(a) ハイスピード指向ショートスパイラル
スーパーフラミンゴそのままってのも面白くない。
それに、スワン以来の180度折り曲げホーンは設計しやすいけど、ホーンとしての効率は悪そう。スワン型の低音はバスレフ的動作が効いているからあんなに出るのだろう(未検証)から、ホーン動作が支配的な抜けの良いハイネック型を設計してみよう、ということで、原則90度折り曲げのスパイラルホーンもどきです。
主なスペック
ユニット6N-FE88ES 空気室容積1.3 Liter スロート断面積22.5 cm2 開口部断面積202.5 cm2 音道長さ(音道中心線基準)217.0 cm 外形寸法(ネックを除く)28cm × 45cm × 30cm (W×H×D)
右図が音道の接続概念図です。 スパイラルと言っても、フラミンゴ型のスリムな形状にまとめるためには、中心からぐるぐる巻きに外へ広げるわけにはいかないので、段階的に渦を重ねる必要があります。
そこで、左右と中央に3分割。
中央部をぐるっと回って背面上部に行ったところで左右に分岐、もう一度外周沿いに回って、後面に開口します。90度折り曲げが4回、左右分岐の部分は90度×2とも180度相当1回ともとれます。
この構造では、横から見たときの外周部しか使わないので、真ん中に大きなデッドスペースができますが、その分、折り曲げが少なく、ロスは減ります。
ダブルスパイラルとして設計した残りの2つも基本的には同じ基本構造になっています。
内部構造
左がホーン前半にあたる中央部の内部構造。斜線部分は左右に分岐する接続部です。
図中の数値は音道の広さで、この部分の音道左右幅は 7.0 cm 一定です。下の図が左右に分岐した後、つまり後半部分の構造です。
接続部では、左右に分かれる部分が90度、すぐに左右外向きが正面向きに向きを変えるので、実質180度折り曲げとなりますが、このあたりは本当のスパイラルでない限界です。
この構造は、奥行きを変えてデッドスペースを調整することにより、いくらでもホーン全長や開口面積を変えられるのですが、今回の場合は、ちょうど切りの良い奥行き 30cm としています。
デッドスペースをなくせば、奥行き 20cm以下を実現できますが、90度2回の折り曲げが180度1回に変わり、ホーンの全長は約20cm短縮されます。
どちらが良いかはわかりませんが、奥行き20cmのバックロードというのは平板スパイラルを除くと見当たりません。
左右に分岐した後は、それぞれ 7.5cm幅となります。デッドスペースが大きいため、開口部も自由に選べます。
ここでは、スーパーフラミンゴ並みの 約 200 cm2 としていますが、外形寸法を変えずに、広げることも階段構造で滑らかにすることも自由自在です。
今回設計したFE88ES用3種の中で日の目を見るとしたらこれかな?
ホーンの広がり
上の内部構造としたときの、ホーンの広がりが右図です。 FE88ESはQ0か高いので、スペック表にあるようなスロートでは広すぎるようにも思えますが、エクスポネンシャルで近似すると、17.4cm2(絞り率 62%)となり良い線いってると思います。
奥行きに余裕があればホーンを延ばして開口を広げるもよし、奥行きを 20cm まで詰めて設置面積を節約するもよし。
後面開放なので、ホーンの延長効果としてプラス奥行き分を見込めるので、奥行き 20cm というのも、決して非現実的なものではありません。