寒い日の幸せ
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ひんやりとした空気。
ゆっくりと湯に浸かって身体を温めても、どこか冷えている様な
そんな気がして、温めてもらおうと入った部屋。
だが、まだ起きているとばかり思っていた部屋の住人は既に夢の中だった。
「新一?」
呼びかけても返る声はなく。
一人だと思ったら余計に寒さが増した様な気がして自分を抱きしめた。
ひんやりとした空気にふるっと身体を震わせて近くにあるものに温かさを求めてすがり付きたくなる。
そうして快斗が取った行動は、寝ている新一の布団にもぐり込むというもの。
そしてホッと一息ついた時近づいてきた気配。追い出される!と目をつぶって衝撃に
備えたが、いつまでたっても痛みと寒さが襲ってくることはなく、快斗に与えられたのは温もり。
足蹴りの代わりに快斗に触れてきたのは腕。
そして引き寄せられるように温もりが擦り寄ってきて・・・
首にかかる吐息
普段めったにまわされることのない腕
愛しい温もり
本当は起きていて理性の限界を試されているのかと本気で悩んだ。
だが、「襲っちゃうぞ」なんてつぶやいても反応はなく。
なんとなく、穏やかに眠るその寝顔を邪魔する気にもなれなくて。このまま温もりを抱きしめて寝てしまおうという気になった。
それを後悔するのはそのすぐ後のこと。
1分も経ってなかったけど。
確かにある温もりにそばに居ることを感じて、知らずに浮かべるその笑みはとても安らかなもの。
快斗が見つめる新一の顔も安らかで安心しきっていてそれが自分が与えているのだと、優しく微笑む。
「今日は疲れているだろうから・・・許してあげよう」
なんてつぶやいて目を閉じた。
吐息が寝息に変わってしばらくして・・・
閉じられていた目がゆっくりと開く。
「ばぁろ」
もしあのまま快斗が襲ってきていれば今の安寧はなかっただろう。
安らかに眠る快斗に顔を見て微笑む新一。
それは快斗が新一に見せた微笑と同じで、
そして
快斗の見えないところで頻繁に浮かべられているもの。
寒い冬、
温もりを与えてくれていたのは無機質なものたちばかり。
丸くなるようにして寝ていた過去。
それはいつの間にかしなくなったけど・・・
それでも
温もりを与えられる喜びに寂しかったのだと過去を振り返る。
同じ様に温もり感じてくれていれば良いのだけど
お互いが同じ事を思っているのを知らない2人。
ささやかな幸せは降り積もり、
1人じゃないと、2人でいる事を思い出させてくれる
おやすみ
明日も幸せであるように
そして
与えられた幸せを返せたらいい
明日のために
今はゆっくりとおやすみなさい
前身(Capricorn)時代の真夜中のチャット中に佐倉君と二人がかりでお強請りし、
チャットで朝方まで書いて、更にそれを直してくださったものですv
寒い日って人の温もりが恋しくなりますよね☆
新一さんの布団の中に躊躇いなく潜り込む快斗君に、腕を伸ばして引き寄せる新一さん
という構図は見ている方も思わず頬が緩んでしまいますvv
更にチャットで話題になった梅昆布茶(違)の続編もありますのでそちらも是非!!
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