BH-888VS「八角堂」の音道拡張


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実験メニューと狙い
(1) 本命−指数関数的広がり
(2) 直管の追加
(2-1) 直管の追加 - その1 開口を狭くした場合
(2-2) 直管の追加 - その2 開口面積を変えない場合
(2-3) 直管の追加 - その3 開口を大きく広げた場合
(3) 異なる長さのホーン

測定結果一覧(別ページ)


八角堂の調教で書いたように、開口部を延長して上面開口とすると、特性も安定し低域レンジも広がることがわかりました。(「八角堂の場合」です。念のため。)
単純に試験的に実施したのと同じ寸法のを付け足してもいいのかも知れませんが、どうせならいろんな形状を試して整理しておきます。

もとの特性が、どれだけ改善されるかがポイントです。


元の特性
恐るべき100Hzのピーク!

(1) 本命−指数関数的広がり

本来の出口と同じくらいの断面積から徐々に広がって312.5cm2で上面開口。
ここまでくるとスロートの約14倍、実効振動版半径10cm(25cmウーファー並み)に相当する開口面積となります。

もちろんこれが本命です。

測定結果

100Hzのピークは収まり、全体としてバランスの良い特性になったようです。

こうしてみると、問題の100Hzのピークは2つのピークが重なったもののようにも見え、音道を延長することでその一方のピークが周波数の低い側へシフトしたために平らになったようにも見えます。

75Hzのディップが浅く、125Hzのピークが深くなったのも、ピークのすそ野がシフトした影響かもしれません。

その他のピーク、ディップは非常に鋭い(細い)ものなので、聴感上は影響が少ないものと見られます。

(2) 直管の追加

指数関数的ではなく、単なる直管を継ぎ足した場合をいろいろ試してみます。

100Hz付近のピークが分岐音道の構造に起因するなら、1本に束ねるだけで改善を期待できますが、全体の特性やバランスが開口面積によってどの程度影響を受けるかを調べるために、下の図のように、開口面積が元々の出口より狭くなる場合から広がる場合まで(音道幅:65mm、80mm、125mm)を実験します。

結果の概要

下にそれぞれの測定結果を載せますが、、、あんまり変わりません。

詳しく見ると、90-100Hzの山が開口面積が大きくなるほど高くなっていること、160-190Hzの山谷の形が65mmと80mmの間で異なることが主な変化です。

聴感上はたいした違いはありませんでしたが、開口部が一番大きなケースでは若干低域が緩く感じました。

ローエンドの伸び、量感ともほとんど変わらないので、選択は山谷の小さい80mmあたりが良さそうです。

(2-1) 直管の追加 - その1 開口を狭くした場合

開口面積を元々の出口よりも小さくした場合です。

普通はホーンの出口をわざわざ絞ろうなどとは考えませんが、予備実験で、2つある開口部の片方を塞いでも好結果が得られたので試してみる気になりました。

実用的な理由としては、特性を改善しつつサイズを抑えることができる方法です。

結果はご覧のとおり、見事なものです。

ピークが消えたのはもちろん、開口面積が減っているにも関わらずローエンドは指数関数的に延ばしたのと変わりないほど伸びてます。

今回から、三脚を使って軸上に近い位置で測るようにしましたので1kHz以上が段差を伴って上昇しているような形が強調されていますが、1kHz以下を見れば、35Hz以上フラットと言って良いくらいです。

(2-2) 直管の追加 - その2 開口面積を変えない場合

開口面積を元々の出口と同じくらいにして、ただ単にホーンを束ねて延長しただけの場合です。

(2-3) 直管の追加 - その3 開口を大きく広げた場合

指数関数的に広げた時の出口と同じくらいの開口面積の直管を延長した場合です。

(3) 異なる長さのホーン

お遊びとして、左右で異なる長さを持つ場合を試します。

2つの開口部を繋ぐ管での管共鳴が100zのピークに寄与しているとすると、一方の長さを延ばしてやることでピークがずれるのではないかという考えから、100Hzのピークの原因推定が正しかったかどうかを検証するために試してみました。

170cmの両端開口の共鳴部分が215cmに延びるわけですから、100Hzのピークは80Hzにずれるはずです。

結果は、ピークのシフトは90Hzにとどまりました。判断に悩みます。


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