(c) 前面開口ロングホーン
ほんとはデッドスペースがゼロのはずだったんです。
後半部分でもう一回折り返して後面開放とすれば、実際そうなっていたんですが、ホーンが長くなりすぎました。そこで、趣向を変えて前面開口としてみました。
これもつじつま合わせに苦労しました。
主なスペック
ユニット6N-FE88ES 空気室容積1.3 Liter スロート断面積22.5 cm2 開口部断面積240.0 cm2 音道長さ(音道中心線基準)279.5 cm 外形寸法(ネックを除く)29cm × 45cm × 33cm (W×H×D)
音道の接続
基本的な血の巡りは(a)ショートスパイラルと同じですので、省略します。
書くのが難しいんです。
内部構造
左がホーン前半にあたる中央部の内部構造。斜線部分は左右に分岐する接続部です。
図中の数値は音道の広さで、この部分の音道左右幅は 7.0 cm 一定です。下の図が左右に分岐した後、つまり後半部分の構造です。
前半部分にはデッドスペースはありません。
この構造で難しいのは、左右分岐部分の位置関係で、底面を水平に走る音道の高さを、内側と外側でそろえなければなりません。そのため、音道のバランスは幅で調整し、何とか我慢できる程度に納まりました。
デッドスペースをなくし、後面上部開放とするのは容易であることはわかると思いますが、それだとホーン長が 3.0m に達し、180度折り曲げが1回増加、しかも後面開放なので奥行き分を考慮すると、3.3m相当の音道長さになります。これではFE88ESのスピード感が減退するでしょう。泣く泣く前面開口としました。
開口部のデッドスペースが大きいため、開口部の細工をしやすいのがせめてもの救いです。
形としては、(b)の後面開口をひっくり返したような形状になりました。
ホーンの広がり
上の内部構造としたときの、ホーンの広がりが右図です。 左右分岐部や、分岐前後の音道の位置関係をそろえる必要があるので、この辺が限界でしょう。
デッドスペースをなくすばかりでなく、上手に使って設計に自由度があるほうが何かと都合が良いことを悟ったシリーズでした。