽曲によりベースの音程が異なるので、低域のチェックにもってこいです。
結構それらしく聞こえますが、最低域は無理。やはり実用的にも40Hzどまりのようで、サイン波のチェックと合致しています。 |
試聴 LeAnn Rimes(2) |
ボーカルを聴きます。
もともと、ボーカル用として作ったのですが、ちょっときつい。 声の低い方でホーン鳴きらしきものが出ており、若干ボーボーして気になります。 エージングと吸音材の調整、定在波防止のためにホーン出口に傾斜をつけるなどの調整が必要と思われます。 |
サイン波チェック |
リビングルームにセッティングした状態で細かくチェックすると、低域の再生限界は35Hz。
間近で聴くと、100Hz付近に強烈なピーク。細かい凹凸は別として130Hz以上が同レベルのようです。 リスニングポジションで確認すると、100Hzのピークは若干下がり、160HZ、240Hzにもピークが出ます。 160Hzといえば波長で2.2メートル、半波長で1.1メートルとホーン内の定在波に一致するところ大。そういう理由なら何とかなりそうです。 |
試聴 楽曲いろいろ |
ボーボーいう感じは100Hzのピークのようです。160と240Hzのピークは直接は気になりませんが、ボーカルの図太くなるのはこれが原因かもしれません。
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サイン波チェック |
出口スロープのほかに、ユニットへの配線をハンダ付け(それまでは圧着による連続端子を使用)、背面バッフル内側への吸音材追加(フェルト10cm×10cm)を行いました。
作成過程で、出口の折り曲げにスロープをつけると、定在波をかなり抑えることができることを端材を使って確認済みなので、石膏を流し込んでスロープを作りました。 やはり、160Hz、240Hzのピークは激減し、ボーカルに付きまとう癖は軽減されましたが、100Hzのピークは相変わらずのようです。 |
試聴 楽曲いろいろ |
バックロードというと、やはり低音が気になりますので、無理を承知でLeAnn
Rimesと宇多田ひかるを聞いてみます。
ボーカルは自作108ES機(BH-1108ES)が裸足で逃げ出す冴え。 低音の余裕と伸びやかさは108ES機にかなうはずもありませんが、ゴリゴリとした低音の出方は108ES機を上回っている感じがします。これは、ホーンの短さが有利に働いているからでしょう。 再生限界のその下にまだ音があるということを知らずに、これだけ聴いていると、だまされます。 宇多田は◎。どうせ再生できない低域をあきらめてもそこそこ聴ける音作りなのか? LeAnn Rimesは低音の癖が強調される代わりボーカルのきつさ軽減で○。 |
砂入れ後 |
デッドスペースにジルコンサンドを入れてみました。0.01mmのビニール袋(二重)に小分けにして入れます。
25kgの袋入りの砂はほとんど入ってしまい、片チャンネル10kg強の重量増加になり、フローリングの床との密着も良くなりちょっとくらい押してもびくともしません。 音の変化、これは効きました。 立ち上がりが良くなったか、デッドスペースでの共鳴に取られていたエネルギー分が効率よく音圧に変換されて、音量が上がったように聞こえるのでしょうか。 108ESの方を知らずにこれだけ聴いてたら、「こんなものか」と使いつづけることのできるレベルになりました。あとはエージングに期待。 改めて108ES機の低音の癖の少なさを感じました。(癖を感じるほどの量は出てないともいう) なお、ホーンの癖(100Hz付近のピーク)には関係なかったようですが、全体に音量が上がったように聞こえるので、気になり方は軽減されました。 |
リスニングポジション(約3m)、軸上から外れていて両チャンネル同時測定ですので、高域は下がっています。
きちんと取り付けてみると、実験の時と比べて特性も向上し、凸凹も少なくなりました。