第二十四夜      私信として  拝啓、照る日曇る日様


    最近このコラムもさぼりがちです。理由は、時間がないという事ともう1つ、競馬や賭け事の事を書くとどうしても前提となる条件によって、そこまでしてというような事になるんじゃないかと思い、なかなか進まない事が多くなりました。
   もちろん、自分の覚え書きというような意味もあって、好き勝手に書いているわけですが、もともと押しつけられるのが大変きらいなわたしとしては、そのような印象を持たれるのも不本意ですし、またそんな風にも思っておりません。という事で、それは違うよと言うところはどうぞ読み飛ばして下さい。

  さて、本題の馬券の種類の使い分けですが、競馬を生業として生きて行くということを前提として考えれば、複勝コロガシが最終形態だと思います。
  前にも書いたと思いますが、わたしは複勝コロガシでは勝つ事が出来ません。ただ、いずれはそこへ行きたいと考えていますし、今はその過程にあると思っています。大雑把な言い方をすれば、このあたりがプロとアマチュアの境目のような気がします。

   得てして、素人が唸るような事柄は本質的にたいしたことは無く、いとも簡単にできそうに見える事を淡々と確実にやれるのが、どの道のプロにも共通している事ではないでしょうか。

   これでは実も蓋もない話しですし、現実として複勝コロガシをやってないお前が何を言うというような事になりますので、現在の自分がどうかということをお話しします。

   その前に少し話しはそれますが、博打に必要なと言うか、勝つために必要な要素があります。

             1.精神面
             2.勝つための技術
             3.勘

   1は、言うまでも無く、博打をしているものなら身にしみて分かっていることでしょう。
   2は、博打の種類によって幅があります。いつも例に出す丁半博打では、2つに1つなので、少なくともどちらかに決める決断力があればなんとかなります。ただ、こういう確率的に収束する博打は、均等に資金投入していては絶対勝てないので、そう言う事を知っているという事が技術というかスキルといえばスキルでしょう。

   麻雀であれば、セオリーの習得や、手牌の読み方。競馬であれば、当然入着馬を見つけるための方法という事になります。なぜ技術と書いたかと言いますと、勝つと言う事は、負けないための技術、すなわち防御という意味合いも入ります。
    例えば、1つのレースで5頭ピックアップして、その中に勝つ馬を入れるというのであれば、こちらでレースを選べばそこそこ当てられます。
   競馬の場合は的中させると言う事に連動して回収率という問題が付いて回ります。トリガミではだめなわけです。厳密に言えば勝つことと的中することとは連動しないということです。そこで、よくある縦目や2着3着などということがでてくるんだと思います。

   馬券の種類というのは、的中させるための技術の範疇であって、勝つための技術と言う風に直結はしていないと思います。勝つための技術とは、その上にもうワンクッションあるんじゃないかと思っています。

  今は単・複・馬連・ワイドとありますが、個々の買い方の特性みたいなものは以前書いたのではぶきます。
その他に、オッズマネージャーに代表される資金計算ソフトついては、馬券の組合せ方ということで大変勉強になったので重複するところもありますが書いてみます。

   わたしも馬連のない枠連だけのころから競馬をやっていますので、馬連導入の時は5点6点など多点数買うことができず、なかなかなじめませんでした。というのも、枠連ではせいぜい3点BOXまでで、それ以上では大穴狙いでなければトリガミになることが多くなります。
  そしてオッズマネージャーを使って見てある時気づいたのが、枠連では絶対勝てないということでした。もちろん、絶対と言う事は無いのでしょうが、3点買っても、本命を本線に入れると回収率の悪さにびっくりしてしまいます。これは回収金額を均等に設定しているからですが、昔のように資金均等か本線に少し厚めにといったことで、ヒモが荒れれば勝てたといったところでしょうか。これでは的中率がついていきません。

  実は、この時気づいたのは、当時も100円でこつこつと複勝を買っている人達がいたこと、そしてこの時代の枠連では3点買って回収率が130%なんてざらだという事です。まぁ、この時代に回収金額均等で買ってる人なんかいませんが。 複勝で確実に責めた方が枠連で3点から4点で当てるよりは、はるかに理にかなっています。

  複勝の難しさについては今更の感もありますので別にしておきます。馬券と言う事に関して言えば、馬連しか買わないとか単勝しか買わない。あるいはボックスしか買わない、流ししか買わないというのも全て同じで、そういう制限をつけた時点で、自分の手を狭めていることになると思います。どんなやり方でも、勝てているかどうかが唯一の尺度なわけで、サインで買ってもコンスタントに勝っているならそれでいいと思います。BOXがダメで流しからとか、基本は単複やから絶対という事も無いと思います。

  アベレージヒッターもいればホームランバッターもいる。まして悪球打ちの人もいるでしょう。ただ、よほど個性の突出した人でなければ、多くの人は同じような道を歩むんではないでしょうか。そういう意味でどれが良くてどれが悪いという尺度ではなく、最終形態は複勝コロガシにいきつくんだと思っています。
  また、当然ですが今の時代に枠連しか買わないと決めている人はおそらく勝つことはできないでしょうね。

