
第二十九夜 お馬はなんにも言わないけれど
今回は、なにというほどのことはありません。今までなんとなく疑問に思っていたことを、つらつらと小ネタに書いてみます。答をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ教えていただきたいもんです。
以前、なにかのインタビューで豊が答えていた記憶があるんですが、豊ではなかったかも知れません。内容は次の
ようなことです。
インタビューアーが、やはり自分のお手馬はかわいいですか?と聞くと
「いやぁ、競争馬というのは、かわいいとかそういう感じじゃないですね。とにかく蹴ったり、噛み付いたりと気性が激しいですから。馬という感じじゃないですね。怪物です。」
やはり、そうなのかなという感じがしました。とにかく真っ直ぐ走らせるのが一流ジョッキーといわれるくらいですからね。よくわれわれが、レースを見ていると、インが開いてるやないかとか、そのまま行ったら前詰まるとか、わからんのかと言うようなことがありますが、やっぱり細かいコントロールは利かないんでしょうね。
前に一度書いたか忘れましたが、安勝の頭脳という本を読んで、とても感心しました。その中に書かれていることも、結局は馬の力を100%どう引き出してやるかというようなことでした。
豊の長手綱や、最後方から行く気にまかせるという乗り方も、馬の力をスムーズに引き出す方法かなと思います。
となると、やはりオートバイレースのようにはいきません。騎手の力もあるでしょうが、それ以前に、競争馬というのはいったいどれくらいまで御することができるんでしょう。騎手はできないのをわかっていて努力目標で乗っているんでしょうか。
雑誌などではヤクザ世界の記事で武闘派や穏健派など書いていますが、実際には穏健なヤクザがおったらそれはヤクザちゃうでというようなもんで、かわいいお馬ちゃんというような競走馬はいないんでしょうか。騎手が馬をコントロールしきるというのはないんでしょうか。疑問です。
馬はゴール板を知っているか?
何走もしていれば、そりゃゴールくらいは覚えるでしょうが、わたしが言いたいのは、これから走るのが、1200なのか1600なのかというようなことが分っているんだろうか。わかっていなければ、やはりペース配分は騎手がしていることになる。
人間なら、よし!100mや、とか400mやとか、あらかじめレースを把握しているが、馬はいったいどうなんだろうか。
じつは、この疑問が浮かんだのは、サウスヴィグラスを見ていてのことである。常日頃、まことにわかりやすい馬としてよく例にだすのだが、この馬はとにかく1200はめっぽう強いがそこからちょっとでも距離が伸びると、ふにゃふにゃになってしまう馬だったのである。
これはわたしの推論であるが、1200のペースを完全に体に覚えさせてしまっていたんだろうと思うのである。ところが、今年の根岸Sで、折り合い付いたのかどうしたのか、あれよあれよで勝ってしまった。それも堂々とした勝ち方で。これで1400のペースを覚えたとな思ったので、次走からは1400でも切らないようにしようとこころに決めていたのに、そこからは高知、名古屋と地方の1400ばかりで勝って、世間に知れてしまった。残念である。
そんなことより、サウスヴィグラスはその体型や走り方そのままに、たいへん不器用な馬ではないかと思うのである。いままで、いくら騎手がどうやっても、自分の覚えたペースでしか走らなかったのではないか。つまり、1400でも、そんなこたぁ知っちゃいないということっだたのではないか。
長距離で、ゴール前を通って2周する馬は、自分はいったいどこまで走るのか、本当にわかっているんだろうか。
だんだん地下鉄のネタみたいになってきましたが、やはり騎手と馬の兼ね合いというのはナゾです。
最近よく聞くというか、耳につくのが、無酸素運動と有酸素運動について。競馬で1000mや1200m人によっては1600mあたりまでを無酸素運動、それ以上の距離は有酸素運動だと言ってる解説者を見かけることです。
わたしの認識では以下の様な事になっているんですが。
無酸素運動と有酸素運動というのは、筋肉の細胞の働きで、瞬発力を必要とする筋肉の細胞は酸素を必要とせず、その代わりに細胞内のエネルギーを瞬時に出して爆発的な力を出すというもので、反対に有酸素運動をする筋肉の細胞は、酸素を取りこんでエネルギーを持続させて長い時間力を出しつづける事が出来る細胞の運動であると言う事。
どういう事かと言うと陸上のトラック競技の選手の筋肉の構成を見ると、短距離の選手の筋肉はほとんど無酸素運動をする筋肉ばかりで構成されていて、長距離の選手、例えばマラソンランナーなどはほとんど有酸素運動をする筋肉で構成されているというものです。
その為、陸上の200mまでは完全な有酸素運動型の筋肉の競技、800m以上は有酸素運動方の競技である。400mのトラックは丁度無酸素運動と有酸素運動の中間であり、その為陸上競技上、もっとも過酷で苦しい競技と言われている。
このことは、200mまでのアスリートと800以上のアスリートでは筋肉の付き方が全然違っていると言う結論になるわけです。というか、これは広く知られた事実です。
競馬ではどうなのでしょうか。もちろんマイラーとステイヤーという風に別れますが、どうも人間のような短距離のアスリートと長距離のアスリートほど筋肉の付き方が違うようには思えないんですけどね。
ひどい解説者になると、長距離でも最初の1000mまでを無酸素運動ですからとか訳のわからんことを言っている人がいます。
わたしの解釈ですが、昔でというか今でも言いますが、息を入れるというのが変に誤解されてこんな言い回しになっているんじゃないでしょうか。1000mや1200mでは息を入れずに押し切るとか言いますもんね。
どうでもいいようなことばかりですが、たまに何かの拍子にどうなんだろうかと思ったりします。それはこうやでという方がいらっしゃったら、ぜひ掲示板にでも書いてみてください。
第三十夜