   オッズマネージャーをいじくっていると色々な事に気づかされます。例えば、リスクヘッジの仕方でも何通りもできます。自信度Aランクで、こりゃどっから見てもスイチで買えるなというようなレースがあったとしましょう。当然自信度Aということなので勝負レースにすれば投下資金も大きくなる。一般的なヘッジの仕方としては馬・ワイドで元返しでしょうか。
    でも、ほんとに自信度Aなら馬連でヒモの2番手から4番手評価までの3点を5割返しで設定したら本線の利益が大きいというような場合があります。
    これはメンタルな問題でもありますが、ワイドの元返しと言うのはけっこう資金を食います。それならいっそ半分返れば良しとして馬連4点で本線の利益をアップさせる事にする方法もあります。
  逆にワイドでヘッジすれば的中した時はワイド分もあるのでそちらを選ぶということもあるでしょう。

  ここで言いたいのは、すでに馬券の種類だけで、ここは馬連だけで買っとこうとか言う事ではなく、組み合わせとそのレースに対するスタンスによってヘッジのしかたも変わってくるんじゃないかという事です。
  極端に言えば、自信があって、的中させる力があって、ドカンと資金投入できる度胸があれば、単・複・馬連・ワイドにかかわらずスイチでいいんです。せっかく読みの中に的中馬がいても、馬券の組み立てしだいで利益も左右されます。

  オッズマネージャーが凄いのは、自分の気持のままに、例えば波に乗って強気で行ってる時や、少しツキがない、流れが悪いと感じて弱気になってる時に、こうしたらどうかとか、もう少し押さえられないかという事を瞬時に出来る便利さです。
   もちろん、ああでもないこうでもないと策におぼれて墓穴を掘るということも多々あります。でも、オッズマネージャーでどうやってもこれだけの回収率しか見込めないときはあっさりケンすることもできますし、そのラインを設定しておけば余計なレースを買わなくても済みます。

  以前、手本引きのことを書きましたが、まさにオッズマネージャーを使うという事は手本引きのような張り方ができるということです。
    手本引きについては、もちろん大きなお金が動く、その筋の人でも中途半端な人間ができるようなもんではありません。わたしごときがえらそうに言える筋の話ではないかもしれません。ただ、わたしが手本引きについて少しはしゃべれるのは、叔父に教えてもらったからでした。
    わたしの叔父は昔でいう博打打ちで、博打のタネ銭のために家にあった幅一間の仏壇を売り飛ばして博打に行ったというような人でした。晩年はどういう縁か、私の家に住んでぶらぶらしていました。ひまだったんでしょうが、そのうち中学生だったわたしに手本引きを教えて差しの勝負で遊ぶようになりました。そして、そのおもしろさにはまってしまったという訳です。。

  もう一度簡単に説明しますと、当てるのは1から6までの数字のひとつですが、サイコロを振るのと違って、人間が札を選ぶので、胴師の人間が出ます。そこに心理戦があります。もうひとつは張り方がたくさんあるということです。一点で当てるスイチから最高4枚の札を使って当てるものまでいろいろです。

   6つある数字のうち1つ当てるのに4点張りならかなりの確立で当たります。しかし、その4点の札は各々戻りが違います。当たって儲かるのや、2割返し8割返しなどいろいろな張り方があります。
  わたしは、オッズマネージャーをさわっていると、本引きの張り方と一緒やなぁと思うんです。みなさんはどういうふうに使ってらしゃるかしりませんが、第3番目の勘という部分でも、どう行く?どっちにする、こっちにする?と言う感じで選択肢が増えるので重宝しています。

  以上長くなりましたが、馬券の使い分けを結論から言うと、複勝は年間回収率が100を上回った事がないので最近は勝負レースではめったに使いません。
   案外キチンと結果を検証してない人が多いんですが、的中率と回収率は知っておかないとどうもならないと思います。
   オッズマネージャーを使う前は、例えば1レース2万円いれるとしたら、単・複5000円に馬連2000円の5点流しというようなスタイルで長くやってました。
 今から見れば変な買い方ですが、当時これでもけっこう勝ててました。でも個別に集計してみると複だけ回収率が100%にいきませんでした。この買い方をしていた当時、なんで複勝を買っていたかというと、単勝が抜けた時に、少しでもヘッジ出来るようにというだけのことです。全額ヘッジするには複勝に大きなお金が行きますので、例え140円の配当で2000円だけヘッジできてもタネ銭が減らないという意味でやっていた訳です。

   また、話しがそれましたが、今はレースを考えて馬連中心ですがワイドや単勝も入れています。もちろん流しもBOXも買います。感覚的には本引きでどういう札を張っていこかというような考え方と同じです。

   最後に複勝コロガシですが、ここのレベルになると、転がすので的中率回収率云々といところは既に卒業していると思います。どうしたらミスしないかのというようなレベルで、的中するのは当たり前、いかにリスクヘッジできるようにレース選択するかと言うような次元の話になると思います。

   もうすぐ新馬券の導入になりますが、前にもどこかに書いたように、ますますオッズマネージャー等を使わないと頭で計算できなくなりますから、使っていない人達が人気で動いたところに思わぬおいしい配当の組み合わせが出てくる可能性があると思います。
   特に馬単をワイドでヘッジしたり、馬単を馬連とワイドで比率を変えてヘッジするというようなところに何かあるんじゃないかと思います。これはね、そういうところに美味しい乖離があると気づいても、現場でソフト無しではどうあがいても無理です。
 今のように、枠連の方がオッズいいからと馬連から金が単純に流れると言ったような次元の事ではないからです。
 馬券の使い分け、難しいようで面白いです。

 
第二十五夜